表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

六.エピローグ

 山中はぼんやりと車から湖岸を眺めていた。ルアーが故障していたのか、幸い彼女は軽傷で済んだ。しかし、完全に壊れたそれは以前のようには機能しなくなっていた。

 

「でも、なんであんなものが琵琶湖に沈んでたんっすかねぇ。飛行機から落っこちたとか」


 岸本が隣でぼんやりとつぶやいた。

 

「馬鹿が、そんな事あるわけないだろ」


「でも、どっかから入ってきたのは事実っすよ。幽霊みたいに突然現れるわけないっすから」


 岸本の意見に山中も首をひねった。

 

「まあ、確かにそうだな。誰かが持ち込んだことには変わりないが。いったい……あ!!」


 ふと、ある可能性に気づいてぞっとした。岸本が(いぶか)しそうな顔をして山中を見た。

 

「どうしたっすか? 原因がわかったんすか」

 

 ああ、山中は苦しそうな表情で答えた。

  

「一年前、あのガイドにルアーの説明を受けた後、何かを言っていたのを思い出した。プレゼントがどうかとか。ガイドには荷物の管理も任せていた。もしかして、知らない間に俺の鞄に忍ばせていたのかもしれない。帰国後、アメリカで購入したルアーを知り合いに配った。誰かが釣りで使って、引っ掛かってそのまま捨ててしまったんじゃ」

 

「まじっすか……まあ、大きな事故にならなくて不幸中の幸いっすね」


 そうだな。情けない自分に山中は頭をかいた。

 

      ※

      

 岸本はルアーをじっと眺めていた。

 

(まさかこれにそんな秘密があったなんて)


 山中からもらったバスクラシックのお土産。一つはすぐに木に引っかかってそのまま捨ててしまった。あの少女が持っていたルアーとそっくりだった。だが、まったく同じタイプがもう一つあったのを思い出した。こちらはまだ新品。大事に使えばまだまだ充分もつはずだ。

 

「一回優勝すれば5千万円。こんなうまい商売はないな」


 岸本は大事そうに枕の上に置いて、電気を消した。その夜、ぐっすりと寝込んだ岸本の頭上がぴかぴかと光った。

 

〝Attention、Attention.It will explode automatically……〟

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ