表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金色の閃光レイ  作者: ゆっちん先生
第1章
3/8

第2話 突然変異者

 狙いを定めて、自動式拳銃(オートマチック)の引き金を引く。

 人差し指サイズの鉄塊が風を切り、叫ぶ帝国市民の足を打ち貫く。

 続く仲間が放った無数の弾丸が、その体をハチの巣にした。血の海に倒れこみ、痙攣した後、事切れてしまう。

 場所は、帝国側の領土に少し侵入した場所にある、イムコウ街。

 二十数名からなる、少数部隊での奇襲。一斉射撃の号令とともに、蹂躙が始まった。もともと、人口数百名しか存在しないレンガ造りの街だ。街の警備隊もまばらにしか存在しておらず、連携も取れぬまま瞬く間に血の海に沈んでいく。

 ——近年では珍しい、レンガ造り特有の綺麗な街並みを、弾丸の嵐が真っ赤に染めていく。

 やがて、部隊長の号令で三人一組(スリーマンセル)に別れることになった。

 僕とクエンサーとローグは、気配を潜ませながら裏道へと足を進めていく。

 日の注がない入り組んだ暗い道を進んでいくと、突如視界が開ける。

 降り注ぐ陽光に照らされた、ステンドグラスの協会。

 その前に、一人の十歳にも満たない少年が待ち受けていた。

 厳しい表情でこちらを見据える彼に、俺が怯んでいると——。

 ローグが構えた狙撃銃から、何の躊躇もなく弾丸が射出された。

 少年の脳天を狙った、一撃必殺の射撃。

 少年の首が空を仰ぐ——かと思いきや、勢いよく戻ってきた額から倍のスピードとなった小さな鉄塊が接近してくる。

 弾丸を打った本人の脳天へと命中し、鮮血とともに膝から崩れ落ちた。

「ぼさっとすんな、ダルシュ!このガキ…【ミューテスター】だ!」

 無事だった方の仲間——クエンサーが発砲せず、アサルトライフルを閃かせて少年に突撃する。

 【突然変異者(ミューテスター)】とは、生まれつき特有の超能力を持った人類のことだ。100人に1人の割合で存在していると言われる彼らは、国家を転覆させかねない凶悪な能力から、日常生活にしか役立たないような能力まで、大小様々な超能力を『一つ』宿している。割合からもわかる通り——日常で見かけるちょっと珍しい程度の才能のようなもの。

 少年の皮膚が弾性を持って、弾丸を跳ね返したところを見ると——おそらく能力は【強弾性系統の体】。あるいは念じた物体を【強弾性】に変換できる超能力であると、推測できる。

 素早く少年に接近したクエンサーが、アサルトライフルを振り上げる。

 アサルトライフルの先端には銃剣があり、鋭刃が得物を持たない少年の首に吸い込まれる。


 ——金属音が響く。刃は、灰色に変色した首の皮にはじかれていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ