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第2章 18話 ミーティング

本日2話目の投稿です。

宜しくお願い致します。


誤字の修正を致しました。(20時45分)

 一旦仕切り直し、俺達3人とプラス1名でシャオの依頼である『スペシャルな荷馬車』についてのミーティングを始めた。

 3人は勿論、俺とマリリ・マリスの事だ。

 プラス1名はと言うと、ギルド職員のセリーだ。

 気が付いたら当然の様に円卓に着いていた。

 

 「え、えーっと、セリーさん??な、何か?」

 

 「私、今日はもう仕事上がりなので、少なからず大地さんにご協力出来る事が有ればと思いまして。」

 

 「ありがとうございます。というか、ギルド職員のセリーさんが合同で・・・って、ギルド的に大丈夫ですか?」

 

 「大丈夫ですよ。仕事中ならNGですが、今は仕事時間外で一個人としてですから。」

 

 眼鏡を外し微笑むセリー。

 少し前までの冷たい視線はなんだったのかと、余計に気になる所だが・・・忘れる事にしよう。

 

 それにしても、話し合いに加わってくれるのなら非常に有り難い。

 俺はまだまだこの異世界の事情が、良く分かっていない事が多く有り過ぎる。

 だがギルド職員を務めるセリーなら、俺やマリリ・マリスの知らない事も多く知っている事だろう。

 

 それに『冒険者』とは違った目線での意見も聞けるかも知れない。

 

 「それは助かります。案を起こすに当たって、冒険者とは違う目線での意見やアドバイスも欲しかったので。」

 

 

 

 まずは現状の把握という事で、マリリ・マリス・セリーの知っている限りの馬車・荷馬車について教えて貰った。

 3人の話を聞きながら簡単な絵に起こしつつ、其処にポイントとなる部分を文字で記入していく。

 ちなみに俺がこのミーティングの、司会進行役と書記を兼ねている。

 

 だが、3人から聞く限り現状存在している馬車・荷馬車は、特に目を見張る程の物は無かった。

 幌が有るか無いか、人を運ぶためだけの目的で荷台に長椅子が備えられているもの、後は王族や一部の富裕層が使用している様な装飾等が施された物と、想像に容易いものばかりだった。

 

 強いて取り上げるとすれば、建設現場等で資材の運搬に使用される為に少し大きめに作られた物が有る程度だ。

 あと類似品としては、田畑を耕す為の牛車も有る様で、形状も俺の知る物と同じ様だ。

 

 言ってしまえば、予想通りの結果である。

 

 「では現状存在する馬車類について、考えられる問題点や気になる点を幾つでも良いので、一人一人順番に上げて行こうか。まずは、俺から・・・。」

 

 という事で、以下の様な内容が上げられた。

 

 

 1・長い間乗っていると、お尻が痛い。

 

 2・ガタガタして積荷が壊れる心配がある。

 

 3・荷台が高いので、荷馬車に乗り込む時が大変。

 

 4・雨天の時の操舵は、濡れすぎて寒いし辛い。

 

 5・日差しが強すぎる日の操舵は、暑過ぎて辛い。

 

 6・夜間の視界の悪さ、見通しの面で不安。

 

 7・車輪周りの耐久性。

 

 8・夏場は荷室内が熱く成り過ぎて、食料品が傷みやすい。

 

 9・負傷者が出た時に乗せるのが大変。

 

 10・操舵者からの死角が多い。

 

 等々実際にはもっと沢山の意見が出たが、類似事項を纏めていくとざっとこんな感じになった。

 

 

 3人共こんなにも真剣に、そしてここまで熱く発言をしてくれるとは思っていなかったので、正直驚きだ。

 そしてそれが、何より嬉しい。

 

 

 サラリーマンだった頃、数えきれないほど会議を行って来た。

 勿論、立場上、司会進行役も何度も務めてきた。

 

 だが、意見を述べるのは大体決まって同じ人物。

 意見を述べない人は例え指名を行おうが、最初から最後まで「特にないです・・・」を貫き通す。

 俺の『意見の引き出し方』が悪かったのかも知れないが、結局は発言力を持った、役職が高い人物の考えに纏まってしまう。

 

 所詮は会議と言う名の茶番劇だ。


 それどころか、寧ろ極一部のそういう者達により、最初からそう仕込まれているのだ。

 違う意見を言おうものなら、後で血祭りに上げられてしまう。

 だから皆、何も発言をしない。

 日本の会社組織と言うものは、本当に腐っている。

 

 

 だからこそ、こうやってマリリ・マリス・そしてセリーが臆することなく、自分達の考えを発言してくれる事に心から感謝だ。

 

 書記として議事録の意味も込めて箇条書きで纏めていったのだが、ある程度書ききった所で有る事に気が付いた。

 

 

 日本語故に、俺にしか読めないのだ。

 

 

 これは失敗。

 そういや最初に現状の馬車の確認として絵と文字をメモしていた時に、3人共少し難しい表情だった。

 

 すると、それを察したセリーが立ち上った。

 

 「ちょっと待ってて下さい。良い物があります。」

 

 そう言うと小走りにギルドカウンターへ行き、数枚の白紙の紙を持ってきた。

 その紙は、四隅にこの異世界の文字が小さく記載されている。

 

 「「あ、なるほど!」」

 

 マリリとマリスが2人揃ってポンと両手を合わせる。

 

 「こちらの紙にはラング・コンバーションの魔法が施されています。大地さんは少し手間になってしまいますが、これにも同じ事を書いて頂ければ私達にも読む事ができます。」

 

 そう説明をしながら、セリーが円卓の上にその紙を置いた。

 

 「おお!これは便利!ありがとうございます。」

 

 早速、そのラング・コンバーションが施された紙を使わせて貰う事にした。

 毎度ながら魔法の便利さに感心させられる。

 それと同時に、この異世界の文字を早く覚えなければと強く思った。

 

 全員で現状までのミーティングの内容を確認し合った所で、気が付けば時刻はとっくにお昼を過ぎていた。

 

 「あまり根を詰め過ぎるのも良くないし、ここらで休憩を兼ねて昼食としようか!」

 

 「「「さんせーい!!」」」

 

 満場一致により気分転換も兼ねて、別の店に4人で昼食を食べに行く事にした。

 


いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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