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第3章 1話 光と闇

アラフォーおっさんの異世界奮闘記 第3章の幕開けです。


今後とも宜しくお願い致します。

 ・・・・・。

 

 ここは何処だろう。

 

 俺は・・・寝てたのか?

 

 仰向け状態のまま宙を仰ぐが、明かり一つ無いその空間は只ひたすら暗闇が広がる。

 布団や枕の様な気が利いた物は用意されていない様だった。

 俺が自ら此処で寝たのか、それとも眠らされたのかは分からない。

 

 ゆっくりと体を起こす。

 腹部に違和感を感じ立ち上るのを止め、座った状態で一旦休憩。

 

 違和感を感じた辺りを恐る恐る手で確かめる。

 特に変わった様子は無い様に感じる。


 視線を其方に移すが、全く何も見えない。

 目と腹部の距離何て、せいぜい40~50センチ程度だ。

 どうしてこの程度の距離が見えないのだろうか。

 

 ひょっとして、失明したのか・・・。

 

 ふと思った途端、言いようの無い恐怖感が全身を襲う。

 そう思えば思うほど不安感が増し、この場に居るのが急に怖くなりだした。

 

 心臓の鼓動が速くなるのが自分でも良く分かる。

 パニックを起こしてしまいそうだ。

 とにかく気持ちを落ち着かせなければ。

 

 何度か大きく深呼吸をする。

 そして大丈夫だと、見えないのは単に明かりが無いせいだからと、自分自身に何度も言い聞かせる。

 

 10分位経過しただろうか。

 なんとか落ち着きを取り戻せたのが自分でも分かる。

 

 俺は体勢を替え四つん這いになり、手で地面を探りながらゆっくりと立ち上った。

 やはり何処までも暗く何も見えない。

 耳を澄ませるも、音も何も聞こえない。

 

 取りあえず歩き出してみる。

 

 ・・・・・。

 

 どれ位、歩いただろうか。

 

 何も無い。

 

 ため息を付きつつぼんやりと何も無い宙を眺めていると、僅かに光る何かが見える事に気が付く。

 

 それを見つけた瞬間、俺の心臓の鼓動が突然早くなる。

 何かは分からないが、何かが光っているのは間違いない。


 ひょっとしたら出口か?

 外の明かりがドアか何かの隙間から差し込んでいるのか?

 気が付くと俺は無我夢中で、その光の点に向かって走り出していた。

 

 「くそっ!まだか!?」

 

 走れど走れど、なかなか光の点には近づかない。

 一体あれは何キロ先の光だんだ?

 だかその光の点以外は、相変わらずペンキで塗りつぶした様な漆黒の暗闇が広がるばかりだ。

 

 諦めてたまるかよ!

 

 俺は最後の力を振り絞り走り続ける。

 ひたすら真っ直ぐ、光の点に向かって。

 

 「もう駄目だ・・・限界だ・・・」

 

 俺は立ったまま両手を膝に付き、うなだれる様に肩で息をする。

 足元をぼんやりと眺めていると、足元が僅かに照らされている事に気がつく。

 どうやら光の元へ辿り着いていたようだ。

 

 俺は慌てて顔を上げる。

 

 「な・・・んだ、これは・・・。」

 

 その光の正体は、俺が期待していた物では無かった。

 

 少女だ・・・少女が宙に浮いている。

 ガラスの様な物で出来た、縦に長い球体に閉じ込められている。

 

 見た所かなり若く見える・・・単純に見た目だけで判断をすれば、10代半ばと言った所か。

 その少女は目を閉じたまま、足元まで有りそうな美しい長い髪を真っ直ぐに垂らし、頭から黒いベールを被っている。

 服は・・・服と呼べるものは着ていない。

 裸と思われるその小さな体は、黒い大きな布の様な物で覆い隠されている。

 

 眠っているのだろうか、それとも死んでいるのだろうか。

 肌の血色は見た所悪くは無い。

 透き通る様に白く美しく、まるで今にでも動き出しそうな雰囲気さえある。

 

 俺はその少女が閉じ込められているガラスの様な透明の球体に触れてみる。

 

 冷たい。

 

 まるで氷の様にひんやりとしたその透明な球体は、俺が指で触れた辺りに水面に起こる波紋の様な物が広がる。

 

 「なんだ?」

 

 軽く叩いてみるも、音がしない。

 少し強めに叩いてみる。

 割れたらどうしようと思ったが、叩いた感じではとても素手で割れる様な物では無い感じがした。

 というより、ガラスとは全く違う別の何かだ。

 

 そして光の正体。

 それはこの少女が閉じ込められた宙に浮かぶ、透明の球体の下にある地面に描かれたもの。

 機械で描いたような正確な円形が何重にも書かれており、その円形の間に見た事が無い文字が所狭しと書き込まれている。

 

 「魔法陣?」

 

 その魔法陣の様なものからはまるで少女を照らす様に、ぼんやりと白い光が発せられていた。

 

 俺はその場にしゃがみ、魔法陣にそっと手で触れてみる。

 

 途端、突然その魔法陣がより強く光り出す。

 暗闇を切り裂くように強いその光は、瞬く間に全てを光で包み飲み込んだ。

 


いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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