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第31話 ギルドで迎える朝

サブタイトルの話数が間違えていたので修正致しました。

 「ふぁぁ・・・眠い、堪えるな。」


 「ええ、家に着いたら少し寝ましょうか?」


 「うん、僕もうダメだー。」


 俺達3人は朝早くからギルドの酒場の一画で睡魔と闘っていた。

 時刻は午前5時半。

 実は昨日から一睡もしておらず、眠気と空腹がピークに達していた。


 「3人ともお疲れさん。はいよ、スペシャルモーニングセットだ。突発依頼に頑張った3人に私からのプレゼントだ。」

 ギルド酒場の店員、ペティが俺たちの席に3人前のモーニングセットと湯気の立った紅茶を持ってきてくれた。


 「ありがとうございます、ペティさん、お言葉に甘えて頂きます。」


 「あ、ありがふぃ~。」「あー」


 俺は半分寝ながらもあくび交じりに、席に着いたまま軽く頭を下げ礼を言う。

 マリリとマリスは既にもう殆ど寝ている様なものだ。

 このままでは確実にここで寝落ちしてしまう自信100パーセントの俺は、ペティの入れてくれた紅茶を一口含む。

 乾ききった口中に、程良い暖かさで甘く爽やかな味がふわっと広がる。

 まるでヒールの魔法の様に身体の疲れが癒されていく感じがした。


 「んっ・・・はぁ!」


 俺はその場で立ち上がり、軽く伸びをして眠りかけた脳に起きろと言い聞かせる。

 

 この時間のギルドは昼間や夜とは違い、静かで穏やかな時間が流れている。

 ギルドは基本24時間空いているので普段は1組、2組位はこんな早朝でもいるらしいのだが、今日は今のところ俺達だけの様だった。

 ギルドの天井は高く、屋根に嵌めこまれたステンドグラスの窓からは朝日が入り込み、酒場内は色とりどりの光で飾られ一枚の絵画の様な印象さえ受ける。


 テーブルの上に並べられたペティのスペシャルモーニングは、厚みが5センチは有ろうかふかふかの柔らかなパンに、たっぷりのアーモンドバターが溶け込んだ甘いトースト。

 鶏に良く似たクレストバードの生みたて卵で作られた半熟ゆで卵、朝一取れたての新鮮野菜のサラダに、トマトスープ、更にはプリンの様なデザートまで付いていた。

 アーモンドトーストを一口かじると、アーモンドのバターのとろける様な甘みが口いっぱいに広がり、疲れが癒される。


 俺はマリリとマリスを静かに起こすと、まるで2人とも猫のように同じポーズで両手足を前に突き出すように伸びをした。

 普段は対照的な感じだが、時々ふとしたこういう所がそっくりで可愛らしい。


 「ふわ・・・大地しゃん、おはようございます~。」


 「だいちー、おはにゃー。」


 まだ眠気眼で答えるこの2人は、朝から萌え度合いが全開である。

 無意識にこの仕草であるわけだから、男にとっては痛恨の一撃だ。

 堕ちない男は居ないだろう。


 「ほら、2人とも折角のスペシャルモーニングが冷めちゃうよ。食べようか。」


 2人を促す俺は、まるでなんだかお父さんみたいだなと、少し自分が可笑しい。

 だが年齢的にはありえなくは無いかと思うと、途端に寂しい気持ちにかられる。。


 「皆さんお待たせしました。この度は当ギルドの無理なお願いにお答え頂きましてありがとうございました。こちらが今回の報酬金になります。今回は急な依頼でしたので、夜間突発手当を上乗せさせて頂いています。ご確認下さい。」


 「ありがとうございます。」


 少し申し訳なさそうにセリーが報酬金の入った小袋をいつもの盆に載せて、俺たちのテーブルにやってきた。

 セリーから小袋を受け取り中を確認するが、予め上乗せ分の金額を聞いていたとは言え実際に手にするとその多さに驚いた。

 ギルドからの突発依頼は非常に珍しく、特に夜間の場合は突発手当に更に夜間手当が合わさるので、元の依頼金額の倍近くあった。

 ちょっとした臨時収入である。


 2人より早めに食べ終わった俺は、プリンの様なデザートとお代わりした紅茶を口に運びつつ、昨日の依頼仕事の事を思い出していた。


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