第十六章 ~ 戦いの為の瞑想 ~
「お前は、まだ完全に、この世界のものだ。 石清水の力で生かされておる。 瞑想するんだ。 そうすれば繋がれる。 」
『瞑想か・・。 』
キウは、少しがっかりした。
やっと、戦いの為の修行が始まるのかと心躍らせていたからだ。
しかし、何となくわかって来た。
まだ、キウは、戦いの為の精神が出来ていないのだ。
修業をする為にすら、準備が出来ていたいのだ。
『だから、おじいさんは、瞑想ばっかりさせてたんだ・・。 』
キウは、おじいさんの真意を少し理解した。
「瞑想に、しっかり心を入れるんだ。 心の奥に、永遠を見つけろ・・・・! 」
そう言うと、龍は、キラキラと光りながら川に消えていった。
キウは、考えた。
婆ちゃんと、キウは何が違うんだろう?
食べることと、眠ることをしなかった以外に、キウは 婆ちゃんに、違和感を感じたことは無かった。
人里離れたところに住んで居ただけで、村の人達と馬鹿話をしては大笑いをしているのをよく見た。
しかし、婆ちゃんは、食べることも、眠ることもしないで、どうやって生きていたんだろうか・・・・。
“半分神になる”って、どういうことなんだろう・・。
“瞑想に、しっかり心を入れる・・。 心の奥に、永遠を見つけろ・・。 ”
キウは、瞑想をすることにした。
敷布の所に戻り、その上に どさっと座った。
提灯の蝋燭は、まだ燃え尽きるまでに余裕がある。
キウは、目を閉じた。
『心の中に、永遠を見つける・・・・。 』
キウは、心の中でつぶやいた。
キウは、キウは真っ暗な心の中に、“永遠”探した。
すると、キウの心は、真っ暗な中に、だんだん落ちて行った。
「キウ、そうじゃ。 良く出来ちおるわ! 」
婆ちゃんの声が聞こえた気がした。
キウは、目を開けた。
提灯のろうそくが、燃え尽きそうになっていた。
キウは、急いで蝋燭を交換した。
蝋燭を交換したばかりだから、蝋燭が燃え尽きる心配はない。
再び、敷布の上に座り、胡坐をかいた。
キウは、心の海に すとーんと、流れる様に落ちて行った・・・・。
どんどん落ちて行く・・・・。
まるで、水の中。
キウは泳げそうな気がした。
手足を動かしてみる。
まるで、泳いでいる様であった。
キウは、下へ下へと泳いでいった。
「! 」
灯りが見える・・。
キウは、そちらの方へ泳いでいった。
「月!? 」
キウは、ずっと下へ下へと、泳いでいるつもりだったが、本当は、上へ上へと泳いでいたのだ。
月に手が届きそうだ・・。
キウは、月に手を伸ばした。
触れると思った瞬間、月は、一瞬、発光して消えた。
「!? 」
キウは、再び泳ぎ始めた。
キウは、上だと感じる方向へ、手足をうごかした。
「!? 」
今度は、足の裏の、ずっと向こうの方に、赤い光を見つけた。
キウは、方向転換して、赤い光の方に向かって泳いで行った・・。




