第十九章 ~ 中てられた魂 ~
キウは、再び ハスミの所に戻るため、瞑想を始めた。
いくら座っていても集中出来ない・・。
ジッ・・。
蝋燭が、音を立てて一瞬周りが真っ暗になった。
キウは、蝋燭を見た。
今にも燃え尽きそうだ。
キウは、急いで新しい蝋燭を出して火を移した。
・・どうしても、上手く瞑想が出来ない。
キウの焦りは、どんどん大きくなっていった。
「は~っ! 」
キウは、大きなため息をついた。
気分転換のために、川へ行くことにした。
キウは、川の水に全身を付けた。
そして、水を口に含むと飲み込んだ。
『苦い・・。 』
キウは、口の中の水を吐き出した。
何故か、川の水が物凄く苦い・・。
キウは、龍を呼んだ。
川底には宝石は見つからず、
岩の上にも、居なかった。
キウは、焦った。
半狂乱になった。
キウは、大声をあげて叫んだ時、顔に川の水が勢いよく飛んで来た。
キウは、ハッとした。
そして、我に返った。
水の中に、うっすらと龍の姿が見えた。
しかし、はっきりとは見えない。
龍の姿は、透けていて、まるで障子紙の様にペラペラしていた。
何か、言っている様だ。
口がもごもご動いている。
しかし、どんなに耳を澄ませても、龍の声は聞こえない。
「龍は居るの? 何て言ってるの? 聞こえない! 水も苦くなってるんだ! どうして!? 」
龍は、尾を使って キウの顔に水をかけた。
そして、その尾で敷布の方向を刺した。
キウは、敷布に戻って行った。
再び瞑想をしようと試みるも、どうしても出来ない。
キウは疲れて、横になると不思議と眠りについた。
◇◆◇◆◇
どれくらい時間が経っただろう・・。
蝋燭が燃え尽きそうになった時の、“ジッ・・! “と、言う音で目が覚めた。
キウは、蠟燭の火を付け替えた。
何だか、体がだるい。
まだ、頭がはっきりしない。
キウは、川に行って、丘の上に提灯を置くと、その場に座り込んだ。
『まだ、水は苦いかなぁ・・。 』
頭が、ぼーっとしている。
川に目をやると、川底の宝石が見えた。
キウは、提灯を、その場に置いたまま川に入った。
宝石を、指で優しく突いた。
すると、宝石は 龍になった。
「気持ちは、落ち着いたか? 」
龍は、優しい声で聞いた。
「うん・・。 」
「怠いだろ。 」
「うん・・。 」
「今日は、1日寝ておれ・・。 」
「どうして? 」
「中てられておる・・。 」
「・・・・。 」
「瞑想をして行った先の磁場に中てられたんだ。 瞑想で行くと、肉体の盾が無い。 直に磁場を受けてしまう。 お前は、これから 自分の魂の守り方も学ばねばならない。 」
「どうすれば良いの? 」
「瞑想だ。 瞑想をしている時、自分自身の磁場の周りに防護膜を張るのだ。 私は、そうとしか知らん。 」
「・・・・。 」
「私は、この世界の実体を持たない。 人間が、魂だけに なった時の身の守り方は、お前の婆さんに聞いたんだ。 お前の婆さんに、会って聞けば良い・・。 」




