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第2章 12話 マリリ視点:慢心

 『マリリ・ショコラの視点』



 (大地が真夜中に目を覚ます、1時間ほど前・・・)



 「・・・さん、・・・大地さん・・・大地さん!!!」

 

 ・・・・・。

 

 「はぁはぁ・・・ん・・・はぁ・・・・・ゆ、夢?・・・夢で良かった・・・。」

 

 ベッドから起き上がりカーテンを少しだけ開けると、カーテンの隙間からは入り込む月明かりが真っ暗な部屋の中を照らした。

 

 ベッドから降りて机の上に置いてある水瓶を手に取り、コップに半分ほど注ぎ一気に飲み干す。

 ゆっくりと呼吸を整え、ベッドの淵にに腰を掛ける。

 

 ・・・まだ心臓がドキドキしてる。

 私は心臓を落ち着かせようと両手を胸に当て、もう一度ゆっくりと深呼吸を繰り返す。

 

 「はーっ・・・。」

 

 なんとか落ち着いた。

 

 落ち着いた途端、先ほどの夢の疲れがどっと押し寄せるのを感じ、そのまま仰向けに寝転ぶ。

 見慣れた天井が視界に入る。

 目を閉じるとさっきの夢がフラッシュバックされ、怖くなって直ぐに目を開ける。

 

 

 昨晩の魔族との戦いの夢をみた。

 

 私とマリスでは全く敵わなかった魔族・・・。

 敵うどころか、戦う前から既に負けてしまっていた。

 全く気が付かない内にどころか、大地さんが気が付かなかれば、敵の術に掛っていた事にすら分からなかった。

 

 朝からずっと動きづくめで疲れていたのも有るとは思う。

 けど、それは言い訳。

 私もマリスも冒険者・・・ましてやプラチナクラスなんだから、疲れていたからなんて言い訳は通用しない。

 

 驕りが有ったのかも知れない・・・。

 

 どれだけ強くなっても、常に初心を忘れるべからず・・・お母さんの言葉。

 私の、私達姉妹の魔法の師匠でもあるお母さんの言葉。

 

 いつも心に刻んでいたハズなのに。

 『ギルドランク・プラチナクラス』という称号に良い気になってしまっていたのかも知れない。

 ううん、きっと自分の心の何処かに慢心があったんだと思う。

 

 反省。

 

 こんなんじゃ自分はおろか、マリスや大地さんや大切なみんなを危険に晒してしまうかもしれない。

 もう一度、心を入れ替えて頑張らなきゃ!

 みんなの悲しむ姿なんて見たく無いもの。

 

 

 

 あの時、魔族の使った魔法?に私とマリスは成す術も無く吹き飛ばされた。

 詠唱も何もない、ただ一言、『吹き飛べ』、そう言っただけだった。

 あれは魔法なの?

 だとしたら、闇属性の魔法?

 幾ら闇属性の魔法と言っても、私達が使う普通の魔法と同じで詠唱が必要なハズ。

 だとしたら、あれは魔法では無く魔族特有のそういった『力』なのかしら。

 分からない。

 もしかすると、私の『アクア・ウォール』の発動と同じ方法だっただけの可能性もあるけど・・・。

 

 それよりも驚いたのが大地さん。

 魔族の攻撃が全く効いていなかった。

 あの『吹き飛べ』の謎の術に微動だにしなかったのもそうだけど、認識阻害らしき魔法も全く影響が無かったなんて。

 

 やっぱり違う世界から来た事が関係あるのかな・・・。

 

 そういえば、おばあ様も大地さんと同じく闇属性魔法への耐性が有ったと、お母さんから聞いた事が有る。

 勿論その事も、今回の大地さんの時と同じようにギルド協会では最重要事項として扱われ、その事も極一部の人達しか知らされていないって言ってた。

 何か、特別な理由があるのかな・・・いえ、有るからこそ慎重に扱われているのだと思う。


 でも今の所はギルド協会から何かの指示や制限も特に無いし、余り気にしなくていいのかな?

 

 

 ・・・・・。

 

 それにしても大地さん・・・本当に強くなったな・・・。


 大地さんの居た世界では魔族もモンスターも居ない、剣や魔法で戦うことも無い、法律と秩序で守られた世界だって言ってた。

 大地さんが剣を振るって戦ったのは、この世界に来てからが初めてだって言ってたよね。

 なのに私とマリスが手も脚も出なかった魔族の攻撃を受け止め、反撃まで繰り出したなんて凄すぎるよ。

 闇属性魔法への耐性が有ると言っても、その力だけじゃ無い。

 あれは、大地さん自身の力。


 ギルドの制約上、大地さんはブロンズクラスという事になっているけど、きっと実力はシルバー・・・いいえ、ゴールドクラス。

 ううん、きっと大地はこのままどんどん強くなっていく。

 やがて、私やマリスと同じプラチナクラスか、もっとそれ以上に・・・。


 なんだか大地さんが私達を置いて、どんどん先に行っちゃう気がする。

 少し・・・なんだか少しだけ寂しいな。




 「ん・・・あれ?誰か家の前に居る?・・・まさか盗賊!?・・・ロッドを・・・」


 もし侵入してくる様なら、足元を凍らせて動きを封じ・・・


 「あれってひょっとして・・・大地さん?あれ?行っちゃった・・・」


 どうしたんだろう、こんな時間に。

 何か有ったのかな?


 うーん、気になる。

 誰かと約束でもあるのかな・・・でもこんな夜中に?

 もしそうなら、大地さんならそういう事はきっと私やマリスに事前に言ってくれるはず。


 ホウレンソウ・・・だっけ?

 報告、連絡、相談・・・は大事な事だって良く言ってるし。


 もしかして大地さんじゃ無かったのかも知れない。


 だとしたらなんだか怖いし・・・確かめないと!


いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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