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自己紹介

「えっと…色々な人がいるな、という印象でした。」


香坂有栖

ブラッカーズの新メンバー

ロイスと話してから5日後、有栖の傷は完治した。所々に傷痕は残っているが、本人は気にしていない。傷をつくるのは、もう慣れたことである。


(一時はどうなるかと思って思ったけどね。)


動けるようになったことで、彼女はロイスに連れられて地下の部屋を出て、上にあがっていた。


「あの、これからどちらへ?」


「ん?ああ、言ってなかったな。今日は君に、俺達が何をやっているのかを説明する。あと、君以外のメンバーに君のことを紹介する。要は顔合わせだ。そんなに難しいことじゃない。」


「分かりました。」


「あとこの場所についての説明もする。ここは結構、広いからな。」


「この場所…そういえばここはどこですか?」


「ここは…おっと、その前に出口が見えてきたぜ。」


そう言って、出口に向かうロイスと有栖。地下を出ると、目の前にはズラリ並んだ扉が広がっていた。左右を見ると、まるでホテルの廊下の様な場所であった。ただし、ところどころで壁が剥がれているが。


「ここは『蝙蝠の巣(こうもりのす)』と呼ばれる廃屋になった館だ。誰も所有していないから、俺達が勝手に住んでいる。」


「勝手に…良いんですか、そんなことして?」


「問題ない。()()()()()()()にはちゃんと許可を取っている。つまり、今の所有者は俺達なのさ。」


そう言ってニコリと笑うロイス。有栖はひとまず納得した。


「部屋は好きなのを使ってくれ。まぁ、どれもあまり変わらないけどな。因みに俺は202号室を使っている。」


「各部屋に番号が振られているのですか?」


「そうだ。恐らくかつてはホテルか、若しくは金持ちの屋敷だったはずだ。まぁ、今となってはその面影もないがな。」


ロイスは廊下を歩き、有栖は少し離れて後ろを歩いた。やがてロイスは扉の前に止まり、ノックした。扉の向こうからどうぞ、と声が聞こえた。


「失礼する。マルコ、有栖を呼んできたぜ。」


「おお、そうか!」


ロイスは部屋の中に入り、続いて有栖も入った。部屋の中には3人の男がいた。


「有栖、紹介しよう。真ん中にいるのが『マルコ・モンテーロ』。左が『シルヴァーノ・モンティ』。右が『アルド・コンティーニ』だ。マルコ、シルヴァーノ、アルド。彼女が香坂有栖だ。マルコは()()()()()()()()()()()()。」


「そうだな。まぁ、彼女は覚えていないと思うが。」


(あの場所…私が倒れていた場所か。)


有栖は心の中で納得し、マルコの方を見た。黒髪ショートで黄色い目をしていた。マルコは有栖の方に近づき、左手を出した。


「よろしく、マルコ・モンテーロだ。君は覚えていないと思うが、あのビルで君と会った。まぁ、その時の君は意識を失っていたがな。」


「香坂有栖です。あの、ありがとうございます。」


「いや、大したことはしていない。むしろ、ロイス達が君のことを助けてくれた。」


「何言ってんだ、マルコ。お前ら3人が医者を呼んで、治療の手伝いをしたんじゃないか。十分やってるよ。」


「ま、まぁとにかく!これからよろしくな。」


そう言ってニコリと笑うマルコ。それから後ろにいた二人とも握手した。


「シルヴァーノ・モンティです。以後、お見知りおきを。」


「アルド・コンティーニだ。よろしくな!」

次に案内されたのは食堂だった。食堂は広く、それほど劣化も進んでいなかった。


「ここで俺達は飯を作っている。それぞれ役割があり、みんなで協力して作るんだ。因みに有栖は、ご飯作れるか?」


「一応、人並みには…。」


「それは良かった。まぁ、最初は皆んなのサポート役だ。慣れてから、何か任せるよ。」


そう説明したロイス。すると、食堂に誰か入ってきた。


「よう、クリス。今起きたのか?」


「ああ。眠気覚ましにコーヒーを飲もうと思ってな。ん?おお、大丈夫そうだな。」


「えっと、貴方は…?」


「ああ、悪い。名乗ってなかったな。俺は『クリス・ロイド』。医者だ。」


「えっ、では、もしかして…。」


「ああ。君を治療したのは俺だ。大丈夫か?問題はないか?」


「ええ、何とか。」


有栖はクリスの方を見て答えた。クリス・ロイドは金髪ショートで黒い目をしていた。ただし、その目には覇気がなく、全体的に疲れている様だった。


(むしろ大丈夫なのかは貴方のほう…。)


心の中で有栖は呟いた。するとロイスが…。


「むしろ大丈夫なのかはお前の方だ、クリス。今にも倒れそうだぞ。」


有栖に代わって言ってくれた。


「いや〜、ここ最近大きな手術が続いてよ。金は儲かったんだが疲れがとれなくて。」


「医者が身体壊しては示しがつかんな。今日はないのか?」


「ああ、今のところは。」


「なら今日は休め。1日ぐらい休んだってバチは当たらん。」


「そうするよ。今日は例えどっかの王が来ても断る。じゃあ、またな。」


そう言って、クリスはコーヒーカップを片手に部屋を出た。その背中をしばらく見ていた2人。やがて食堂の扉が閉まるとロイスが言った。


「アイツはこの街で1番の医者だ。それ故に、彼を頼るのも多い。君を助けてくれたのも彼だ。それと彼を手伝ったマルコ達3人もな。」


「そう、ですか。」


「さてと。大体は案内したな。それじゃあ最後にあと一人、最も君に会いたがっていた人がいる。来てくれ。」


そう言って、ロイスは有栖を連れて食堂を後にした。

地下の入り口がある廊下の1番奥にある部屋。その部屋の扉には「ROOK」という看板がかかっていた。


(ルーク…どこかで聞いた様な…。)


あのビルで、確かそんな名前を聞いた。意識を失いかけていたので良く覚えていないが。そんなことを考えていたらロイスが扉をノックした。


「ルーク、いるかい?」


「何だ?」


「有栖を連れてきた。」


「分かった、入れ。」


扉の向こうから短く、冷たい声が聞こえた。ロイスは扉を開けて中に入った。続いて有栖も部屋に入った。部屋の中は本棚とベッドと机が1つあり、そして1人の男がいた。男はゆっくりと振り返りながら有栖の方を見た。目があった有栖は、その視線にドキッとした。


(何、この感じ?)


恐怖、いやどちらかというと畏怖だろうか。有栖は目の前に立つ男からそんな印象を感じた。


「有栖、紹介しよう。『ルーク・レインラント』。我々ブラッカーズのリーダーだ。」


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