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第3章 12話 シャオへの謝罪

 村長宅をお邪魔したした俺達はシャオ達が宿泊している宿へ訪ねてみたが、今日は朝から出かけているとの事だった。

 シャオが村の中に居るであろう事は確かだが何処に居るかわからないので、取り敢えずは倉庫の方に様子を見に行く事で意見が一致。

 

 「大地さん、大丈夫ですか?」


 「大地ちょっと元気無いね。

  体、何処か痛む?」


 「え?あ、ああ・・・2人には敵わないね。

  心配かけてごめん、ちょっと考え事してただけだから大丈夫だよ。」


 考え事をしていたらマリリとマリスが心配そうに俺の顔を覗きこむ。


 別に体はなんとも無い。

 昨日目覚めたばかりの時に比べれば、全然調子は万全だ。

 朝の首の寝ちがえた痛みもマリスに掛けてもらったヒールで回復済み、肩こりまで一緒に掻き消えた程だ。


 俺が少し悩んでいた理由は3つ。


 1つ目が、今向かっているシャオから受けた指名依頼に対する案件の遅延。

 2つ目が、先程、村長宅で議題に上がった黒衣の女性


 そして3つ目が、セリーの事だ。


 どれも重要事項過ぎて、どれが最優先かと問われると返答に困る案件ばかりだ。

 敢えて優先度をつける必要も無いが、やはり全ての事象の中心たる人物が俺自身である以上、常に俺の頭の中でその事がせめぎ合っている。

 それ故に表情が自然と険しくなっていたのだろう事を、マリリとマリスが気付き気を使ってくれてたのだ。


 いい歳こいたおっさんが、まだ10代の娘たちに心配かけさせてばかりじゃいかんな。

 気持ちを切り替える為に、両頬を自分で叩く。


 取り敢えず黒衣の女性の事は今は置いておこう。

 セリーの事を第一に考えたいが、真っ昼間よりも少し陽が傾いてから位の方がなんとなく良い気がする。

 ならまずは、やはりシャオの所で間違いは無いだろう。



 倉庫区画についた俺達は取り敢えず、今回の件の為にシャオが充てがってくれている倉庫へ向かった。

 程なくして到着し、解錠し倉庫の扉を開ける。

 ギイィッという木の撓る音を響かせながら、空気の入れ替えも兼ねて扉を全開にする。

 今回の一件前と比べて、特にこれと言って変わりは無い様だ。


 「さてここには居ない様だし、どうしたものか・・・

  他にもシャオさんが借りてる倉庫ってあるんだよね?」


 「ええ、ありますよ。 たしか・・・」


 「ん?おや?おお!大地殿じゃ無いか!?」


 開けたままのドアの方から不意に呼ばれ振り向くと、そこにはシャオが驚きの表情で立っていた。


 「これはシャオさん。 今丁度探していた所でした。

  この度は私の不始末でご依頼を受けました案件が遅れてしまい、申し訳ございま・・・ふ、ふごご」


 俺はシャオに向き直り深々と頭を下げた途端駆け寄ってきたシャオに抱きしめられ、その爆乳に寄って軽く息の根を止められそうになった。


 「さっきチラッと3人の姿が見えたから、まさかと思って来てみたんだ。

  もー、お姉さんは心配したんだぞー。」


 そう言いながら俺の頭を相変わらずの爆乳に抱きしめたまま、頭を撫で撫でするシャオ。

 程よい弾力に男としてこのまま身を預けたい気持ちは有るが、背中側からの2人の殺気が半端無いのでシャオを制止て体勢を整える。


 「所で体の具合はもう良いのかな?」


 「はいおかげさまで。

  ですが、荷馬車の製作の方に遅れを出してしまった事を、お詫びさせて下さい。」


 俺は改めてもう一度、頭を下げる。


 「今回は事情が事情ですから、そんな事気にしなくて良いですよ。

  それにしても、本当に目覚めて良かった。」


 シャオの目に少し涙が光る。


 「申し訳ありません。 ご迷惑をお掛けします。」


 「本当に大丈夫だよ。 それに私の方にも少し急用が出来てしまってね、これから一旦この村を立つ所なんだ。

  ギルドの方も荷馬車の指名依頼の納期延期の手続きは済ませてあるから、急がなくても大丈夫だよ。」


 「そうですか・・・すみません、何から何まで。」


 「所でシャオお姉ちゃん、何かトラブルでもあったの?」


 マリスが質問する。


 「ああ、そうなんだ。

  実は別で部下に任せている仕事でちょっと数件トラブルが合ってね、これから一旦急遽王都へ向かう所なんだよ。」


 「そうですか・・・あ、じゃあ尚更、馬車が・・」


 「馬車なら大抵の村や町に常に予備を確保してあるから、心配には及ばないよ。」


 「シャオさん、準備が整いましたよ。

  あ、大地さん、お目覚めになったのですね? お体は大丈夫ですか?」


 そうこうしていると、シャオの部下で双子の姉妹、ユン・レイトとミン・レイトが頭を下げつつやってきた。


 「ユンさん、ミンさん、ご心配おかけしました。

  この通り万全です。」


 再び頭を下げる。


 「「それは良かったです。」」


 「積もる話はまた私がこの村に帰ってからにするとして、そろそろ出発しようか。

  じゃぁ、マリリ、マリス、大地殿の事、しっかり掴んどくんだよ。」


 「え!?あ、う、うん、い、いってらっしゃい。」


 「いってらっしゃい」


 話もそこそこに、シャオ達は馬車に乗り出発した。


 「とりあえず、荷馬車の製作依頼の方はなんとか成るか・・・。」


 言いながらマリリとマリスの方に振り返ると、なぜだか2人が俺を無言で睨んでいる。


 「え?えーっと、どうしたのかな?2人とも・・・」


 「大地、また鼻の下伸ばしてたー。」


 「そうですよ、シャオさんの胸にうずもれてあんなに嬉しそうに。

  やっぱり男の人って胸が好きなのですね。」


 「!?!?い、いや、あれはどう考えても不可抗力だと思うのですけど・・・」


 まぁ心の中では密かに鼻の下を伸ばしてたけど、そこは否定しておこう。

 そして男はおっぱいが嫌いな男はまず居ないと言うことは敢えて言わない方が良いだろう。

 後、マリリも結構、いや寧ろ大きいと思うのだがそれも今言うと色々墓穴掘りそうなので口を継ぐんでおこう。


 「仕方ないですね、これで許してあげます!」


 「右に同じく!」


 そう言いながら唐突にマリリが俺の右腕を、マリスが左腕を組んでくる。

 

 ・・・。


 何だろうこれ?

 俺からしたらご褒美以外の何物でも無いのだが。

 ひょっとして、焼きもち???


 「あ、ありがとうございます・・・」


 取り敢えずお礼を言いながら倉庫を出て、俺たち3人は再び村の中央広場へ向かうことにした。




いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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