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9.青髪の姉妹

 「一応言っとくが、俺を襲うのはやめといた方がいい。一応、公爵家の息子だから、いいことにはならないと思うよ。前科もあるしね」


 一応脅しは入れておく。

 ま、俺が殺されても公爵家は何もしてくれなさそーだけど……


「わかってるわ。アタシだってそんなバカじゃありません。大きいものにしか興味がないですもの。もう少し大きくなってから色々と……」


 うわ、何考えてんのかわかんねーけど、怖いわ。

 ミフォイにいる女性2/2でこわいわ。


 俺たちは歩いて生活区へ向かう。

 長閑で治安は良さそーに見えるが、そうともいえないのは現実だろう。


 住民全員痩せている。

 それに、子供の数が少ない。


「ここの人々は、前領主の度重なる重税でいちばんの被害を受けている場所です。それに、子供たちは奴隷による人身売買で少なくなっていますわ」


 サリーマの表情はとても厳しい。

 変なサイコパスではあるが、この町のことを本当に思っての行動なのだろう。


「大丈夫さ。これから税制については見直す予定もある。それに、俺も燃やされたくないからな。良くなるよう努力は惜しまないさ」


「それは、あなたが大きくなってから確かめるとしましょう」


 笑みを浮かべながら、サリーマは辺りを見渡す。


 だげど、さっきの言葉のせいで確かめるの意味がどうにも気になってしまうんだよなー。


 まっでもそれはおいといて、俺も確かめて行きますか。


 左眼を閉じて鑑定を行なっていく。

 できるだけ若い子の方がいい。

 だが、若い子が少ないな。


 そこでわかった事がある。

 俺の未と言う部分が何を示すかがわかった。


 ――――――


 スキル:〈裁縫lv2〉(〈身体強化lv0〉)


 ――――――


 いわゆる次のスキルを見る事ができると言うわけだ。

 なら、やることは単純だ。

 先に覚えるスキルが優秀な子を自分で育てればいい。


 ――と思っていたのだが……


 半日歩き回ってみた結果。

 スキルとしては、戦闘系スキルを持ってるいる子は一割にも満たない。

 それに、魔法に至っては大人であっても1人もいない。


 たぶん、戦闘系のスキルを持っている人や、魔法スキルを持つ子は他領に行き、良い職を探しているのだろう。


 一つ先のスキルが見れたとしてもこの結果なのだから、有用なスキルを持つ人は元々少ないのだろう。


「おぼっちゃまくん。もしかしていい人見つからないの?」


「そうだな。サリーマ、他に人がいる場所を知らないか?」


 なんだよその呼び方って突っ込むのは面倒くさいから後にして、ここの領民であるサリーマなら他にいいとこを知ってるのではないか?


「……一応、若い子がいる場所は知ってるわ。だけど、あまり子供に見せられるものでは……」


 子供に見せる事が出来ないって?


 でも、サリーマの顔からなんとなく伺える。

 多分、スラム的な場所だろ。


 普通の子供には教育上良くないかもしれないが、俺にとっては好都合だ。

 そこに行けば、若い子を鑑定できるし、ここの貧困を改善する一つの案になるかもしれない。


「サリーマ。連れて行ってくれ」


「――わかりましたわ。でもお辛くなったらいつでも言ってください」



 サリーマが俺を先導し、連れて行ったのは居住区があった場所から、かなり歩いたところにある。

 簡単にいえば、ゴミ捨て場だ。


 いろんなものが捨ててある。

 服やら、紙やら、腐った食べ物等。


 そして、その周りには石や木の下、草の陰、ゴミの中に人がいた。


「これが、この町の現実です。重税に耐えられなかったものがこの場に逃げて隠れたり、子供を捨てたり、挙句の果てには前領主のお手つきになり、捨てられたものなどが暮らす場所となっています」


 う、確かにそれは酷い。

 正直、どれを聞いても前領主の非道な行いに反吐が出そうになっていたが、これは……


 だが、今の俺じゃここの人達を全員どうにかできるほどの力がない。

 なら、少なくても力になれるように。


 サリーマは、ここにくる途中にパンなどを買っていた。

 そして、歩きなれたかのように、ゴミを掻い潜っていく。


「ほら、子供たち。みんなで分け合って食べるんのよ」


 そこにいたのは痩せ細った、まだ10にも満たない子供だった。

 その子供達を見るサリーマの目は、何か普段の彼女とは違って見える。


「アタシは、元々ここのゴミ捨て場で育ちました。親の顔は見た事もないわ。でも、10歳の頃、魔法のスキルによって天地がひっくり返ったわ」


 なるほど、それほど魔法系スキルとは偉大なものなんだろう。育ちとは本当に関係なく、魔法があるものはそれだけで大きな力を手に入れる事ができる。


「魔法の勉強のために一度離れ、世界を見てきました。だからこそわかったわ。ここがよっぽどクソだって。だから燃やしてやったわ、ゴミのようにね……」


 俺は、その言葉に声をかける言葉できない。

 僕の家も正直ゴミだ。

 何もしてない俺は、何も出来てない俺は声をかける資格もないのだろう。


 だからこそ、今一歩進むのだ。


 俺は鑑定を行う。

 まだ、10歳に満たない子はスキルを見る事が出来ない。

 多分ステータスを授かってないからだろう。


 でも、それ以外にも若い人はたくさんいる。

 嬉しくない事だが、俺にとっては吉だ。


 違う、違う。

 1人ずつ鑑定をして行った結果。

 最後に、1人の子供の世話をしていた、俺より少し年上の子を見つける。

 多分姉妹だろう。

 2人とも肩までの淡い青色の髪を持っており、痩せ細っているが、綺麗な顔立ちをしている。

 そして、目が特徴的で、宝石のようなエメラルドの瞳をしている。


 ――――――


 シュシュ

 女 12歳

 lv2

 MP:10

 str:8

 def:5

 spd:8

 int:11

 luck:8

 dex:10


 スキル:〈短剣術lv1〉〈水・風賢者lv0〉


 ――――――


 これはすごい!

 魔法スキルをここまで見たことなかったのに、賢者のスキル。

 そして、2属性を操る事ができるとは……


 正直、ここまでは期待してなかったが、これはいい。


「君! 俺の従者にならないか??」

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