第38話:十六夜会の決意
十六夜の月が「月影の庭」を柔らかく照らし、月見草と夜来香がほのかに輝く。
夜光蝶がふわりと舞い、フクロウの「ホウ、ホウ」が遠くに響く。
私はエリス・ルナリス、18歳、没落貴族の娘で王宮の雑用係。
新月の夜、ルナの王妃との回想を聞いて心が温まり、今夜は十六夜会で庭の未来を考える。
月見草の香りが、静かな決意を後押ししてくれる。
ルナが庭の中央にふわっと現れ、銀色の髪が月光に揺れ、白いドレスが星屑のように輝く。
彼女はニヤリと笑い、いつもより少し落ち着いた声で言う。
「姉貴、新月の夜、しんみりしちまったな! 十六夜の月、キラキラ復活だ! 私の光で、庭を王都一の癒しスポットにすんぞ!」
私はティーポットと月見草の花びらを手に、くすっと笑う。
「ルナ、しんみりも悪くなかったよ。今日は十六夜会で、みんなを癒し続ける決意を伝えたい。ルナのキラキラ、頼りにしてるね」
「ふっふー、姉貴の聖女パワー、いいね! 私のキラキラで、君の決意を月まで届けてやる!」
ルナが宙を舞い、月見草の光を強める。
私は庭の中央に毛布を広げ、ティーポットとポーションの小瓶を置く。
十六夜の月光の下、静かに語らうための準備だ。
転生前の花屋で、客の笑顔のために花束を作った夜を思い出す。
あの頃は忙しさに追われていたけど、この庭ではゆっくりと心を込められる。
苔むした階段から足音が響き、ルナと二人きりの夜になるかと思ったら、フィン、リディア、トムが現れ、庭が穏やかな温かさで満たされる。
フィンが花冠を頭に載せ、弾むように毛布に飛び乗る。
「エリス姉貴! 十六夜の月、めっちゃキラキラ! 月見草の騎士として、今日も守るぜ!」
私はフィンの無邪気さに笑顔になり、ポーションを渡す。
「フィン、騎士の気合い最高だね。ポーション飲んで、月を眺めながら癒されて」
リディアが扇子を手に毛布に座り、十六夜の月を見上げる。
「エリス、この庭の静けさ、貴族のサロンじゃ味わえないわ。あなたの癒し、特別よ」
トムが家族と毛布に座り、笑顔で言う。
「エリス、市場の喧騒忘れちまうぜ。このポーション、家族の時間にぴったりだ」
私は皆に微笑み、月見草の香りが漂う中、ポーションを配る。
夜光蝶がふわりと舞い、十六夜の月が庭を銀色に染める。
転生前の花屋では、花束を渡す瞬間の客の笑顔が私の癒しだった。
この庭では、皆の穏やかな表情が私の決意を強くする。
「みんな、ありがとう。この庭で、王都の皆を癒し続けたい。それが私の夢なんだ」
ルナが私のそばにふわっと降り、目を輝かせる。
「姉貴、でっかい夢だな! よし、私のキラキラで、その夢をバッチリ照らすぜ! ほら、ちょっと昔の君、見てみねえ?」
ルナが指をパチンと鳴らすと、月見草の光が集まり、空中に淡い幻が浮かぶ。
転生前の私が、花屋のカウンターで忙しく花束を包む姿。
疲れた顔で、でも客の笑顔に小さく微笑む瞬間。
幻はゆっくりと消え、私は胸が熱くなる。
「ルナ……あの頃、忙しすぎて自分の心を忘れてた。でも、この庭で、みんなの笑顔が私の光なんだ」
ルナがニヤリと笑い、空中で一回転。
「姉貴、君もう王都の光だよ! 私のキラキラと月見草で、夢バッチリ叶えるぜ!」
フィンがポーションを飲み、目を丸くする。
「姉貴の夢、めっちゃカッコいい! 俺、騎士として応援するぜ!」
リディアが扇子を閉じ、静かに言う。
「エリス、あなたの癒しは貴族も平民も繋ぐわ。私の庭にも月見草、植えるわよ」
トムが頷き、笑顔で言う。
「エリス、下町の花園、もっと広げるぜ。姉貴の夢、市場のみんなで支える!」
私は皆の言葉に胸が温まり、月見草に触れる。
指先がふわりと光り、庭の光が強まる。
ルナが私の肩に降り、茶化すように言う。
「姉貴の宝物、庭だけでいいよね? 私のキラキラ、独占でもいいけど?」
「ルナ、庭もキラキラも両方宝物だよ! でも、ルナの光が一番輝いてるって!」
私は笑いながらツッコむ。
ルナがムッとして空中でくるりと回り、月見草の光を一気に強める。
夜光蝶が舞い、フクロウの鳴き声が響く。
十六夜の月が庭を照らし、王都の夜景が遠くで輝く。
私は皆を見回し、決意を口にする。
「この庭を、ずっと癒しの場にしたい。ルナ、フィン、リディア、トム、みんなと一緒に、王都に笑顔を広げていくよ」
ルナが両手を広げ、光を庭全体に放つ。
月見草と夜来香の香りが漂い、十六夜の月が絆を照らす。
この幻想的な庭でのスローライフは、私の決意でまた一歩輝いた。




