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第4章 12話 力の正体と新たな武器

長らく更新止まり申し訳ありません。

毎日の様に休憩もほぼ無き長時間労働、時には16時間勤務と、超絶ブラックな勤務が続き、体力的にしんでました。

 キヨミがさり気無く辺りの様子を伺い、認識阻害の魔法をかける。

 元々賑やかな所からは外れた静かな席なので、周囲の席には人はいないが念のためだろうか。

 今このクムリ村にキヨミ以上の力を持った魔法士はいないので、認識阻害の魔法を破られる事も無いだろう。

 

 「まぁ念の為ね。 壁に耳あり障子に目ありって、私のお母さんが偶に言っていたわ。」

 

 「いきなり話の腰を折って申し訳ないですが、この世界にも障子ってあるんですか?」

 

 「私の知る限りでは、この国では見た事は無いわね。 もっとも他の国ではどうかは知らないけど。

  ちょっと不思議な扉だと思うけど、あれはあれは趣があって良いわね。」

  

 「あれ? キヨミさんは他の国で見た事があるとか??」

 

 「というかあれは大地ちゃんの居た世界の物でしょ? 流石に本物は見た事は無いけど、小さな作り物でなら有るわよ。

  お父さん・・マリリとマリスのおじいちゃんね、がお母さんから聞いて作った小さな作り物が家に有るわよ。

  しまい込んであるから、また今度見せてあげるわ。」

  

 ちょっと予想外な答えに少し驚く。

 なんでもばーちゃんの話を聞きながら、マリリ・マリスの爺ちゃんが遊びで作った日本家屋のミニチュア模型らしい。

 中々に興味深い、見せて貰うのが楽しみだ。

 

 

 

 「さて話を戻しましょうか。

  もう一度確認なんだけど、大地ちゃんは少し先に起ころうとしてる出来事が見えたのよね?

  それって、そう願ったり思ったりしたの?」

  

 「えっと、先の未来が見たい・・・という様に思ったり願ったりした訳じゃ無いですね。

  あの時はとにかく必死だったので、とにかくみんなを守る力を、あの黒衣の魔女に対抗出来る力が欲しい・・・という感じの事を強く願ったというか、思ったというか大体そんな感じですね。

  」

 

 「成る程ね。 そうか、そういう事でそうなるのか・・・。」


  何か納得でも言ったかのように、キヨミが一人でふむふむと頷く。

  心当たりでも有るのだろうか。

  

 「ねぇお母さん、一人で納得してないで教えてよ。」

  

  どうやらマリリも俺と同じ事を考えていた様だ。

  

 「あはは、ごめんね。 まぁ納得と言うか、なんというかなんだけどね。」

  

  キヨミがカップに注がれた葡萄酒を一口飲み、話を続ける。

  

 「さっき私が言った、魔法が使えない者でも自由に・・・って話だけど、そういえばそれって例え話みたいな感じで言っていたなと、なんとなく思い出してね。

  あ、話の下は私のお父さん、マリリとマリスのお爺ちゃんね。

  どうもその例え話ばかりが印象に残ってて、それがアレの力だと思い違いしてたわ。」


 「つまり、漆黒のグレイブの本当の力と言うのは?」

  

 「確かこう言っていたわ・・・漆黒のグレイブがその所有者と認めた者が、強く望んだ願いがなんでも叶う・・・と。」

  

 「願いが??」

  

 「そう、あの時、大地ちゃんは『みんなを守る力を欲したのよね。 あの魔族に対抗出来る力・・・』と言う風に。

  それが形として現れたのが、大地ちゃんの言う『先見の力』なのよ。

  つまり先見の力で、これから起こる未来が見えると言う事は、先の魔族の行動も読める・・・なら防ぐことも避ける事も、対抗する事も出来る・・・という事じゃないかしら?」


 「そう言う事・・・ですか。 確かに、そう言われればそうかもしれませんね。

  敵が退いた後は、漆黒のグレイブを手にしていても未来は特に見えなかった。 つまり戦いが終わったその時は、先見の力に繋がる様な事を思っても願っても居なかった。

  だからグレイブを握っていても、なんらいつもと変わらなかったって事か・・・」


 「ええ、そういう事ね。 まぁあくまでも昔に聞いた話の記憶と、状況からの推測だけど。」


  キヨミが肩を竦めて見せる。


 「ひょっとすると、先見の力は大地ちゃんが使用者だった時の特有の能力かも知れないわね。

  でも気をつけないといけないわよ・・・。

  その力を使えるのが限定的な状況だとしても、未来が見える能力・・・使い様によっては色々と大変な力よ。

  漆黒のグレイブそのものを、奪い狙う者も出てくるかもしれない。」


 「そうですね。 あ、でも、そもそも漆黒のグレイブを使う事が・・・というより、持つ事すら出来る人が私たち以外にいないですよね。」


 マリリの何気ないコメントに、思わずキヨミと目を合わせる。


 「い、言われてみれば、それもそうね・・・。」


 「そ、それもそうか。 そう考えれば、まぁ安心か。」


 「・・・さて、難しいお話はこれ位にして、お祭りを楽しみましょうか。」


 キヨミが認識阻害魔法を解く。


 「あーっ! 何処に行ったかと思えばこんな所に居るし!」


 突然背後からの声に振り返ると、マリスが両手いっっぱいに屋台で買った食べ物を抱えてこちらを指指していた。


 「ひょっとして、おかーさんが認識阻害の魔法でも使ってた??

  僕だけのけ者にして、いったい何話してたのさ?」


 ちょっと膨れっ面のマリス。


 「大地ちゃんの力についてよ。 内容が内容なだけに、念の為にね。

  家に帰ったら、マリス、貴方にもちゃんと話すわよ。」


 キヨミがマリスの頭を撫でながら答える。


 「さあ折角だし、ごちそうでも色々と頂ましょうか?」


 「ですね。」


 そして夜は更けていった。




 「よし、こんなもんかな。 後はコイツを取り付けたらぼちぼち休憩か・・。」


 「お疲れさまです、大地さん! お昼にしましょうか!」


 「早く食べよー大地! 今日はサンドイッチだよ!」


 「おお!ナイスタイミングだな! 手洗って来るよ。」


 魔族・・黒衣の魔女との戦いが終わってから今日で6日目になる。

 あの戦いの日、王都の方は襲撃など何もなく無事だったらしい。

 とはいえいつまたあの様な事が起こらないとも限らないので、少しでも戦力を戻すべくキヨミの部隊は王都へ戻る事となった。

 但し、クムリ村も魔族襲撃の危険が完全に無くなった訳では無いので、キヨミ自身はこの村に残った状態だ。


 と、表立てはそうなっているが、キヨミに対してのピターニャ王の気遣いだろう。

 王都に戻った魔法士団は王都に残っている団と合流し、キヨミが戻るまでは魔法士団の副隊長が指揮を取る事になる。



 「くーっ!食った食った。 ごちそうさまでした。

  さてもうちょいしたら、作業再開しますか。」


 「この調子で行くともうすぐ完成ですね。」


 「ああ、前回のノウハウが有ったのとマリリとマリスが手伝ってくれたお陰だ。

  調整も含めて余裕見て3日って所かな。」


 「大地は今日は夜まで続けるの?」


 「ああ、今後の事を考えるとちょっとでも完成を急いでおきたいところだからね。

  そういやキヨミさんは、今日も自警団の所かな?」


 「今日は朝から王都への連絡とか色々有るみたいで、ギルドの方へ行ってたみたいですよ。

  午後から自警団へ寄ってから、此方へ来ると言ってましたよ。

  大地さんに頼まれてるアレの件も有るからと。」


 「そっか、助かるな。 そういやミトンさんに頼んでるアレもそろそろ届く頃か。」


 「よー、3人とも揃ってるな。 おじゃまするぜ。

  注文の品、出来上がったぜ。」


 「ミトンさん、こんにちわ。 すみません、配達までしていただいて。」


 「なに、気にするな。 それに今回の分も十分な位に代金は頂いてるしな。 配達位して当然だ。

  それに、仕上がり具合を見たかったしな。」


 「ミトンさん、そっちが本命なんじゃ無いの?」


 「おお? マリスちゃん言うようになったじゃねーか。

  がはは! まぁその通りだけどな。

  折角だし、ワシも手伝っていこうかの。 大地いいか?」


 「勿論ですよ、助かります。」


 マリリにマリス、そしてミトンも加えて、俺達は午後の作業に没頭。

 気が付けば、時刻は16時に差し掛かろうとしていた。

 そろそろ一旦小休憩でも取ろうかと話していた時、倉庫の扉が開く。


 「いやーおまたせ、思ったより長引いちゃったよ。 遅くなってごめんねー。」


 キヨミの到着だ。


 「お母さん、お疲れさま。」


 「お疲れー!お母さん!」


 キヨミが飛びつくマリスの頭を撫でつつ、携えた剣を武器棚に掛ける。


 「ごめんね大地ちゃん、遅くなって。」


 「いえいえとんでもない。 こちらこそ無理言ってすみません。」


 「それ位お安いご用よ。 じゃ早速、私の分担分を始めちゃいましょうか。」


 「よっこらしょっと・・」


 倉庫の奥、隠し床下収納から鍵付きの箱を取り出しテーブルの上に置き蓋を開ける。


 「これが大地ちゃんの言ってたそっちの世界の武器って奴ね。

  何て言う、武器なの?」


 「ええ、まぁ全く同じでは無いですけどね。 と言うよりも、むしろコッチの方がよっぽど強力かと。

  呼び名は何種類かありますけど、最も一般的な呼び名としては『銃』ですね。

  とは言え、打ち出すのは普通の弾とは違い魔法弾なので、差し詰め『魔法銃』ってとこかな。」


 「そのまんまの名前だね。 流石の大地センスだね。」


 「お、おう、マリスさん相変わらず厳しいですね。」


 試作品のそれ箱の中から取り出し右手に取る。

 自分で言うのも何だが、試作品ながらなかなか精巧に出来たもんだ。

 試行錯誤を繰り返しながらも、メインの制作物とは別に空き時間を利用してコツコツと作り上げて来た甲斐があるってもんだ。


 実を言うと有る程度の部品の製作を、王都に旅立つ前にミトンに頼んでいたのが幸をそうした。

 しかも失敗した時用にと、オーダーしていた部品を複数予備を作っていてくれたので助かった。

 流石ミトン、そう言ったところが職人として気が利いてる。


 最初はオーソドックスなリボルバー式の物を考えていたのだが、実際に戦いで使用する事を考えると弾数的に厳しいものがある。

 メンテナンス性を考慮すればやはりリボルバー式に手が上がるが、モンスターや魔族相手の戦闘中に弾丸の装填は大きな隙に成りかねない。

 と言うことで色々と苦戦はしたが、オートマチック式に決定した。


 オートマチック式ならば一度に15発前後を装填出来る上に、予め弾丸を装填した予備マガジンさえ用意しておけば極力時間を掛けずに済ます事が出来る。

 ただ使用する弾丸の兼ね合いと初の試作品と言う事で、サイズがちょっと大きくなってしまったがそこはご愛敬だろう。

 大きくなったついでに、いっその事と思いデザインを米国製の某50口径ハンドガンに似せてみた。

 ぶっちゃけ、かっこいいし。


 「と言うことで、これですキヨミさん。」


 銃と一緒に箱の中に居れていた、魔法銃専用の弾丸をキヨミに手渡す。


 「あれ?この弾丸、前に私とお姉ちゃんが魔法を込めた時には無かった色だね??

  魔法石の部分が銀で覆われてる??」


 マリスが不思議そうにのぞき込む。


 「マリスさん、正解。

  前にマリスとマリリにいくつか魔法を込めて貰ったものは魔法石がむき出し立ったけど、こいつはちょっと特別製。」


 「で、私がこの特別製の弾丸に魔法を詰め込むって事ね? 

  マジックディスクの事を考えればマリリやマリスでも全然問題ないと思うけど、敢えて私じゃ無いとって事は・・」


 「ええ、お察しの通りです。

  キヨミさんに込めて貰いたいのは、『神聖魔法』をお願いしたいのです。」


 「「神聖魔法を!?」」


 マリリとマリスが驚きの声を上げる。



いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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