第35話:フィンの騎士の夢
月光が「月影の庭」を柔らかく照らし、月見草と夜来香がほのかに輝く。
夜光蝶がふわりと舞い、遠くでフクロウの「ホウ、ホウ」が静かに響く。
私はエリス・ルナリス、18歳、没落貴族の娘で王宮の雑用係。
庭の復興を進める中、カイルの花師としての成長を祝った昨夜の茶会から一夜明け、今夜は新たな賑わいが庭を待っている。
ルナが月見草の光の中からふわっと現れ、銀色の髪が揺れ、白いドレスが星屑のようだ。
「姉貴、カイルの夜来香、キラキラだったな! 庭がどんどん癒しパワーアップ! 次は何だ? 私の光で王都を花園に?」
私は小さな花冠の材料を手に、くすっと笑った。
「ルナ、いつも派手な夢だね。今日はフィンの元気な笑顔で庭を温めたいな。子供らしい夢、癒されるよ」
「ちび王子のボケか! まあ、悪くない。私のキラキラで、フィンの夢も輝かせてやる!」
ルナが軽く宙を舞い、月見草の光を強める。
私はティーポットと花冠用の月見草を手に、満月の茶会を準備する。
苔むした階段から足音が響き、みんなが集まり、庭が穏やかな活気で満たされる。
フィンが階段を駆け下り、金色の髪が月光に揺れる。
手に持った月見草の枝を剣のように振り、目をキラキラさせて叫ぶ。
「エリス姉貴! 俺、月見草の騎士になる! この剣で庭を守るぜ!」
フィンが枝を振り回し、夜光蝶が驚いてふわりと逃げる。
庭に笑い声が響き、カイルがニヤリと笑う。
「フィン、枝が剣って発想、最高だな! けど、花折らないようにな!」
トムが家族と笑い、リディアが扇子で口元を隠してくすくす笑う。
リナとマイが手を叩き、声を揃える。
「フィン、騎士カッコいい!」
「エリスお姉ちゃん、フィンすごい!」
私はフィンの無邪気さに心が温まり、転生前の花屋で子供が花束を手に喜ぶ姿を思い出す。
フィンの夢は、この庭の癒しをまた一つ進める。
「フィン、騎士なら花を守ってね! 剣振りすぎると月見草が悲しむよ」
私は笑いながらツッコみ、フィンに近づく。
フィンは枝を下げ、ちょっと照れくさそうに笑う。
「うっ、姉貴、わかった! 花守る騎士になる! でも、剣かっこいいだろ?」
ルナがフィンの頭上をふわっと飛び、ニヤリと笑う。
「ちび王子、意外とカッコいいじゃん? けど、私のキラキラの方が派手だぜ!」
フィンがムッとして枝をルナに向ける。
「ルナ、俺の剣の方がキラキラだ! 姉貴、騎士にふさわしい何かくれよ!」
私は胸が高鳴り、月見草の花びらと夜来香のつぼみを手に、花冠を編み始めた。
転生前の花屋で、子供たちに簡単な花冠を作った記憶がよみがえる。
細い茎を丁寧に織り、夜光蝶がそばを舞う中、光る花冠が完成する。
「フィン、これどう? 月見草と夜来香の花冠、騎士の証だよ」
私はフィンの頭に花冠をそっと載せる。
月光に花びらが輝き、フィンの笑顔が庭を照らす。
参加者がどよめき、トム、マリア、テオが声を上げる。
「エリス、フィンの花冠、めっちゃ似合う!」
「騎士のフィン、最高だぜ!」
「花冠、庭の光だ!」
セリナが杖をついて近づき、穏やかに微笑む。
「エリス、いい贈り物だ。昔の王妃も、子供の夢を花で応援したもんだ。フィン、立派な騎士だよ」
フィンが花冠を触り、目を輝かせて叫ぶ。
「姉貴、俺、月見草の騎士として庭を守る! 姉貴の騎士は俺だけでいいよな?」
私は笑いながらツッコむ。
「フィン、立派な騎士だよ! でも、ルナも騎士候補に入れてあげて?」
ルナがムッとして空中で一回転。
「姉貴、私を騎士!? ちび王子より私のキラキラが上だろ! ほら、フィン、剣で勝負だ!」
フィンが枝を振り、ルナが光でかわす。
庭に笑い声が響き、夜光蝶が二人の周りをキラキラと舞う。
レオンが階段を駆け下り、大げさなポーズで割り込む。
「よお、エリス! フィンの騎士デビュー、噂で来たぜ! 俺、癒しの王子として花冠チェック参上!」
「レオン殿下、ただのお客でいいですよ! でも、フィンの騎士っぷり、応援してね」
レオンがフィンの花冠を見て目を丸くし、参加者と一緒に声を上げる。
「フィン、エリス、すげえ! 花冠キラキラ、騎士最高!」
「庭、めっちゃ温かい!」
テオがそっと月見草のしおりを手に、フィンに渡す。
「フィン、このしおり、騎士の宝物にどう? 庭の思い出だよ」
フィンがしおりを受け取り、大喜びで跳ねる。
参加者が拍手し、声を揃える。
「テオのしおり、騎士にぴったり!」
「フィン、めっちゃカッコいい!」
「庭、癒しの光だ!」
私はフィンの笑顔を見ながら、月見草に触れる。
指先がふわりと光り、庭の光が強まる。
転生前の花屋では、子供の笑顔が私の喜びだった。
この庭では、フィンの無邪気な夢が癒しの絆を深める。
「フィン、月見草の騎士として、庭をキラキラ守ってね。みんなの笑顔も守れるよ」
フィンが花冠を握り、力強く頷く。
「姉貴、約束する! 俺、庭とみんなの笑顔、絶対守るぜ!」
ルナがフィンのそばで光を放ち、笑う。
「ちび王子、悪くない気合い! 私のキラキラで、騎士の夢もパワーアップだ!」
月見草と夜来香の香りが漂い、夜光蝶が庭を照らす。
リナとマイが花冠を作り、トムが家族と笑い、カイルが新しい花の提案を始める。
リディアが貴族の子供に花冠を広める話をし、セリナが穏やかに見守る。
この庭でのスローライフは、フィンの騎士の夢でまた一歩輝いた。




