第2章 33話 数字の概念
誤字を直しました。(12時52分)
俺達4人は手っ取り早く朝食を済ませると、早速シャオからの依頼についての会議を始める。
マリスの機嫌も良くなったので一安心だ。
まず会議の内容だが、問題定義と対応策及び、方向性については昨日の内に粗方片付いている。
今日はその対応策がこの異世界の技術力で実現可能かどうかの確認だ。
勿論技術力以外にも使用する鋼材などの資材問題も有るので、それらを一つ一つ確認していかなくてはならない。
「武具に限らずあらゆるオーダーに対応が出来て、仕事が丁寧、とくれば・・・。」
「ミトンさんですね。」
マリリが即答。
「右に同じくです。」
「僕も同意ー。」
俺もそう考えて居たので、どうやら満場一致の様だ。
なるべく試作部品のテストと組立・制作に時間を多く取りたいので、時間を少しでも有効活用するべく今日は各々が手分けして動く事になった。
本来ならセリーはシャオから指名された人物では無いのだが、貴重な休日にも関わらず協力をしてくれている。
セリーには申し訳ないが、期限も限られているので行為に甘える事にする。
感謝の極みだ。
ということで、各々の分担は以下となった。
俺とマリリ・・・ミトンに技術的確認を行う為の、資料作りと確認
マリス・・・必要な物の買い出しと、ミトンに時間を作って貰うお願い、その他
セリー・・・例のゴム・モンスターについての目撃情報の収集とまとめ
「では、私は先にいきますね。」
一足先にセリーが家を出る。
まずはギルドに向かうそうだ。
「準備出来たから、僕も行ってくるね!」
支度を済ませ、出かける前に再度メモの内容を確認してからマリスも出掛ける。
「さて、俺達も取り掛かろうか。」
「そうですね!」
俺はミトンに説明をする為の資料・・・という程のものでは無いが数枚の紙に纏めてみた。
この異世界の文字は書けないので絵を主体とし、そこに注釈的な事柄をマリリに書き込んで貰う。
文字が読めない故に、俺の意図している意味合いで書かれているかが不安ではあるが、そこはマリリを信じる事にしよう。
文章的な意味では多分大丈夫なのだと思うが、この異世界に存在していない物の名称の単語がどう書かれているかが気になる。
強調したい部分は『』で囲む様にお願いしそのように記述してくれているので、恐らく大丈夫だろう。
数字に関しても当然俺の知っている数字とは違うが、数字そのものに対しての概念は同じようだ。
一桁の数字に関しては、一文字。
二桁の数字に関しては、二文字。
三桁の数字に関しても、三文字で表現されている。
計算方法も極々一般的な十進記数法、つまり10を底とする位取り記数法。
俗に言う10進数だ。
この異世界に10進数と言う言葉があるかどうかは分からないが、人間の指の数で数えやすい方法として自然とそう成ったのだろう。
人族やエルフ族、ドワーフや獣人族など種族は他にも多々有るが、どの種族も片側の指の数は同じ5本の様だ。
勿論、動物やモンスターに関しては、この異世界でもそれには当てはまらない個体もいる。
後、計算方法。
これに関しても概念はどうやら一緒だ。
足す、引く、掛ける、割る・・・等と言った基本的な数式に関しての概念は全く同じだ。
助かったことにその表現方法も俺が知っている通り、「+」「−」「×」「÷」「=」と、全く同じ事に驚いた。
なので、この記号が入っていれば必然的に数式だと俺でも認識できる。
ちなみに「数字」は「文字」よりも全体的に丸い感じの表記なので、教えてさえ貰えば直ぐに覚えられるだろうと思う。
また機会を見て、数字をまず先に教えて貰う事にしようと思う。
それともうひとつ、驚いた事がある。
これはこの世界に来てから、普通に会話の中で俺自身も普通に使っていたので特に気にはしていなかったのだが、物の長さや重さの概念が一緒だと言う事。
距離表現で今まで普通に使っていたが「キロメートル」と言う表現が、俺の知るキロメートルと全く同じだと言う事。
どれ位同じなのかマリリに聞いて見たが、センチやミリと言う表現まで同じだった。
ひょっとすると、会話が通じるのと同じように自動で「変換」されているのかも知れない。
更に、大工道具や道工具として『定規』や『巻尺』も存在している。
流石に『コンベックス』までは今の所、存在していない様だ。
ひょっとすると違う名称で似たような物が存在しているかも知れないが。
まぁどっちにしても、数字や単位が同じなのは大いに助かる。
色々と描いていく内に結構な枚数になってきた。
なにかクリップ的な物で纏められればと思いマリリに聞いてみると、「綴り紐なら有りますよ」との事なのでそれで纏めてみた。
表紙をつければ、計画書みたでなんだか良い感じだ。
よくよく考えて見れば、みたいも何もそもそも計画書か。
最初はマリリとローテーブルを挟んで対面で作業をしていたのだが、どうにも反対向きだと説明しにくい所もあったので、自然と同じ側に座って作業する事になった。
つまり今は、マリリ並んでソファーに座っている事になる。
俺もマリリも紙に記入する時は、作業しやすい様に適当に距離をとっているが俺がマリリに説明する時や、逆にマリリが俺に確認を取る時は自然と距離が縮まる。
集中しているとそれも余り意識はしていなかったのだが、ある程度の資料が纏まり先が見え、少し余裕が出て来るとなんとなくそれを意識してしまう。
一度気にし出すと、どうにもこうにも意識がそっちにばかり向いてしまう。
それはどうやら、俺だけでは無くマリリも一緒の様だった。
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