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月見草の令嬢は王宮庭園で花開く  作者: 海老川ピコ
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第43話:月見茶会の名声

 満月の光が「月影の庭」を銀色に染め、月見草と夜来香がキラキラと揺れる。

 夜光蝶がふわりと舞い、フクロウの「ホウ、ホウ」が遠くで響く。

 私はエリス・ルナリス、18歳、没落貴族の娘で王宮の雑用係。

 昼間の休日に両親へ手紙を書き、庭の物語を伝えたことで心が軽くなった。

 今夜は満月の月見茶会、噂が広がり王都の名物となったこの集まりに、貴族、平民、使用人が集う。

「月の前では平等」のルールが、笑顔を繋ぐ夜になる予感に胸が高まる。

 ルナが庭の中央にふわっと現れ、銀色の髪が月光に揺れ、白いドレスが星屑のように輝く。

 彼女は両手を広げ、ニヤリと笑う。


「姉貴、庭が王都の名物だって! 私のキラキラが効いたな! 今夜の茶会、月をドカンと降らせて、めっちゃキラキラにすんぞ!」


 私は月見草の花冠とポーションの小瓶を手に、くすっと笑う。


「ルナ、いつも派手だね。今日はみんなが平等に楽しめる茶会にしたい。花冠とポーションで、癒しを届けよう」

「ふっふー、姉貴の聖女パワー、最高! 私の光で、茶会を王都一の癒しイベントに仕上げてやる!」


 ルナが宙を舞い、月見草の光を一気に強める。

 私は庭の中央に木製のテーブルを並べ、花冠とポーションを丁寧に置く。

 転生前の花屋で、市場のイベントで花を配り、客の笑顔を見た時の喜びがよみがえる。

 この庭では、貴族も平民も一緒に月を愛でる時間が私の宝物だ。

 苔むした階段から賑やかな足音が響き、リディア、トム、フィン、レオン、マリア、子供たちのリナとマイが現れる。

 庭が温かな笑顔で満たされる。

 リディアが扇子を手に、優雅に微笑む。


「エリス、この茶会、王都の噂よ。貴族のサロンより素敵だわ。市場のアイデア、参考にしたいわね」


 トムが家族と笑い、頷く。


「エリス、市場でも茶会の話で持ちきりだ! 月見草の癒し、下町にどんどん広まるぜ」


 私は二人に花冠を渡し、微笑む。


「リディアさん、トム、ありがとう! 月見草の香りで、貴族も平民も癒されるよ。月の前では、みんな平等だ」


 フィンが花冠を頭に載せ、弾むように叫ぶ。


「エリス姉貴! 月見草の騎士として、茶会を守るぜ! 月、めっちゃキラキラ!」


 マリアがポーションを手に、穏やかに言う。


「エリス、この庭に来ると、仕事のストレスが消えるよ。みんなの笑顔、癒されるわ」


 リナとマイが小さな花冠を持ち、リディアに駆け寄る。


「リディアお姉ちゃん! 花冠、作ったよ! 貴族でも似合うよね?」


 リディアが花冠を受け取り、珍しく柔らかく笑う。


「素敵な贈り物ね、リナ、マイ。貴族も平民も、月見草で繋がるわ」


 私は子供たちの笑顔に胸が温まり、転生前の花屋で子供が花束を手に喜ぶ姿を思い出す。

 この庭では、貴族と平民が花冠で絆を深める。

 ルナが子供たちの頭上を飛び、目を輝かせる。


「姉貴、ちびっ子たちの花冠、悪くない! 私のキラキラで、『月の花園』作っちゃう?」

「ルナ、花園は最高だよ! でも、みんなの笑顔が主役だから、控えめにね」


 私は笑いながらツッコむ。

 ルナが指をパチンと鳴らすと、月見草の光が集まり、空中に「月の花園」の幻が浮かぶ。

 光の花壇が揺れ、夜光蝶がキラキラと舞う。

 参加者が一斉に拍手し、歓声が上がる。


「エリス、ルナ、すごい!」

「月の花園、めっちゃ綺麗!」

「茶会、最高!」


 レオンが階段を駆け下り、金色の髪が月光に輝く。

 大げさなポーズで叫ぶ。


「よお、エリス! この茶会、俺が王だ! 癒しの王子、レオン、参上!」


 私は笑いながらツッコむ。


「レオン殿下、王じゃなくてお茶淹れてくださいね! でも、来てくれてありがとう!」


 レオンがポーションを飲み、目を丸くする。


「エリス、こりゃやばい! 癒しパワー、めっちゃ効くぜ! 俺、王都中に広める!」


 参加者が笑い、声を揃える。


「レオンのボケ、最高!」

「エリス、茶会キラキラ!」

「月見草、癒しすぎ!」


 私は月見草に触れ、指先がふわりと光る。

 転生前の花屋では、花を渡す瞬間の笑顔が私の喜びだった。

 この庭では、貴族と平民が「月の前では平等」で一つになる。

 トムがリディアに市場の果物を渡し、リディアが貴族の庭に月見草を植える計画を話す。

 リナとマイが歌い始め、参加者が手拍子で応える。


「月見草、キラキラ!」

「茶会、みんなの笑顔!」


 ルナが空中でくるりと回り、光を庭全体に広げる。

 月の花園がさらに輝き、夜光蝶が参加者の花冠を舞う。

 私は皆を見回し、胸が高鳴る。


「みんな、ありがとう。この茶会は、みんなの心で輝いてる。月見草の光で、王都の癒しを広げよう」


 ルナが私の肩に降り、ニヤリと笑う。


「姉貴、茶会、キラキラ大成功! 私の光、独占してもいいよね?」

「ルナ、独占はダメ! みんなの笑顔が一番の光だよ。でも、キラキラはルナのおかげね!」


 私はツッコみながら、ポーションを配る。

 満月の光が庭を包み、月見草と夜来香の香りが漂う。

 この幻想的な庭でのスローライフは、月見茶会の名声でまた一歩輝いた。



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