第2章 6話 魔法と魔術
本日、2回目の投稿になります。
俺は恐る恐るソファーの元に戻った。
マリスは居ない所をみると、どうやら自分の部屋に戻ったのだろう。
気持ちを落ち着かせようにも、先ほどまでのマリスとの事が頭の中を駆け巡る。
そして当然の様に俺のアレは、再びこれでもかと上向きに主張を始める。
とにかく意識を別に向けて、まずは主張するアレを沈めねば。
何に意識を向けべきか・・・
素数!!
ダメだ、さっき失敗した所じゃねーか!!
いやまてよ、何か物でも想像しながら、それの単位でも付けて数えるように集中をすれば行けるか!?
何を想定すれば・・・ええい!ままよ!
1・・・1・・1乳首、2乳首、3ちく・・・
ぬあー!!ダメだ!
余計にドツボじゃねーか!
というか単位が乳首とか、意味不明過ぎるわ!俺!
「どうしたんですか?大地さん、考え事ですか?」
気がつくといつの間にかマリリが部屋から戻って来ていた。
「え?あぁ、まあちょっと色々。」
突然話しかけられた驚きに、思わず声が上ずる。
言えない。
流石にマリスの裸が脳裏に焼き付いて離れないなんて、口が滑っても言えない。
「そういや私がお風呂上がった時いませんでしたけど、お部屋にでも戻ってたのですか?」
「あー、いや、寝てしまいそうだったから、ちょっと外の空気を吸いに・・・ね。」
ちょっと強引な気もしたが、適当にはぐらかした。
一瞬、ビクッとしてしまったかも知れないが、多分気づかれては居ない事を願おう。
そして、すみません、トイレでマリスの裸みました・・・と、俺は心の中でマリリに謝った。
「そうだったんですね。マリスももうお風呂あがったので、大地さんもどうぞ。お風呂上がりに冷たいのを用意しておきますね。」
「あ、ありがとう。じゃぁお風呂頂いてくるよ。」
なんとかマリリにばれずにやり過ごせた事に、ほっと胸を撫でおろす。
「ふーーーっ」
俺は手桶に汲んだお湯を頭からかぶり一つ大きくため息を付いた。
徹夜明けの眠気が少し薄まる。
まぁマリスの裸見た時点で、そもそも眠気なんか吹っ飛んでは居るが。
それどころか、アレは全開で起きたが。
もう一回、頭からお湯を被る。
体感的には40度位のちょうどいいお湯の暖かさが、溜まった疲れを流してくれるようだ。
たまにはこうやって朝から入る風呂もいいもんだなとしみじみ思う。
12畳程の広さがあるこの風呂場には、4畳半程も有る大き目の木で出来た湯船が有り、その湯船に面した木の窓を開けると3畳程のちょっとした小庭の様なスペースが有る。
そこには白い玉砂利が敷かれ、松に似た小さな木と小ぶりの岩が飾られており、どことなくミニチュア日本庭園の様な印象でなかなか風情がある。
まるで、温泉街のちょっとした隠れ宿といった感じだ。
前にマリリに聞いた話では、ばーちゃんのリクエスト通りに、マリリ達のおじいさんが作ったのだとか。
その話を聞いた時は、なるほどと納得をした。
それよりも驚いたのがこの異世界でも、毎日温かい風呂に入れる事だ。
ただ、どの街や村でも、どの家でもという訳では無い。
このクムリ村は天然温泉の村として、人気の観光スポットとして知れ渡るほど温泉が湧き出るのだが、問題は無尽蔵とも言う程に湧き出る温泉の制御方法だ。
温泉街にある大きな大衆浴場なら掛け流し状態で問題は無いのだが、個人宅では流石にそうはいかない。
その為、ここマリリ達の家ではその湧き出る温泉を魔術で自在に制御している。
湯船の横に高さ1.5メートル直径60センチ程の大きな水瓶があり、そこからお湯を湯船に供給する為の木で出来たトユの様な物が設置されている。
そして、この水瓶の底には直径20センチ程の穴が開いており、地下から湧き出る温泉と瓶が穴と同径20センチ程の木筒で繋がっている。
それだけだと源泉掛け流し状態になってしまうところだが、この水瓶にお湯や水と言った液体の動きを制御する為の魔法陣が描かれており、これにより魔法が使えない俺でも自由にお湯の供給を行える様になっている。
お湯を湯船に供給したいときは『お湯入れて!』の一言で、自動でお湯が湯船に貯まる。
逆に止めたい時は『お湯止めて!』で供給が止まる。
例えるなら、自動音声認識の給湯器の様なものだ。
この仕組みに関しては、元の世界の技術よりもはるかに便利であり、魔法の便利さを改めて実感させられる。
以前、マリリとマリスに教えて貰った、『この世界での魔法と魔術の違い』についてだが、簡単に言うと、魔法は術者が発動の条件となる『詠唱』を行い、その際に発生させる事が出来る力。
対して魔術は、魔法陣を利用しそれにより魔法とその発動条件を魔法陣に記録させる事で、ある条件に従いいつでも誰でも、そこに仕組まれた魔法を実行する事が出来るのだとか。
その発動の条件や方法は色々と指定が出来るらしく、その中の一つにここのお風呂に有るような『音声認識』という方法があるとの事だ。
勿論だが、魔法陣に魔法を仕込む魔術の術式を完成させるのは、当然ながら魔術師でなければ出来ない。
だが術式が完成された状態なら、誰でも条件さえ満たせば発動出来るという点は、非上に利用価値が有る。
術式により再現出来る魔法の種類や、その規模、効果の程など疑問や課題は色々有るが、そういった問題をクリアする事ができれば、ひょっとすると俺の考えている物の内の一つが実現できるかも知れない。
これは、構想を練るのが楽しみだな。
ちなみにマリリが戦闘の際に使用している防御魔法の『アクア・ウォール』は詠唱無しに、『発動』というキーワードと魔法名を共に言うことで実行しているが、それはまた少し別の手法らしい。
この異世界での魔法という物の凄さにはほとほと関心させられる。
なんとか俺でも、いずれは使える様に成りたいものだ。
いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。




