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一.プロローグ

 真夏の琵琶湖。炎天下で風一つないうだるような午後二時。車の中でクーラーに涼みながら山中は湖岸をじっと見つめていた。ハット帽をかぶった釣り人が一人。異様に長い竿を真っすぐに立てて、こちらに背を向け、じっと立っている。湖面を見た。小さなものがプカリと浮いてプルプルと震えている。


(ったく馬鹿なやつだなぁ)


 煙草をふかしながら山中はあきれた。つかっているのはトップウォータープラグ。湖面で弱々しく動く小魚を装い、魚の捕食を(うなが)すルアー。

 

(だが……)


 山中は目を細めて窓から空を見上げた。ギラギラと輝く太陽。この光であれば魚はまず湖面まで出てこない。トップウォーターを使うのは朝夕か雨雲の時間帯が定石。この炎天下。ただ日焼けをしているために立っているようなものだ。

 

(ド素人にはいい薬だな)

 

 わずかに残った煙草を一気にすおうとした瞬間、おもわず吹きそうになった。湖面がわずかに揺れた。大きく後ろに引いた竿が美しい弧を描いてしなった。

 

(まさか……)


 巨大な魚影がジャンプするのが見えた。でかい。五十はある。人影が竿を立てたままゆっくりと波打ち際から離れた。巨大なブラックバスが観念したように砂浜に引き上げられたのが見えた。

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