第十五章 ~ 龍との同化 ~
「何をすればいい?」
「まずは、私と同化してもらう」
「どういうこと?」
龍は、キウの所に降りて来た。
「顔をこっちに近付けて?」
「こう?」
キウが、顔を龍に近付けた。
龍は、キウの顔に自分の方辺りを押し付けた。
キウの顔は、龍の体に、ぐっと入り込んだ。
「水!?」
キウは、龍の体から自分の顔を引き出した。
「そうだ。 私は川だ。 聖なる水で出来ておる。 私と同化するための訓練をする為には・・」
「川に、顔を浸けるの?」
「いや・・」
龍は、キウの体に体当たりして、キウを自分の体に取り込んだ。
キウは、息を止めた。
村に住んでいた時、子ども達の中では一番長く息を止めることが出来た。
『底なし』と、言われていた深い池に、誰かがものを落とした時も、キウが池の底まで潜って、それを取って来た。
だから、自信がある。
しかし、だんだん苦しくなって来る・・
だんだん、我慢が出来ないくらい苦しくなって来た。
キウは、龍の体の内側から、龍の体を叩いた。
「出して!」
ごぼごぼ・・・・・!
龍は、無視した。
しばらくすると、だんだんキウの動きが鈍くなった・・・・。
そして、半目をむいて動かなくなった。
龍は、自分の体からキウを出した。
息をしていない。
龍は、自分のしっぽの先をキウにかざした。
しっぽの先が光り始めた。
しっぽの先の光は、だんだん強くなって、辺りを金色で包み込んだ。
しばらくすると、光は、だんだん収まって行った。
ゲホ! ゲホ、ゲホ!・・・・
キウが息を吹き返した。
「息を止める馬鹿がおるか・・。 お前を死なせたら、婆さんからなんていわれるか・・・・」
「え!? 水でしょ!? 水の中で息何かしたら、おぼれ死んじゃうよ!」
「私は、聖なる水だ! そんじょそこらの水とは違う!」
「婆ちゃんも、息を止めなかったの?」
「ああ、そうだ!」
「なら・・よし! もう一回!」
龍は、再び、キウを体の中に取り込んだ。
「キウ、呼吸をするんだ!」
キウは、しばらく息を止めていた。
しかし、目を、カッと開いて、息を一度吐き切った。
そして、ゆっくり、息を吸った。
「・・・・息が出来る・・。 息が出来る!! 息が出来る!!」
ゲホ! ゲホ、ゲホ・・・・!
龍は、急いで体から、キウを出した。
「まだ、同化出来ていない内に、急に呼吸をすると死ぬぞ! お前は、まだ、波動が違う! 瞑想するんだ! 蝋燭を凝視する訓練をしておるだろう。 その時と、同じ心を保つのだ・・。 最初は、短時間。 最終的には、私の体の中で一週間過ごしてもらう!」
「体が、慣れたら・・“同化”出来たら、どう変わるの?」
「お前は、お前ではなくなる。 半分人間、半分神になるんだ。 川の神にね。 お前の婆さんは、ちょっと変わったところが無かったかい?」
キウは今まで、そんな風に婆ちゃんのことを考えてみたことが無かった。
しかし、言われて見れば・・・・。
「そう言えば、俺、婆ちゃんが眠っているところも、食べてるところも、見たことが無かった!」




