第十八章 ~ ハスミの居場所 ~
もともと、水しか飲んでない、キウはあまり眠らない。
しかし、その日は、余計に眠れなかった。
「あれは、何だったんだ!? ハスミは、やっぱり生きている!? どこに捕まってるんだ? 」
心臓が、ドキドキして飛び出してきそうだ!
「何でも良い! 必ず助け出す!! 」
キウは、思いついた!
「もしかしたら、もう一回、行けたら何とかして助け出す方法を見つけられるかも! 」
キウは、再び瞑想をしようとした。
しかし、上手く行かない。
鼓動の音が煩くて集中出来ない!
「あ~! 」
キウは、イライラから叫び声を上げた。
しかし、叫べば叫ぶほど、その声は、岩の穴の中で共鳴して鼓膜を劈くように響いた。
◇◆◇◆◇
かなり時が経った。
ふと、提灯を見ると蝋燭が消えかけていた。
キウは、我に返り、蝋燭を取り換えた。
『どうすればいいのだろう? 目が覚めた時、龍が居た。 』
「もしかして、あの夢は龍が見せたものなのか!? 」
キウは、川に行った。
川底の二つの宝石がある。
その宝石は、ギョロっと目になり水から上がって来て龍になった。
「どうした? まだ、今日は、瞑想しておらんだろ。 瞑想してから来い。 」
「聞きたいことがある! 」
「・・何だ? 」
「昨日、夢を見た! あの夢は、龍が見せたものなの? 」
「・・お前は、どう思う? 」
「あれは、本当なの? ハスミは生きているの? 」
「・・お前は、どう思う? 」
「お前は、どう思うって・・、分からないから聞いているんだ! 」
「私は、何も知らん。 」
「じゃあ、何で目を開けたら居たの!? 」
「お前の瞑想が素晴らしかったからだ。 人は、素晴らしい瞑想をすると、そこに美しい地場を作る。 私たちに取っては、その地場が栄養になるのだよ。 しかし、お前が何を見ておったかまでは知らん。 」
「・・本当に? 」
「何が、“本当に?”だ? 」
「ちょっと、残念だったんだ。 ハスミが生きていると思った・・。 」
「ハスミって誰なんだ? 」
キウは、ハスミのこと、ハスミを助ける為に魔封士になろうとしていること、“魔”にやられて、おじいさんに助けられて、修業を始めたことを話した。
龍は、黙ってキウの話を聞いていた。
「私には、人の心は分からん。 しかし、瞑想をしておる時に、それを見たのであれば、それは真実である可能性が高い。 しかし、だ。 お前は、ハスミは“魔”に捕らえられたと言った。 瞑想をした時に見たハスミが居たのは、人の城では無いか? ハスミは、人の食事を作っておったのだろ? “魔”は、そんな物は食べん。 」
「あ・・! 」
どう言う事だ!?
ハスミは人に捕らえられたのか!?
でも、キウは、ハスミを追いかけて行って、波旬の暗羽烏の式神の門に辿り着いた。
どういうことだ!?
「・・頭を冷やして、瞑想をしてから来い! 」
龍は、キウに言った。
キウは、考え込んだまま、敷布の所へ戻って行った。
龍は、にやりとして、また水の中に戻って行った。




