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第2章 43話 早速実験・・・

 「えっと、じゃあ一番威力の弱いヤツで良いんだよね?」

 

 「うん。ありがとうなマリス。

  あくまでも可能かどうかの確認の為の実験だから、とりあえずその『サンダー・ショット』の弱いヤツで宜しく。」

 

 どうせ試すなら早いに越したことは無いという事で、俺達は早速だが雷撃魔法に関する実験を行う事になった。

 雷撃魔法を見た事が無いので、とりあえずどんなものか見せて貰う事にした。

 

 場所はミトンの家兼お店の裏庭だ。

 建物に阻まれているので表の通りからは見えないが、店の裏口から出たそこは少し縦長の庭が有る。

 

 高めの丸太で造られた塀と、木で作られた簡素な的が幾つか設置されており、武具の制作の際に剣の試し振りや弓の試し撃ちなど、室内では難しい事をここで行うそうだ。

 今回の俺の考えて居る実験を行う上で調度良さそうなので使わせて貰う事にした。

 

 ミトン自身も職人として『今回の実験は是非ともこの目で見たい』という事で乗り気だ。

 今後実験などでこの場所が必要な時は気兼ねなくいつでも言ってくれとの事だ。

 非常にありがたい。

 

 魔法実験なので力を抑えてとはいえ、周囲に被害が出る事だけは絶対に避けなければいけない。

 その為に魔法自体や音、光等が漏れない様に魔法障壁で、この庭全体を覆った。

 

 障壁はマリリが得意とする『アクア・ウォール』

 

 本来は外側からの攻撃に対する防御魔法だが、使い方によっては逆に内側からのあらゆる衝撃その他に対しての障壁とする事も可能だそうだ。

 その為、今回の実験で雷撃魔法を唱えるのはマリスの役目となった。

 

 それに雷撃魔法は2人共使えるのだが、どちらかと言うとマリリよりもマリスの方が得意らしい。

 魔法のコツ?としては、風属性の魔法に近いのだとか。

 全く魔法が使えない俺には今一つ理解が出来ないが、感覚的にそうらしい。

 

 「考えるな!感じろ!」

 

 と言うヤツだろうか。

 ある意味、職人の勘に似ているヤツだろうと考えると、なんとなく納得が行く様な気がする。

 

 マリスが魔法の詠唱を始める。

 今マリスが構えている武器は、俺がこの異世界に来てから初めて見る形状だ。

 

 イメージとしては緩やかにカーブを描いた刃渡り40センチ程の短刀の刃だけの部分が背中合わせに2枚。

 その2枚の刃が、中空の丸パイプの様な取っ手で連結されていて、この部分がグリップとなっており此処を持つ。

 このグリップが付いている刃の所に、クリスタルイエローの様な魔法石が埋め込まれている。

 

 接近戦用の武器で、剣士では無く近接戦闘を得意とする武闘家向けの武器だ。

 下手な者が使うと、自分自身を切ってしまいそうな形状だ。

 玄人向けの武器と言うヤツか。

 

 マリスが詠唱を唱えるに合せて、刃の先端の間にバリバリっと電気が飛び交うのが分かる。

 まるでスタンガンの様だ。

 

 「サンダー・ショット!!」

 

 魔法名に合せて刃の先端からゴルフボール程の大きさの雷撃が、的に向かって真っ直ぐに飛んでいく。

 サンダーショットが的に炸裂した瞬間、弾け飛ぶ様な音と共に的が砕け散る。

 その接触し砕け散った的の破片は、黒く消し炭の様に焦げていた。

 

 「こんな感じだけど良いかな?」

 

 「うん、マリスありがとう。想像通り正しく雷撃って感じだな。

  じゃあ次、あくまでも同じサンダーショットで、威力を極力抑えて欲しい。

  イメージとしては的に当てるが、さっきの様に割らない程度に・・・そうだな、ちょっと焦がす程度で。

  でも、スピードはさっきの倍以上で。」

  

 「む、難しそうだけど、了解!」

 

 再びマリスが詠唱を唱え、サンダーショットを放つ。

 先ほどと魔法こそ同じものの、今度は直径6ミリのモデルガンの球程の大きさの雷撃が飛んでいく。

 スピードもさっきの倍以上は早い。

 

 『ペチン!』と言う可愛らしい音を立てて、的に当たった雷撃の球は消滅した。

 皆で的に駆け寄って確認をする。

 予め的の中心に丸を書いておいたのだが、綺麗に丸の中心に小さく焦げた跡が付いていた。

 

 「雷撃の魔法をここまで操れるなんて、流石はマリスさんですね。」

 

 「凄いなマリス。まさかとは思っけど、ここまでオーダー通りに魔法が放てるなんて流石だな。」

 

 「うむ、流石じゃわい。」

 

 「えー、そこまで言われるとなんだか照れくさいな。」

 

 皆で拍手をすると、恥ずかしそうにマリスが照れる。

 

 「これでまず一つ確認が出来たな。

  術者の能力次第では、雷撃の威力をかなり小さく抑えるのが可能という事だな。」

  

 先に聞いておいたのだが、同じ魔法で威力を大きくする事は、術者の能力にもよるが簡単な事らしい。

 寧ろ、狙い通りに小さい威力にコントロールする方が困難らしい。

 時間も無限にある訳ではないので、威力を上げる実験は今回は敢えて行わない。

 

 まずはイメージ通りにコントロール出来るか、という事の確認が取りたかった。

 

 ただこの威力のコントロールが、電気で言う所の『電圧』を下げたのか『電流』を下げたのか、その両方なのかは流石に分からない。

 スピードのコントロールに関しても、まるっきり不明だ。

 マリス的にはイメージと言っているが、それこそ謎だ。

 

 勿論、数値的にもだ。

 電気計測器・・・所謂デジタルテスターでも有れば数値的にも見る事が可能だが、電気という概念が無いこの異世界においてそれも不可能だ。

 

 よくよく考えれば雷撃の魔法が、交流なのか直流なのすら分からない。

 『雷』と言う位だし雷を基準として考えれば、魔法として放たれている状態=放電された雷、と考えるならば交流か?


 うーん、分からん。

 課題は多そうだ。

 

いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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