ゲスな婚約者に婚約破棄された私は、語尾が『~でゲス』な貴公子と出会いました
「ナタリア・クライン! お前との婚約を破棄する!」
夜会にて、こう言い渡されたナタリアは愕然とする。
ナタリアは子爵家の次女。長いバターブロンドの髪とガーネット色の瞳が特徴的で、真紅のドレスがよく似合う令嬢であるが、この時ばかりはその麗しい顔立ちも強張ってしまった。
彼女の婚約者はデルガー・ギベル、伯爵家の令息であった。
デルガーは髪をかき上げるキザな仕草を見せつけつつ、さらに言い放つ。
「ようするに、飽きたんだな」
「え」
「昔っから俺は飽きっぽい性格でね。父上にオモチャを買ってもらってもすぐ飽きちまう。それと同じだな。だから、別れてくれ」
あまりに身勝手な暴言に、ナタリアは立ち尽くすしかない。
「俺も若いしさ。もっと色んな子を物色したいんだよね」
ここでようやくナタリアが言葉を返す。
「……そんなことが許されると思ってるんですか? 私たちは単なる恋人同士ではなく、婚約したんですよ?」
「だからなんだ?」
「!」
「我がギベル家はある公爵家とも繋がりのある名門だ。たかが子爵家の次女程度、いつだって捨てれる立場にあるんだよ。なんなら自分の親父にでも泣きついてみるか? 無駄だろうがな。きっとこう言うはずさ。『ギベル家には逆らえない』と」
ナタリアもその光景は想像ができてしまう。ギベル家は伯爵家の中でも際立つ地位にあるのだから。
「……というわけで、お前が俺の女としてできることはあと一つ。この場から消えろ。10秒以内だ」
デルガーは手の甲でナタリアを追い払う仕草をする。
ここでデルガーを罵ることができればどんなにスッとするか。だが、できるはずもない。そんなことをすれば、ギベル家そのものを敵に回しかねず、一族全員に迷惑をかけてしまう。
ナタリアは怒りと悲しみをぐっとこらえ、夜会会場を後にした。
会場のドアを閉める寸前、ついさっきまで婚約者だった男の「邪魔者は消えた! さあ、楽しもう!」という声が聞こえた。
***
あとはデルガーの予言通りだった。
ナタリアの父は“ギベル家には逆らえない”とこの婚約破棄を受け入れ、ナタリアもそんな父を責めなかった。
華やかに見える社交界はその実、強固な上下関係で縛られている。下の者は上に歯向かえない。長い物には巻かれるしかない。仕方のないことなのだ。それは分かっている。
しかし、ナタリアはやり切れない思いを処理できず、再スタートを切ることなく、あてもなく王都内をさまよっていた。
昼間から、ナタリアは岸に座り、ぼんやりと川を眺める。
川の中では魚が泳いでいる。魚だったら自分のような思いをしなくて済むのだろうか。魚の社会にも自分のような思いをしている魚はいるのだろうか。
小一時間ほど眺めていたが、答えなど出るはずもない。
(いつまでもこうしてるわけにもいかないわね)
ナタリアは立ち上がろうとするが、ずっと座っていたせいで足が上手く動かず、よろめいてしまう。
「きゃっ!」
すると、誰かがそっと肩に手を置いて、支えてくれた。
ナタリアが礼を言おうとすると、手の主は信じられないような美男子だった。
絵に描いたような金髪碧眼の青年で、肌は白く、鼻筋は整い、青い貴族服がよく似合う。
ナタリアは赤面し、しばらくその青年の顔を見つめていた。
そして、青年はこう言った。
「大丈夫でゲスか?」
「!?」
ゲス? ゲス? ……でゲス?
いや、違う。きっと聞き間違いよ。そうに違いない。ナタリアは首を左右に振る。
「大丈夫です」とかろうじて答える。
すると――
「そうでゲスかぁ~! よかったでゲス! 貧血でも起こしたのかと心配したでゲスよ~!」
聞き間違いではなかった。
この貴公子の語尾は『でゲス』なのだ。
その見た目とのあまりのギャップに、ナタリアは思わず――
「……ぶふっ!」
噴き出してしまった。
「どうしたでゲス?」
「ごめんなさい! あの、あなたの喋り方……」
「ああ、これでゲスか?」
ナタリアは完全にツボに入ってしまった。
「ふふっ、ふふふっ……!」
こらえつつ、思いきり笑ってしまう。
しかし、青年は気にする様子もない。
「お、笑ったでゲス! 笑えるということは元気でゲスな! よかったでゲス~!」
それどころかナタリアが笑ったことを喜んでくれる。
ナタリアは笑いつつも、心の中で「なんて素敵な人なんだろう」と思った。
少し時間が経ち――
「すみません、大笑いしてしまって……」ナタリアが謝る。
「いいでゲスよ~! 僕はそんなに心は狭くないでゲス!」
「私はナタリアと申します。あなたは?」
「僕はフェザールでゲス!」
「フェザール……様」
「まあ、ずっとここにいるのもなんでゲスし、お茶でもどうでゲス?」
「……はい!」
ナタリアとフェザールは、近くのカフェに入った。
初めのうちは、やはりフェザールの語尾の話題になる。
「フェザール様はどうして、『でゲス』という語尾に? 誰かから影響されたんですか?」
「いやぁ、物心ついたらこの語尾だったゲスねえ。僕の弟や妹たちもみんな、僕とは違う喋り方でゲスし」
“僕とは違う喋り方”というのは、つまり“普通の喋り方”ということなのだろう。
「ご家族は何も言わないんですか?」
「変わってるとは言われるでゲスが、直せとは言われないでゲスねえ。父上も『貴族としての使命を果たしているのなら、その喋り方でもかまわん』と言ってくれたでゲスし」
ナタリアにもフェザールが貴族だというのは推測できていた。
社交界はルールで雁字搦めといっていい世界。そんな中、息子の妙な口調を認めるフェザールの家族は非常に寛大な心の持ち主といってよい。
「いいお父様ですね」
ナタリアは心の底からこう言い、
「僕もそう思うでゲス!」
フェザールもコーヒーを飲みつつ笑った。
さて、話題は移り変わり――
「ところで君は、川で何をしてたでゲスか?」
「魚を……見ていました」
「へえ、魚が好きなんでゲスか?」
ナタリアは首を左右に振る。
「魚になったら楽しいのかなって、それとも魚の社会もやっぱり辛いのかなって……」
これを聞いたフェザールは身を乗り出してきた。
「……相当辛い目にあったみたいでゲスね。僕に話してくれでゲス! 力になれるかは分からないでゲスが……話すことで楽になることってあるでゲスよ!」
「はい……」
ナタリアは自分が受けた仕打ちを全て話した。
フェザールは顔をしかめ、腕を組む。
「ひどい男もいたもんでゲスなぁ。そんなゲスは許せんでゲスな! 足でゲスゲス蹴ってやりたいでゲス!」
あまりに“ゲス”を連呼するので、ナタリアはまたも笑ってしまう。
「おっ、面白かったでゲスか?」
「はい……。それにおっしゃるように話したらスッキリしました。むしろ、あんな男と結婚することにならなくてよかった、と思えました」
「それはなによりでゲス!」
フェザールのおかげで、川底に沈んでいたナタリアの心はようやく浮かび上がった。
「よ~し、こういう時はパーッと遊ぶでゲスよ!」
「はいっ!」
ナタリアとフェザールは王都内の繁華街を訪れ、さまざまな遊びに興じた。
食べ歩きをしたり、大道芸を見たり、景品を貰える輪投げに挑戦したり、ナタリアが心に受けた傷を癒すには十分なひと時だった。
日没近くになり、二人は別れる。
「フェザール様、今日は楽しかったです」
「それはよかったでゲス!」
そして――
「また会えるでゲスかね?」
これにナタリアはにっこり笑って答えた。
「もちろんです。私から言い出そうと思っていました」
夕日に照らされた二人の顔は赤く染まっていたが、それは夕日のせいだけではなかったのかもしれない。
***
ナタリアとフェザールは知り合ってからというもの、週に一、二度の割合でデートを重ねた。
貴族同士の堅苦しいものではなく、いたって庶民的なデート。
今日も演劇を観たが、内容は子供も気軽に楽しめるような大衆劇であった。
「いやー、面白かったでゲスなぁ!」
「はい、みんながバナナの皮で滑るところが最高でした!」
「あそこは僕も大笑いしちゃったでゲス!」
愉快なムードのままレストランに入る。
ナタリアは白身魚のソテーを、フェザールはジューシィなステーキを頬張る。
そして、フェザールが話を切り出す。
「今度、僕の父上がパーティーをやるんでゲスが、よかったら来ないでゲスか?」
「パーティー?」
「結構規模の大きいパーティーでゲス。僕も息子として出席することになってるんでゲスが、ぜひナタリアにも出てもらいたいでゲス。だけど、ナタリアはそういった会で酷い目にあってるでゲスし……」
ナタリアは婚約破棄の一件以来、夜会やパーティーといったものには一切参加していなかった。
やはりあの時の苦い記憶が蘇る、というのがその理由であった。
しかし――
「行きます」
ナタリアはきっぱりとこう答えた。
「フェザール様がいれば怖くありませんから!」
フェザールは柔らかい笑みを浮かべた。
「ありがとうでゲス。君を絶対に嫌な目にはあわせないでゲス」
「はいっ!」
ナタリアもにっこりと笑った。
***
パーティーは王都の大ホールで開催されるという。
開幕時刻は日没、会場には大勢の貴人らが集まっている。
ナタリアも真紅のドレスで着飾り出席したが、その規模に圧倒される。
(こんな大きなパーティーだとは思わなかった……)
みっともないとは分かっていても、ついきょろきょろしてしまう。
やがて、司会者がパーティー開催を宣言する。
「只今より、ノーヴェラス公爵閣下の主催の元、パーティーを開幕させて頂きます。まずはごゆっくり、お食事やお酒、ご歓談をお楽しみ下さい」
ナタリアはぎょっとする。
「ノーヴェラス公……!?」
ノーヴェラス家といえば、貴族でその名を知らない者がいればその時点で貴族失格といっていいほどの、名門中の名門。
ナタリアは「自分はそんなパーティーに来てしまったのか」と驚愕する。
さらに、その思考は一つの結論を導く。
(ということは……フェザール様は……!?)
彼は確かに『僕の父上がパーティーをやる』と言っていた。
だけど、そんな、まさか――ナタリアは思考をまとめることができない。
困惑しているナタリアであったが、その困惑に追い打ちをかける人物が現れる。
「ん? なんでお前がここに?」
ナタリアが振り向くと、そこにはデルガーがいた。
「デルガー様……!」
かつて、自分との婚約を破棄した、憎き相手がそこにいた。横には見たこともない令嬢を伴っている。
「質問に答えろよ。なんでお前如きがここにいるんだ?」
“如き”呼ばわりまでされ、ナタリアの中にトラウマが蘇る。
しかし、どうにか気丈に言葉を返す。
「招待を受けまして」
「招待ィ? ハッ、嘘こくなよ。ノーヴェラス家が、たかが子爵家の次女を招待するわけないだろう」
胸が痛む。心が屈しそうになる。だが、潰れるわけにはいかない。
「本当です。招待状だって持っています!」
ナタリアがそれを見せると、デルガーは舌打ちする。
「ふん、本物のようだ。まあいい、きっと何かの手違いでもあったんだろうな。よかったな、手違いで場違いとはいえこんな一流のパーティーに参加できて」
「……」
「返す言葉もないか。まあ、せいぜい、一流の皆様の邪魔にならないよう隅っこで大人しくしてろよ」
デルガーは下卑た笑みを浮かべ、隣の令嬢もクスクスと笑う。
ナタリアは心の中で歯噛みする――その時だった。
「ナタリアへの侮辱は許さんでゲス」
声とともに、フェザールが割って入ってきた。
ナタリアの盾になるような位置につく。
「ごめんでゲス。本当はすぐに迎えに行きたかったんでゲスが、僕にもやることがあって……」
金髪碧眼のフェザールが真っ白な礼服を着こなす姿は美しかった。
語尾は相変わらず『でゲス』だが、ナタリアはその語尾でむしろ安堵してしまう。
「な、なんだお前!?」デルガーが狼狽する。
「お前などに名乗る名はないでゲス。とっととナタリアから離れるでゲス」
フェザールのただならぬ迫力に、デルガーは圧倒されている。
だが、デルガーもプライドは高く往生際は悪い。
「イカれた喋り方をしやがって……。お前がナタリアのボーイフレンドか?」
「そうでゲス」
「ふん、クズみたいな女には、クズみたいな男が寄り付くもんだな。お似合いだよ、お前らは! そうだ、そんなお前らにピッタリのプレゼントをやるよ!」
デルガーは近くのテーブルにあった紙ナプキンをクシャクシャに丸めると、それをフェザールに投げつける。そのまま丸まったナプキンは床に落ちた。
「どうだ、クズにはお似合いのプレゼントだ! ハハハッ!」
だが、フェザールはまるで動じない。
「拾うでゲス」
「……!」
「自分で落としたナプキン、自分で拾うでゲス!」
「ぐっ、この野郎――」
精神的に追い詰められたデルガーが食ってかかろうとするが――
「どうしたのかね?」
重厚な声であった。
黒スーツを着た貫禄ある壮年の紳士が騒ぎに入ってきた。
「ノ、ノーヴェラス公……!」
デルガーは紳士の正体にすぐに気づく。
そして、すぐさま頭の中で作戦を組み立てる。
デルガーの父は、ノーヴェラス公爵家と付き合いがあり、当然公爵とも知り合いである。
息子である自分の頼みも聞いてくれるに違いない。
「実はですね、目の前にいるこの男が、私を侮辱してきましてですね……」
すると――
「ほう、私の息子がそんなことを?」
「へ?」
「今そこに立っているのは我が家の長男フェザール・ノーヴェラスだよ」
デルガーの作戦が一瞬で砕け散った。
「もう一度聞こう。フェザールが君を侮辱したのかね?」
「い、いえ……。それは、あの……」
青ざめるデルガー。フェザールが畳みかけるように言う。
「父上、侮辱をしてきたのはそちらの方でゲス」
そのままナタリアと自分が受けた仕打ちをありのまま打ち明ける。
最後にこう付け加える。
「僕はともかく、ナタリアを侮辱したことは許せんでゲス」
公爵はデルガーに厳しい眼差しを向ける。
「この場ではこれ以上のことは言わん。だが、君のお父上には厳重に抗議させてもらうよ。ナタリア嬢への仕打ちも含めてね」
これを聞いたデルガーは、もはや自分の人生がお先真っ暗になったと悟り、へなへなと崩れ落ちた。連れていた令嬢も、いつの間にかいなくなっている。
ギベル家での立場が悪くなる程度ならまだいい方で、おそらくは勘当されることは間違いないだろう。
事実、この日を最後にデルガーを社交界で見た者はいない。
公爵はナタリアに謝罪する。
「私のパーティーで不快な目にあわせてしまった。申し訳ない」
「いえ、そんな……!」
ナタリアは恐縮してしまう。
「その代わりといってはなんだが、どうか我が息子フェザールとパーティーを楽しんで頂きたい」
ナタリアは思わずフェザールを見る。フェザールは優しくうなずく。
ナタリアは公爵に向き直ると、元気よく答える。
「たっぷり楽しませて頂きます!」
その後、ナタリアは場の雰囲気に臆することなく、フェザールとともに食事や歓談を嗜んだ。
二人の姿は周囲の一流貴族たちにも劣らぬ気品を纏っていた。
ただし――
「このワイン、美味しいでゲスなぁ!」
「はい!」
フェザールの語尾はやはり『でゲス』であった。
***
パーティーからおよそ一週間後、ナタリアはフェザールとデートをしていた。
フェザールの正体が明らかになっても、二人の関係は変わらず、いつものような気軽な散策を楽しむ。
「このクレープ美味しいですよ!」
「おおっ、本当でゲス! 甘くてクリーミィでゲスなぁ!」
スイーツに顔をほころばせ、感想を語り合う二人。
日没近くになり、いつもならこのあたりでデートを切り上げる時刻であるが――
「ナタリア、話があるでゲス」
「なんでしょう?」
フェザールは強張った顔で喉を動かしてから、言った。
「僕と結婚して欲しいでゲス!」
「……!」
「僕はこんな喋り方で、父上に許されているとはいえ、社交界ではやっぱりどこか変わり者として扱われていて……君は、そんな僕が初めて心を許せる異性だったでゲス」
「フェザール様……」
「僕は君とずっと一緒にいたいでゲス。だから……」
ナタリアはフェザールの右手を両手で握り締めた。
すなわち、承諾の合図。
「フェザール様、喜んで」
「ナタリア……」
「私もフェザール様とずっと一緒にいたいです!」
二人は見つめ合い、目を細める。
そのまま距離が近づき、唇が触れ合うまで、そう時間はかからなかった。
さらに――
「結婚するからには、僕もなんとかこの喋り方を……変えなきゃいけないでゲ……いけないよね。慣れるまで、時間がかかりそうで……だけど」
すると、ナタリアは人差し指でフェザールの唇にツンと触れた。
「変える必要はありませんよ」
「ナタリア……」
「フェザール様はそのままでいいんです! いいんでゲス!」
ナタリアのでゲス口調に、フェザールも思わず笑った。
「そうでゲスな!」
二人は朗らかに笑い合った。
そんな二人が婚約式を開いたのはそれからまもなくのことであった。
***
時は流れ、ナタリアはフェザールと結婚し、公爵家であるノーヴェラス家に嫁いだ。
フェザールは次期当主として、王家との親交を深め、領地経営に勤しみ、多忙ながら充実した日々を送る。
ナタリアもそんな夫を懸命に補佐し、あらゆる面で支えていく。
ある日、邸宅の書斎にてフェザールは事務仕事に励んでいた。
「今年はなかなかの豊作でゲス! みんな頑張ってくれてるでゲスなぁ!」
ナタリアはそんな夫に紅茶を持ってくる。
「あなたが領地の見回りを欠かさないから、みんなモチベーションが上がってるみたいよ。上の人はちゃんと見ていてくれてるって」
「僕は貴族として当然のことをやっているまででゲスよ」
「それができていない人だって多いんだから」
フェザールは紅茶を一口飲む。
「うん、美味いでゲス! よーし、これでまだまだ頑張れるでゲスよ!」
「そうね。だけど無理は禁物よ。体を壊したら、なんにもならないんだから」
「分かってるでゲスよ」
「本当に分かってね。なにしろお父さんになるんだから」
「え、ナタリア……それは……!」
「ええ。お医者様に診てもらったら……」
フェザールは一息に紅茶を飲み干し、拳を握り締める。
「嬉しいでゲス! やったでゲス~!」
「だからいつまでも元気でいてね。病気になったら悲しんじゃうでゲスよ」
「分かってるでゲス! よーし、二人で健康で領民を大切にする領主を目指すでゲス!」
ナタリアとフェザールにはそれを実現できる力がある。きっと成し遂げるに違いない。
ノーヴェラス家の邸宅には今日も元気のよい『でゲス』が響き渡る。
おわり
お読み下さいましてありがとうございました。