第11話 ネコミミ!?シッポ!?小隊長は猫科人!?!?
マリリとマリスの家・・・2人の姓を取ってショコラ邸とでも呼ぼうか、を出た俺たちはザウルの待つ街の中央へ向かう道中、改めてこの街の事についてマリリとマリスに教えて貰った。
ざっくりと纏めると、街のほぼ中心に今向かっている噴水のある中央広場が有る。
そして、その中央広場より南方の端に位置するのがこの村の正面玄関的出入り口となる正門だ。
中央より南方のエリアには宿泊所や飯屋に酒場などが集まっているらしい。
酒場と言っても現代におけるキャバクラ的な物では無く、どちらかと言うとヨーロッパによく有るバールの様な物だ。
そして中央広場とその西方のエリアが市場や多くの露店が並ぶ、いわば商業地区となっている。
マリリ曰く、あくまでも『村』だそうだが、ちょっとした武具やマジックアイテムまで手に入るらしく完全にちょとした街じゃないかと思う。
それを質問すると、マリリから予想外な答えが返ってきた。
どうやらこの村は『温泉』が湧き出てるらしく、旅好き達の間では穴場の観光スポット的な物になっているらしい。
それゆえに商業が盛んという事らしく、これだけ活気が有るのも納得である。
中央広場から東と北のエリア、ここがこの村の人たちが暮らす住居が立ち並ぶ俗にいう居住区というヤツだ。
勿論、村人全員の家が集まってる訳では無く、店を営んでいる人たちは大体がその店舗の2階や奥が住居になっているそうだ。
ショコラ邸もこの居住区に位置し、東方の一番奥まった所に建っているのだが子供たちが遊べるようなちょっとした広場や、作物畑なんかもこの居住区に有るらしい。
そしてザウルと合流した後に向かわんとする村長邸は、中央広場から北方に進んだ位置に有るとの事だ。
程なくして俺たち3人はこの村のほぼ中心の中央広場に到着した。
その広場の中心の噴水の側に、誰かと話をしているザウルの姿が有った。
「おまたせしました、ザウルさん。メリルも一緒だったのね。」
「おう来たか、急ですまんな。では、メリル引き続き監視を頼む。」
「承知致しました。マリリお姉ちゃんこんにちは。よっす!マリス!」
メリルと呼ばれた人物はザウルと話をしていた時の表情とは一変し、にこやかに答えた。
「あれ?そっちの人は見ない顔だね。ひょっとしてザウル隊長が言ってた日本人かにゃ?」
「初めまして、西明寺大地、36歳です。お察しの通り日本から来たものの行くあても無く、マリリとマリスに助けられて今に至る状態です。」
「私の名はメリル・アラザン。クムリ村・警備隊の獣人小隊、隊長。科目は猫科人。よろしく、にゃ!」
メリルが警察の敬礼の様なポーズをとったので、俺も慌てて同じく敬礼で返す。
ビシッ!とした敬礼に自己紹介だが、語尾の『にゃ』がなんとも力が抜けてちょっと可愛らしい。
猫科の獣人と言うだけあって、メリルの頭にはまさしくネコミミの様な物がついているのだが、普通に人間の耳もある。
後から聞いた話だが両方とも耳として機能しているらしく、ネコミミの方はより遠くの音を察知する能力が有り、かなり離れた位置に隠れているモンスターの声や僅かな羽音も聞き取る事が出来るらしい。
燃える様に赤いセミロングの髪に身長は145センチ位だろうか、若干釣り目でぱちりとした瞳はマリリやマリスに負けず劣らずの美少女だ。
おまけにフサフサのシッポが揺らめくその姿は、どう見てもネコミミコスプレ少女にしか見えない。
「こちらこそ宜しくお願いします。」
メリルと握手を交わす。
手とかの見た目は普通の人と全く変わりは無いが、女の子特有の柔らかさに加えて、若干肉球みたいないつまでも触っていたくなる様な気持ちの良い弾力感がある。
「あ、あの・・・」
「だーいーーちー? いつまでメリルの手をにぎにぎしてんのー?」
「へっ!?はっ! ご、ごめん、つい気持ち良くって。む、無意識だ。」
肉球的感触に酔いしれ、つい無意識に握手のままメリルの手を握り続けてしまっていた。
呆れ顔のマリスに突っ込まれ気がつけば困ったように照れるメリルに、やれやれと言った感じでため息を吐くザウルの姿が有った。
「まぁメリル達、獣人族の肉球気持ち良いのは分かるけどー。鼻の下伸ばしちゃって。」
「あ、やっぱ肉球なんだ。って、鼻の下伸ばしてないし!ちょっとマリスさん?誤解を招くようなツッコミやめくれー。」
「なーに焦ってんの?ずぼしー?」
「あ、あの、良かったらもっと握っても・・・いい・・・ですよ?」
「ちょ、ちょっとメリル、君も何言って、てかマリスさん、そろそろご勘弁を!!って、おわっ!?」
突然何かに左腕を引っ張られバランスを崩しそうになり振り返ると、ふくれっ面のマリリがじっと俺を見つめていた。
ふくれっ面まで可愛いマリリだが、手を握るその力がどんどん強くなって来る。
「え、ちょ、ちょっとマリリ・・さん?痛い、です・・よ?」
「ほらっ!村長が待ってるんだから、早く行きますよ!」
「じゃーなーメリル。」
「またね、マリス。」
スタスタと歩き出すマリリに手を引っ張られながら、メリルへの挨拶もそこそこに俺達は村長宅へ向かった。
1日当たり、1~2話のペースで投稿を続けていきたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。