第11話:癒しの香りの発見
マリアがまた来てくれると言っていたし、カイルが下町の使用人仲間を連れてくるらしい。
昨夜、王宮図書館で月見草が月女神スーラの花と知り、癒しの使命に胸を熱くした。
今夜はその想いを試すとき。
月見草の香りで、もっと多くの人を癒したい!
私は小さな木のテーブルに月見草のハーブティーを用意し、花壇のそばで月見草に触れた。
指先がふわりと光り、花がキラキラと輝く。
夜光蝶がふわふわと舞い、フクロウの「ホウ、ホウ」が遠くから響く。
庭は幻想的なオアシスだ。
「ルナ、どこ? 今日、マリアとカイルの仲間が来るよ! 香りの魔法、試したいな!」
月見草の光の中に、ルナがふわっと現れた。
銀色の髪が月光に揺れ、白いドレスがキラキラ輝く。
夜光蝶が彼女の周りをくるりと舞い、フクロウの鳴き声が響く。
「姉貴、香りの魔法! ? 気合い入ってるね! 私の月見草、癒しパワー全開でいくよ!」
ルナはニヤリと笑い、夜光蝶を指さした。
私は微笑み、テーブルのハーブティーを整えた。
「ふふ、ルナ、いつも派手好きだね! でも、今日は香りを濃くして、みんなの心を軽くしたいの。マリア、いつも疲れてるから……」
「へえ、姉貴、優しいね! なら、私の光で香りブーストしてやるよ! ほら、夜光蝶も準備オッケー!」
ルナはくるりと空中で一回転し、指をパチンと鳴らした。
月見草の光が強まり、甘い香りがふわりと庭に広がる。
夜光蝶がキラキラと舞い、フクロウの鳴き声が雰囲気を深める。
私は胸をドキドキさせながら、香りを嗅いだ。
転生前の花屋で、花の香りに癒された記憶がよみがえる。
「ルナ、この香り……! なんか、疲れがふっと消えるみたい!」
「でしょ? 私の月見草、ただの花じゃないよ! 姉貴、もっと魔法かけて、香りパワーアップしてみな!」
私は頷き、月見草に手を伸ばした。
胸の奥で、みんなを癒したいと願い、指先が光る。
月見草の香りが一層濃くなり、庭全体が甘いベールに包まれる。
夜光蝶が光に誘われて舞い、フクロウの「ホウ、ホウ」が静かに響く。
その時、苔むした階段から複数の足音が聞こえてきた。
マリアの疲れた声と、カイルの元気な声、そして知らない話し声。
夜光蝶がふわりと月見草の光に溶け、フクロウの鳴き声が一瞬止まる。
私はテーブルから立ち上がり、入り口を見た。
「エリス! やっぱこの庭、めっちゃキラキラ! ほら、連れてきたぜ!」
カイルが目を輝かせ、ぼさっとした茶色の髪を揺らして現れた。
隣にはマリアと、下町の使用人らしい三人。
洗い物のメイド、馬車の御者、厨房の助手。
皆、疲れた顔だけど、庭の光に目を奪われている。
「マリア、カイル、来た! みんなも、ようこそ! ほら、座って、月見草のハーブティー飲んで!」
私は笑顔で手を振った。
マリアが疲れた笑顔で近づき、庭を見回した。
「エリス……この香り、すごいね。なんか、胸が軽くなる……」
マリアがハーブティーを手に取り、一口飲む。
彼女の顔がふっと緩む。
私は胸が温かくなり、他の使用人にもティーを渡した。
メイドのサラが目を細め、呟いた。
「こんなキレイな庭、初めて……。仕事の疲れ、なんか消えたみたい。エリス、ありがとう」
「サラさん、よかった! この庭、みんなの癒しの場にしたいんだ!」
私は笑顔で答え、カイルが花壇を覗き込んだ。
「エリス、この月見草、香りやばいね! 俺、土の配合バッチリだったからかな?」
「カイル、さすが! でも、ルナの魔法も大きいよ! ね、ルナ?」
ルナがふわっと使用人の前に現れ、ニヤリと笑った。
「ふっふー、姉貴の魔法と私の光のコラボだよ! ほら、夜光蝶見てみな、キラキラで癒し度MAX!」
ルナが指を振ると、夜光蝶が一斉に舞い上がり、月見草の光と絡み合って小さな光の渦を作った。
使用人たちが「うわ!」「魔法!?」と目を丸くする。
フクロウの鳴き声が響き、庭が幻想的に輝く。
御者のジョンがティーを飲み、驚いた顔で言った。
「このお茶……体が軽い! エリス、これ、毎日飲みたいよ!」
「ジョンさん、嬉しい! でも、毎日だとルナが疲れちゃうかも?」
私は笑いながらルナをチラッと見た。
ルナがムッとして空中で回った。
「私が疲れる!? 姉貴、失礼じゃん! 私の月見草、癒しパワー無限だよ!」
「ルナ、調子に乗ってる! でも、この香り、ほんとにすごいよね。みんなの癒しを!」
私は笑いながらツッコんだ。
ルナがケラケラと笑い、夜光蝶を追いかけてくるりと回った。
「ふん、姉貴、鈍感すぎ! でも、この香り、みんなバッチリ癒されてるじゃん!」
庭は月見草の光、夜光蝶の舞、フクロウの鳴き声で満たされ、使用人たちの顔がどんどん柔らかくなる。
厨房の助手、ベンが呟いた。
「エリス、この庭……なんか特別だな。こんな場所、王宮にあったなんて……」
「ベンさん、でしょ? この庭、みんなの居場所になってほしいんだ。カイル、もっと苗増やしてよ!」
カイルがシャベルを握り、ニヤッと笑った。
「任せろ! 明日の朝、肥料持ってくる! この香り、もっと広めなきゃ!」
マリアがティーを飲み終え、目を潤ませた。
「エリス……仕事のストレス、ほんとに消えたよ。この香り、魔法みたい……。ありがとう」
その言葉に、胸がじんわりと温かくなった。
転生前の花屋では、客の笑顔が励みだったけど、この庭では、身近な人たちのこんな表情が見られる。
スローライフって、こういう瞬間だ。
「マリア、よかった! この庭、もっとたくさんの人に癒しを届けたいんだ。みんな、また来てね!」
「ふっ、姉貴、でかい夢! でも、私の月見草が主役だから、忘れないでよ!」
ルナが得意げに胸を張り、夜光蝶が彼女の周りをキラキラと舞った。
サラが笑顔で頷いた。
「エリス、絶対また来るよ。このハーブティー、友達にも教えてあげたい!」
ジョンとベンも頷き、カイルが花壇の土をいじりながら言った。
「エリス、この庭、王都の名所になるよ! 俺、下町の仲間、もっと連れてくる!」
「カイル、頼もしい! ルナ、夜光蝶のショー、次もお願いね!」
ルナがふわっと浮かび、ニヤリと笑った。
「姉貴、任せな! でも、ちび人間たちのセンス、ちょっと磨いてほしいね!」
「ルナ、毒舌すぎ! みんなの笑顔、最高でしょ?」
私はツッコみながら、テーブルを見た。
マリアの穏やかな笑顔、サラの驚きの目、ジョンとベンのリラックスした表情。
カイルが土を愛おしそうに触り、ルナが夜光蝶と戯れる。
この庭が、みんなの癒しの場になる。
そんな確信が、月見草の香りとともに胸に広がった。




