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第2章 8話 心が締め付けられる・・・

 「大地さん・・・大地さん、着替え置いておきますね!」


 「あぁ、ありがとう。助かるよ。」


 湯船に浸かって考え事をしている内に、どうやらウトウトとしてしまっていた様だ。


 俺は手足を伸ばし大きく伸びをし湯船から上がる。

 軽い立ちくらみを感じつつ、タオルで体を拭いて脱衣所へ移動。


 乾いたタオルで頭と体を拭き直して、脱衣所の中央に設置されている長椅子にタオルを敷き腰を掛けた。

 これも正しく日本の銭湯に有るものとそっくりな所からして、ばーちゃんのリクエストで作られた物だろう。


 置かれている年季の入った団扇で火照った体を覚ます。

 団扇ならではのゆるい風が気持ち良い。


 脚を大きく開き伸ばした格好で天井を仰ぐ様に、なんとなくアレも団扇で仰ぐ。

 そよ風が最高に気持ち良い。

 なんだか、くすぐられている様だ。


 衣服を入れる籠が置いてある棚が、視界の端に入る。

 意識をせずとも自然とマリスのパンツを・・・パンツ姿を思い出してしまう。

 団扇の風の気持ちよさと相まって、アレが少し反応を見せた。


 マリスのパンツ姿とくれば、やはりと言うべきかマリリのパンチラが連想されてしまう。

 

 マリリ・マリスといった美少女姉妹のパンツ姿・・・そんな姿を想像なんてすれば結果は火を見るよりも明らかというヤツだ。

 俺のアレは天を仰がんとする様に、再び元気が溢れだした。

 それに比例するように、団扇も若干スピードアップする。


 余りの気持ち良さに俺は完全に気が抜けてしまっていた・・・


 「大地さん、大丈夫ですか?そろそろ上がりますか?」


 マリリが脱衣所のドアをノックする。


 「へっ!?あ、うん、もう上がってるよ。ふ、服着たらすぐ戻る。」


 「じゃぁ待ってますね。」


 そう言いうとマリリがリビングの方へ戻って行った様だ。


 危なかった、非常に危なかった・・・。

 もしあそこで不意にドアでもあけられていたら、元気いっぱいのアレをマリリに見られてしまう所だった。

 最近、色々と溜まり過ぎているせいかたまに突っ切りそうになるな。

 

 少し反省。


 何事も、もう少し自制心と緊張感をもって取り組まねば。




 「おまたせ」


 「お疲れ様です、大地さん。冷えてますよ。」


 リビングダイニングに戻ると、マリリとマリスがソファーに腰をかけていた。


 マリスはグラスを片手に俺の顔を見た途端少し顔を赤らめている。


 俺はマリリに差し出されたグラスを手に取り、まずは一口。

 キンキンに冷えたグラスには氷も入って、グラス表面についた結露の水滴が軽く凍っている程だ。

 冷蔵庫や冷凍庫が無いこの異世界で、これが出来るのも魔法のお蔭らしい。


 「美味しい・・・ただのアイスティーとは少し違う・・・ひょっとして少しアルコールが入ってるんかな?」


 「よく分かりましたね。ブランという高級なお酒なんですが、さっき大地さんがお風呂入ってる間にシャオさんが持ってきてくれて、レシピを教えてくれたので作ってみました。寝る前に少し飲むと、良く眠れると言ってましたよ。」


 「なるほど・・・確かに少し眠くなってきたな。」


 気がつけばマリスもいつの間にやら眠そうにウトウトとし始めている。


 「ん?ひょっとしてマリスも飲んでる???」


 「いえ、マリスはまだお酒を飲める年齢じゃないので。もう疲れきってるんだと思います。私も眠くなって来ました。」


 まさかマリスもこのお酒入のアイスティーを飲んでるのかと少し驚いたが、この異世界ではお酒は16歳から良い決まりらしく、そこら辺はマリリもマリスも真面目なのでちゃんと守っている様だ。


 「そっか・・・マリス眠そうだし、部屋まで抱えて寝かせてくるよ。」


 「私も手伝います。」


 俺はマリスをお姫様だっこで抱え、マリリにドアを任せてマリスの部屋のベッドに寝かせた。

 マリスを起こさない様にそっとベッドに寝かせて布団をかける。


 「おやすみ、マリス」


 マリリはそういうと、マリスの頬に軽くキスをして頭を撫でた。

 その微笑ましい光景に心が癒やされる。


 まだマリスは日本で言う所の中学生、マリリは高校生程の年齢だ。

 そんな幼い2人が冒険者稼業という命の危険すら有る仕事で日々を生き抜いている。

 そういえばこの村の警備隊小隊長のメリルも、まだマリスを同じ歳だと言っていた。


 この異世界ではそれが常識なのかも知れないが、そんな現実に心が締め付けられる。

 そんな実情を変えようとか、そんな大逸れたことは俺には出来ないし、2人に冒険者を辞めさせようなんて傲慢さも流石に無い。


 この家に来た時から思っていた事が有る。

 ばーちゃんの事は何度も話しているが、マリリとマリスの両親については殆ど話しては居ない。

 マリリもマリスも魔法の基礎は2人の母親から教えられたというのは前に聞いたが。


 いつ位からかははっきりと聞いていないが、俺が来るまでもこうやって2人で暮らしていた様だし、ひょっとして亡くなったのだろうか・・・

 もしそうなら、流石に俺の方からそんな事を聞く訳にもいかない。

 2人の心を傷つける・・・心の傷を掘り起こす事に成りかねないかも知れない。


 心が締め付けられる。


 だからせめて、俺がもっと肉体的にも精神的にも強くなり、この2人を守って行こうと、そう思う。


 「さ、行きましょうか」


 マリリが俺の耳元でそっと囁く。


 俺とマリリはなるべく音を立てないようにそっとドアを閉め、マリスの部屋を後にした。


いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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