バルクス病院③
…何かおかしいとは思っていた。
白刃
1時間後、有栖と白蘭は無事にバルクス病院を抜け出し、ルークと合流した。そして現在に至る。
「どうも、ルーク・レインラントだ。君のことはお兄さんから聞いている。大丈夫だ、君の安全は保証する。」
そう言うとルークは右手を差し出した。白蘭は警戒しつつも、ルークの手を取り、握手した。
「ば、白蘭です。よろしくお願いします…。」
「よろしく。よし、とりあえず作戦の第1段階は達成した。後は、あいつらが上手くやってくれることを願うだけだ。有栖、この先にシルヴァーノが待機している。おまえは彼女を連れて…。」
その時、有栖の顔が青ざめた。体は震え、恐怖感のある表情をしている。
「有栖さん?どうしたのですか!?具合が悪いのですか!?それとも何か…!?」
白蘭が有栖の心配をする。有栖は震えた口調で必死に口を動かし、答えようとする。
「…る。」
「えっ?」
「…いる。だ、誰か…いる。私達を…つけて…いた…。」
有栖が答えた瞬間、闇夜から複数の何かが現れた。そして、3人をあっという間に取り囲んだ。有栖と白蘭は恐怖したが、ルークは焦ることなく冷静に相手を観察した。やがて、何か納得する表情を浮かべた。
「なるほど、臓器売買は副業の一環か。本業は、コレだったのか。」
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一方、ロイス、アルド、クリス、そして白刃の4人はナダルの確保と証拠入手のために病院内を移動していた。
「有栖、大丈夫かな?」
アルドが心配そうに呟いた。するとロイスが、アルドの方を振り向いた。
「心配ない。彼女はこれまで幾多の修羅場を乗り越えてきたんだ。自分の身は自分で守れるし、こいつの妹だって助けられる。俺達の仲間だ、信じてやろうぜ。」
そう言って、ロイスはアルドの肩を叩き、安心させる。クリスも頷く。すると、白刃が口を開いた。
「…なぁ、ロイス。」
「ん?」
「何で彼女…有栖さんはお前らの仲間になったんだ?」
「…どうしてそんなことを聞く?」
「…ただ興味を持っただけだ。話せないのなら、別にいい…。」
「…仲間にしたかったから、仲間にした。それだけだ。」
「…そうか。」
納得していなかったが、これ以上聞いても答えることはないだろうと思い、白刃はそれ以上尋ねることはなかった。そうこうしているうちに、彼等は目的の場所に着いた。
「ここが院長室だ。皆、いけるか?」
「「「いつでも。」」」
そう言うと、アルド、クリス、そして白刃の3人はそれぞれ武器を構えた。アルドは黒色の戦斧を持ち、クリスは消音器付きの拳銃を持っている。白刃は刃渡り約10cmのナイフを鞘から取り出した。柄は木製で握りやすい様に波状のこぶが付いている。刃はしっかり研がれており、血痕もなく、銀色に輝いている。そして刃の根元には、髑髏に巻きつく蛇の紋章が彫られていた。
「よし、行くぞ!」
ロイスがドアノブを回して扉を開ける。アルド、クリス、そして白刃の3人は素早く中に入った。最後にロイスが扉を閉めて入ろうとした、が、途中で止まり、闇が続く廊下を見つめた。
「…どうした?」
立ち止まったロイスを見て、白刃が尋ねる。ロイスは視線を動かさずに言う。
「すまん、先に行っててくれないか?ちょっと気になることがある。」
「…分かった。」
ロイスの顔を見て察した白刃は、何も言わずに了解し、先に進んだ。ロイスは扉を閉め、1人残る。そして懐から葉棒を取り出し、一服する。
やがて廊下の向こうから、複数の影がロイスの方に向かってくる。徐々に近づくにつれ、それの姿が見えてくる。ロイスはそれを冷静に観察し、困惑した表情を浮かべる。
「マジかよ。この病院、裏でこんなことやっていたのかよ。」




