第46話 3人目の犠牲者
迫り来る見えざる敵の手に大地たちはどう対抗するのか!?
「なぁマリリ、アクア・ウォールを展開させといた方が良くないか?」
「並みのモンスター相手でしたら確かにその方が安全なのですが、全く予測が付かない状況では逆にアクア・ウォール自体が私達にとって脅威になってしまう可能性があります。」
「防御魔法なのに??」
「はい、魔法にはそれぞれ属性があります。もし敵が水属性の魔法に長けたものだとし、魔法力が私よりも桁違いに高ければ、私が展開したアクアウォールを逆に利用し無数の氷の矢に変えられる危険が有ります。あくまでも可能性の話ですが。」
マリリの言うそれを想像してゾッとした。
自らの技で死ぬ・・・窮地に陥った時に有りがちなパターンだ。
「それはヤバいな。」
マリリやマリスの様にプラチナクラスと、スコッパ達ゴールドクラスの壁はとてつもなく高く、何年何十年努力し続けてもたどり着けない者たちもいる。
だからと言ってゴールドクラスが弱いと言う訳では無い・・・むしろ精鋭だ。
そんなゴールドクラスの冒険者が成す術も無く一瞬で2人も倒されたのだ。
マリリが用心をするのも頷ける。
とにかくマルベとカチートをほっておく訳にはいかないので、俺とマリリは周囲を警戒しつつカチートの側に移動した。
マリリがしゃがみ声をかけると、カチートはなんとかそれに応えようと微かに声を出した。
どうやらギリギリの所で意識を保っている様だった。
受けたダメージが一体何なのか分からないので期待は出来なかったが、取り敢えずマリリがヒールの魔法を試みた。
少しは苦しみが和らいだのか、何とか意識を取戻し簡素に応答できる程度には回復したたものの、とても戦える状態には至らなかった。
カチートの次にマルベにもマリリがヒールを試みたが、結果は同じだった。
今度はマリリが周囲の警戒をしている間に、俺はまずカチートを、次にマルベの体を起こし引きずり、行商達の荷馬車にもたれ掛けさせた。
そんな俺達をあざ笑うかの様に次の犠牲者が出た。
3人目の犠牲者はスコッパだった。
だがスコッパは敵の攻撃に耐えていた。
彼もまた、倒された2人と同じゴールドクラスではあるが、リーダーとしての意地を見せた。
馬車を挟んで反対側に居るので姿は見えないが、そのうめき声から相当の苦しみを受けているのが分かる。
「スコッパさん!?」
俺とマリリは馬車の反対側へ周り、マリスと共にスコッパの側に行った。
相変わらず敵の姿は見えない。
だがスコッパは剣先を突き立て片膝を地面に着き耐えてはいるものの、その表情は苦痛に歪んでいた。
「こ・・・こ・・れは・・恐ら・・・・く、や・・・闇・・・魔・・・。」
スコッパは残された最後の力を振り絞りそれを俺達に伝えると、胸を掻き毟る様に苦しみながら意識を失った。
即座にマリリがヒールを施すも、結果はカチートやマルベと同じく何とか意識は取り戻すが、やはり戦える状態には至らなかった。
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