第2章 47話 魔法のお勉強
「じゃぁ簡単に魔法のお話を始めましょうか。」
「宜しくお願いします、先生方。」
「ふむ、宜しい!」
何故かちょっと偉そうなマリス。
気分はすっかり先生の様だ。
わざわざ付け髭まで用意して、鼻の下にちょび髭を付けている。
マリスの中での先生のイメージだろうか、発想が可愛い。
マリリの方は眼鏡を掛けている。
赤く煌めく細身のフレームは、まるでベタな女性の英語教師風とでも言ったところか。
元々が知的なマリリだけに、その眼鏡姿が非常に良く似合う。
というか似合うのもそうたが、妙に大人びた雰囲気を感じる。
しかも寝間着姿と来たもんだ、これは色々とヤバい。
余り意識し過ぎると、俺のショットガンが銃弾装填状態に成りかね無いので魔法のお勉強に意識を集中しよう。
「にしても、二人のそれは先生のイメージかな??」
取り敢えずツッコミは入れておくべきだろう。
「え!?僕のへん・・・かな?」
「お、可笑しいです・・か?」
鳩が豆鉄砲食らった様にこちらを見るマリリとマリス。
反応から見て、二人とも自信満々だったらしい。
「あーいや、二人とも可愛い過ぎて。
にしても、こっちの世界の先生のイメージも同じなんだな。」
可愛いと言った途端に照れる二人が余計に可愛い過ぎる。
ちょび髭付けて照れるマリスはちょっとシュールな感じもするが。
「コホン、ではそろそろ始めましょうか。」
マリリが仕切り直す。
「宜しくお願い致します、可愛い先生方。」
「もう、か、からかわないで下さい・・」
再び赤面するマリリが可愛い過ぎて、弄りたい気持ちが止まらないがここら辺にしておこう。
「ではまずですね、大地さんも知っての通り魔法には属性が有ります。
私達が行使する事の出来る一般的な魔法の属性は、まず私が得意とする『水』、マリスが得意とする『風』、その他に『火』、『土』、『光』の5つに分ける事が出来ます。」
「成る程、この間の実験の際にマリスにして貰った『雷撃魔法』は風属性と水属性を組み合わせた発展系だったよね?」
「はい、その通りです。
他にも色々と組み合わせによる発展系は有りますが、他属性を組み合わせるのは何れも非常に難度の高い魔法となります。」
「ふむ、何気にマリスも凄いんだな。」
「『も』って何さ!僕も凄いんだよ!」
「冗談だよ、マリスが凄いのは十分知ってるよ。」
「なら宜しい。」
マリリがアイスレモンティーを一口のみ、話を続ける。
「続けますね。
これら一般的な魔法を行使するには術者個人がもつ『オド』と呼ばれる力が必要になります。
勿論、個人に寄りこのオドの量と質が違いますので、それにより使える魔法に違い、つまり差が出来ます。」
「質が違うって事は、その質の違いで使える魔法の属性が別れるって事かな??」
「へー、大地、良く分かったね。」
軽く驚きのマリス。
「大地さん、流石ですね。 その通りです。
特に私達姉妹の様にエルフ族の血を引く者は、複数の属性の魔法が使える事が多いです。」
「それでも僕たちみたいに、全ての属性の魔法を使えるのは稀・・・というか珍しいんだけどね。」
「成る程。
んー、じゃあ先生、幾つか質問です!」
「はい、大地君どうぞ。」
「例えば大きな魔法を連続してオドを使いきった場合はどうなりますか?」
良くある例なら気を失ったりして倒れるんだろうけど、取り敢えず確認はしておくべきだろう。
幾らマリリやマリスが魔法に長けているとは言え、そう言った事態に遭遇しない事も無いだろうし。
またいつ、魔族やそれに近い強さを誇る敵に遭遇しないとも限らないからな。
「良い質問ですね。
端的に言うと疲れます。
体力=オドという訳では無いので、オドを使いきった途端に突然気を失って倒れたりと言うのは中々ありませんが、余り急激に使い過ぎると激しい運動をした直後の様な疲労感はあります。」
「自分の限界を知っておくのが大切って事だね。
その魔法力の元となるオドって誰にでもあるの?
例えば俺の様に魔法が使えない人でも。」
「有るか無いかで言えば有ります。
でもオドが有るからと言って魔法が使える訳では無いですけどね。
一般的には、どんなに訓練をしても魔法その物に適性が無いと使えないと言われています。」
「大地の場合はどうなんだろうね?おねちゃん。」
「うーん、異世界人の大地さんの場合、といっても例が無さ過ぎて分からないですね・・・。
あ、でも、闇属性魔法に対しての耐性なんてとても珍しい能力が有るのですから、ひょっとしたら使えるのかも知れませんね。」
「確かに例が無いわな・・・
ん?あれ?魔法の属性って5つなんだよね?
だとしたら闇属性の魔法って、どの属性になるのですか、先生?」
「それはですね・・・」
今夜は少し遅くなりそうだ・・・。
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