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第3話 二人の女神?

本日2回目の投稿です。

可能なら、4話目も本日中に投稿致します。

 「くそっ!何処までも森だな。」


 腕時計が正確に時を刻み続けているのであれば、もう2時間は歩き続けている事になる。

 正確な方角は分らないが、この森に来た時から赤褐色ゴブリンから逃げる時も含め、ほぼ一直線に進んでいる。

 何気なく木々の間から確認をしていた『太陽』らしきものの位置は左から頂点を超え、わずかに右に傾いている様に思える。

 太陽は東から昇り西に沈む、となれば俺は現在大凡だが南に向かっている筈だ。

 耐久性重視のこの腕時計に内蔵されたデジコンも、一応は南を指している。

 だがれそれは地球基準の理屈であって、ここが地球である確証も無ければ、天に輝くあれが太陽である保証もない。

 だが全く見知らぬ土地で移動をするには何か基準を作らなければ、それこそ同じ場所をグルグルと回り続ける羽目になるかもしれない。


 「少し休むか・・・つーか、喉乾いたな。」


 赤褐色ゴブリンに襲われていた辺りより随分と険しさはマシにはなったものの、とても人が通れるような道では無い所を歩き続けるのは流石に疲れる。

 俺は体より太い木に持たれるように座り込み、少し休憩を取ることにした。

 大きく一つ深呼吸をすると、一旦耳を澄まし辺りの様子を警戒する。

 風で揺れる木々の羽音だけが静かに聞こえるのを確認すると、俺は両足を伸ばし投げ出し全身の緊張を解いた。


 「あーあ、何やってんだろうな俺。どうやったら戻れるんかな。」


 木々の間から見える青空をぼーっと眺めながら一人呟き考える。


 『ん、戻る?』


 戻った所で、またあの終わりのない強制残業の日々に毎日毎日、上司様のご機嫌伺いから始まっては、ねぎらいの言葉の一つもなく終わる日々。

 別に結婚している訳でも無ければ、そもそもここ10年は出会いなんて全く無い。

 そして寝るだけの為に返り、数時間後にはまた仕事。

 

 『戻りたいか?・・・あぁなんか疲れたし、もうどうでも良くなってきたなぁ。そういやこんな自然の中に来たの何年ぶりだろうか、子供の頃以来か風が気持ちいい。何気に昨日も殆ど寝れて無いんだよなぁ

 眠い・・・だめだ・・・こんな状況で寝・・・る訳には・・・』


 心地良い風が頬を撫でる。

 寝返りをうった拍子に背中を持たれていた木からずれ、バランスを崩した俺はそのまま左に傾きながら地面に倒れた。

 余程疲れていたのだろう。

 完全に地面に倒れきるまで全く気が付かなかった。

 目を開けた俺は最初目に映る景色を眺めながら寝てたのかなどと呑気に考えていたが、30秒としない内に自分の状況を理解し慌てて身体を起こした。

 

 「ヤバイ、寝ちまった!」


 俺は上半身を起こすととにかく手足を確認し、無事なのが分かると少し安堵のため息を漏らした。

 

 「やあ、やっと目が覚めたね。 ひょっとして死んでるんじゃないかと思ったよ!」


 「!!!」


 予想もしていなかった人間の声に、俺はビクッ!と体を強張らせるも直ぐさま顔を上げ辺りを見回した。


 「どこ見てるのさ。後ろだよ。」


 声のする方に向き直りながら立ち上がったその目線の先には2人の少女が居た。

 2人とも見た目は10代半ばか前半といった所か、手前側に立っている方の少女はショートボブ、もう1人の方は腰程までのロングヘアー、2人共鮮やかなパステルピンクの髪色だ。

 何のコスプレかと気を取られ、状況が飲めずに立ち尽くす俺に再び少女が話し掛ける。


 「おーい起きてる?立ったまま寝ちゃった?ってか、そんな軽装でこんな所で寝てたらモンスター共の餌になっちゃうよ?」


 ショートボブの方の娘が若干呆れた風に言った。

 声からするに、俺に話し掛けて来たのもこの娘の様だ。

 続けてロングヘアーの娘がショートボブの娘と並びゆっくりとした口調で言った。


 「あの、大丈夫ですか?勝手ながら取り敢えず回復魔法で傷は癒しましたが、まだ何処か痛む所はありますか?」


 「あ、あぁ、いえすみません。大丈夫です。」


 取り敢えず条件反射的に答えながら、俺は掌を見たり痛みを確認する様に軽く体を触ったりした。

 

 『確かに痛みも、見える範囲の傷も消えている。魔法?確かに魔法って言ったが、まさかそんなゲームじゃあるまいし・・・いや、ゴブリンといい本当なのかもしれない。とにかく今はそんな事よりも、自分の置かれた状況の確認が先だと考えるべきか。』


 「すみません、助けて頂いてちゃんとお礼も言わず、ありがとうございます。突然の事に驚いてしまって。 俺は。」


 そこまで言った所で、ショートボブの娘が両手を頭の後ろに回しイタズラ気味な表情で言った。

 

 「もし私達が居なかったら今頃ゴブリン共の餌だったんだから、感謝しろよなー。」


 「コラ、何て言い方するの!駄目でしょ、マリス。ごめんなさいね、この子ぶっきらぼうで・・・謝りなさい。」


 「ちえー、ごめんなさーい。」


 申し訳なさそうに俺に軽く頭を下げつつ、ロングヘアーの娘にショートボブの娘が諭される。


 「あ、いえ。お気になさらず。本当の事ですし。改めまして俺は、西明寺 大地といいます。気が付いたらこの森に居まして。それで、ここ何処ですか?」


 何と無く予想していた通り2人は一瞬えっ!といった反応の後、ロングヘアーの娘が答えた。


 「ここはザート領の端に位置するザラ山脈の森で、クムリ村より少し北東に進んだ所です。私はマリリ・ショコラ、そしてこの娘が私の妹のマリス・ショコラ、そのクムリ村の者です。」


 続けてショートボブの娘、マリスが不思議そうに俺に問い掛ける。


 「ここが何処か分からないって事は、おにーさんは旅人?その割には荷物も何も持って無さそうだけど、既にゴブリンにでも襲われて投げ出して逃げたとか?」


 「こらマリス!あなたはまた・・・ごめんなさいね。でも確かにゴブリン以外にも色々なモンスターのいるこの森で、これと言った装備も無いのは少し危険ですね。」


 「ひょっとして、おにーさんは魔法士とかかな?にしても、ロッドの1つも持ってないし」


 マリスが少し不思議そうに首をかしげながら俺に問い掛けた。

 

 「いえ、魔法士では無いですよ。気がついたらこの森に居て、ゴブリンみたいなのに追い回されて色々有って難を逃れ今に至るって感じです。」


 するとマリリとマリスは少し驚いた様子で、一呼吸おいてから再びマリスが問いかけてきた。


 「気がついたらって、転移魔法で飛ばされたって事??」


 答える間も無くマリリも続ける。


 「ではさっきの傷はゴブリンに襲われたという事ですか?武器も無く魔法も使えない状態で、よく逃げ切れましたね。」

 

 「実は凄い武闘家とか?」


 マリリが言い終えない内にマリスが被せる。

 何というか、対象的な姉妹だ。


 「えっと、マリリさん?に治して頂いた傷は言われる通りゴブリンに襲われた時に負わされたものです。逃げ切ったと言うか、どちらかと言うと追いつかれたのですが、まぁ何というか奇跡的に倒せたみたいなものですかね。あと武闘家とか、そんなんじゃ無いですよ。」


 俺はそう答えながらズボンのポケットからゴブリンを倒した時に入手した、紫色のティアドロップの形をしたクリスタルを取り出し二人に見せた。


 「魔石!?って事はワイズゴブリンの!!」


 紫色のクリスタルを見た途端、2人は声を合わせて驚きクリスタルと俺の顔を交互に見直していた。


 「えーと、まぁ、それって普通のゴブリンとは違うの??」


 「違うも何も、魔法を使うゴブリンの亜種の事じゃない。奇跡的に倒せたって行っても、武器も無しに素手で勝てる相手じゃないよー?」


 若干呆れた様にマリスとマリリが俺を見つめる。

 奇抜な髪の色に目を奪われがちだが、この姉妹はよく見れば、いやよく見なくとも相当な美人姉妹だ。

 明るく人懐こい感じで幼な可愛い感じの妹マリスに、年上のマリリは落ち着いた佇まいで、可愛いさと大人の雰囲気を兼ね備えた美人の姉である。

 こんな美人姉妹の二人に見つめられたのでは、ここ10年間彼女なしで女性に対しての免疫が薄れている俺としては、年甲斐もなく思わず心臓の鼓動が高なってしまう。

 

 「あの、大丈夫ですか?」


 「へっ、あぁ大丈夫です。すみません。」


 思わず2人に見とれてしまい少し遠くへ行ってしまっていた俺に、マリリが心配そうな眼差しを向ける。

 だめだ、可愛い。

 澄んだ綺麗な瞳に自然と吸い込まれてしまいそうだが、このまま見惚れていては只の変なヤツだ。

 そう思い、取り敢えず俺はこの森に来てからワイズゴブリンをなんとか倒せた経緯などを2人に説明した。


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