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溜池に住む河童の話

作者: 黒助

 おうどこに行く?


 溜池?


 溜池にはいっちゃならねえ!河童に殺されるぞ!


 は?そんなの嘘だって?


 ああ、なるほど若い子は知らねえのか……

 まあ、ちょっと話を聞いてけお菓子くらいは出してやる。

 いいか?妖怪ってな、実は実在しているんだ。


 おい、そんな白けた顔するな。その顔は全く信じてませんって顔だな。


 まあ無理もないが。何しろ妖怪は弱い生き物だからな。

 妖怪はな、人間に見られただけで霧のように消えて死んでしまうんだ。

 それこそ人から見たら幻でも見たのか?くらいあっという間に消えちまう。

 だから証拠残らないし、証拠が残らないと信じさせることはできないから、妖怪見たと言っても誰も信じない社会になっちまった。証拠がないと信じない。まあそれも悪いことばかりでないんだろうが。

 だが消えたわけではねえ、死んでしまうんだ。


 何?人間が見ただけで消えるような弱い妖怪なら気にする必要は無いだと?


 まあ確かにそう思うのも無理ないわな。俺も若い頃はそう思ってたが。だがここで人間が妖怪を見たら妖怪は死んでしまうってのは大事なんだ。考えてみろ。

 もしこの世に見られただけで死んでしまう化け物がいたらどう思う?それもそこら中にだ。


 ……怖いと思うだろう?そうだよな。実際にいたらめちゃくちゃ怖い。そんなのいない所に避けて暮らすよな?

 実は妖怪もそう思っているんだよ。

 だからあいつらは基本的に人前に姿を表さない。

 住んでるのは人が寄り付かない山奥や、深い水底、あとは濁った溜池とかなんだが。

 そう、濁った溜池は河童が住んでることが多い。あそこなら人里近いところでも人目につかないからな。


 河童は人前に姿を表さないから人間の区別なんか出来ない。

 人間に見られて殺された河童は大勢いる。

 人間は溺れたら死ぬよな?


 そんな人間が溜池にやってきて足を滑らせておちたら……お前さんが河童ならどうする。

 相手は濁った池の底を見ることが出来ない。

 そいつは家族を殺した憎いやつかもしれない。だったら……そいつを引きずりこんだら、復讐を果たせるかもしれないよな?


 そうだ、だから溜池には近づいちゃいかん。

 万が一落っこちてみろ、這い上がれなくなってあの世行きだ。


 わかってくれたか?ならいい。近づくのはやめとけ。あそこは河童の領域だ。


 それに河童は尻子玉を抜くのが好きだした。


 尻子玉を知らないのか?


 尻にある玉だよ。それを抜かれると便を我慢できなくなる。だから河童に殺された奴は溺れた上にウンコ漏らすんだ。


 そんな死に方嫌だよな?だよなー。

 わかってくれたらいい。


 あと同じ理由で夜道にも気をつけろよ。

 見えない場所は妖怪の領域だ。ライトはちゃんとつけて歩け、そうすれば光を恐れて妖怪は近づかねえ。


 じゃあ気をつけて遊んでこい。

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