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第2章 1話 だ、大地さんに、し・・して貰いたかった・・・です。

第1章のラストはシリアス展開だったので、第2章の頭数話はコミカルな感じを少し強くして行きたいと思います。

勿論、その中でも物語の真相に少しづつ触れては行きますが・・・


とりあえず一旦、サブタイトルで章区切り的にしています。

また時間を見て、そこらへんも整理していきますので、今後とも宜しくお願い致します。

 家に着いた俺達は、中に入るなり一斉に武具の装備を解いた。

 武具の保管場所はリビングダインングに当たるこの部屋の一角に有るのだが、もう其処に置く気力も無く全員外したまま床の上に置いたままだ。


 「「「もーダメ、死にそう、ねむい・・」」」


 3人で完璧なハモりをしつつ、ローテーブルを挟んで向かい合うソファーに同時に倒れ込む。

 対面のソファーはマリスが1人で占拠。

 うつ伏せになって「う゛~」とか唸ってる辺り、おっさんか!!とツッコミを入れたくなるがこの疲労度だ・・・無理も無い。


 俺とマリリはもう一方のソファーに2人で倒れ込んだのだが、少し長さの有るソファーとは言え流石に2人で寝転ぶと狭いので、どちらからとも無く起き上がり座り直した。

 まぁ俺としては狭い状態でもマリリとくっつけるのなら寝転んだままで居たい所だが、それは声には出さずに心の中にだけに留めて置く方が賢明だろう。


 「「う゛~」」


 マリスにつられて俺とマリリもおっさんみたいに唸る。

 訂正、俺はみたいでは無く実際にアラフォーのおっさんだが。


 「大地さん、本当に強くなりましたよね。こうして無事帰って来れたのも大地さんのお蔭ですね。」


 そう言いながら俺に寄り添うように座り直したマリリが、ゆっくりと俺の肩にもたれかかった。


 「ありがとう。でも2人に比べたら俺なんてまだまだ。・・・それに今回の魔族は推測とはいえ、俺が原因で現れた様な感じだし・・・」


 冷静なフリしてこんな事を言っているが、実は脈拍200超えてんじゃないだろうかと言わんばかりに心臓のドキドキはマックス状態だ。

 もたれかかるマリリの柔らかな感触に、ふんわりと香る甘く爽やかな匂い。

 戦いを乗り切った俺への神様からのご褒美だろうか?


 たく・・・こんな時まで異世界って最高だぜ!


 「原因だなんてそんな事無いですよ。それにあの魔族が言っていた人が私達のおばあ様なら、恐らく大地さんだけでは無く私とマリスも今までずっと、見張られていたのかも知れません。」


 その声は少し不安そうだ。

 マリリが俺の手を握る。

 俺もそれに応える様にぎゅっと握り返す。


 「俺の力がどこまで通用するのか分からない。あの時だって足元にも及ばなかった・・・だけど、もしまたその時が来たら俺は全力で2人を守るよ。」


 「大地さん・・・」


 どちらからともなく、俺とマリリはもう片方の手も繋ぎ向かい合った。

 俺を見つめるマリリの瞳に俺が映っているのが分かる位、俺達の距離は近い。

 そしてマリスとの距離も近い。


 ん?マリスと・・・も?


 「「!!!マ、マリス!?」」


 ソファーの背もたれから顔半分だけ覗かせ、マリスが無言で俺達を見ていた。


 「ちょ、ちょっとマリス驚かせないでよ・・・」


 「えーだってー、僕が寝てる間にまた大地とおねーちゃんとで2人の世界作って、いちゃついちゃってさー。」


 マリリの顔が耳まで一気に赤くなる。


 「も、もうからかわないでよ!マリスだってギルドから家の前までずっと大地さんにおぶって貰ってたじゃない。わ、私だって、少し位大地さんに・・・。」


 恥ずかしさの余りか、最後まで言い切れずに赤面したまま俯くマリリの可愛さに、俺の脳はまたしても完全に溶けてしまいました。

 これが計算でもなんでもなく、天然だからたまったもんじゃない。


 「えー?だって僕寝てたしー。ひょっとしてお姉ちゃんは大地におんぶしてもらいたかったの?」


 「ぅぅ、だ、大地さんに・・・し、して貰いたかった・・・です。はぅぅぅ。」


 両手で顔を覆い隠しながらも指の間からチラっと俺の様子を伺うマリリ。

 毎度ながらマリリは俺を萌死にさせたいのだろうか?


 「じゃ、じゃあ、次に機会が有った時はマリリをおんぶさせて頂きますと言うことで。」


 「やった!大地さん、約束ですよ!」


 「いいなー!僕ももういっかいー!」


 「お、おう!が、頑張らせて頂きます。」


 こんな無邪気で可愛い10代の女の子とアラフォーのおっさんが許されるのだろうかと思いつつも、ついつい甘んじてしまう自分が悲しい。


 いや、いいじゃないか、ここは異世界なんだし。


 たくっ、これだから異世界は最高だぜ!


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