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第2章 55話 戦闘開始!

 「あれがアンデッドか・・・

  まぁ概ね想像通りだな。」


 俺とマリリ・マリス、そしてセリー はアンデッドの動きを監視役として幻惑の森近くに配備されている、クムリ村の警備隊と合流していた。

 到着までに特にモンスターの類いと遭遇しなかったのは運が良かったのか、それとも悪かったのか。

 出来れば一度くらい低級モンスターと遭遇していれば、グレイブの試し振り位は出来たのになと思う。


 「取り敢えず数は報告の時と変わり無し。

  特に動きも無し、依然此方には気が付いていないと考えても良い所か。」


 俺は小型の遠見鏡をマリリに手渡す。

 若干フォーカスが合いきって無いが、有るのと無いのとは大違いだ。


 マリリが確認を行い、次にマリスが確認する。


 「確かに今のところは、付近に術者の姿は見えないみたいだね。」


 今度はマリスがセリーに遠見鏡を渡し、確認を終えたセリーが警備隊に返す。


 アンデッドの対処として、今回改めて前線に来たのは、俺・マリリ・マリス・セリーの4名だ。

 ザウルやメリルその他の冒険者達も候補には上がったのだが、万が一この村にアンデッドの手が及んでしまった際、防衛が手薄になることを恐れて村に残る事となった。


 だが俺とマリリとマリスだけに全てを託すというのは、村としてもギルド協会としても些か責任問題の懸念が有るのは事実だ。

 その対応としてギルド協会を代表して、セリーがメンバーに加わる事になった。


 実際にセリーが戦っている所を間近で見たことが無いので俺としてはセリーの実力を知らないのだが、聞けば冒険者ランク的にはゴールドクラスに該当するらしい。

 あの酒呑みの姿からはちょっと想像が出来ずに驚いた。


 なんでも各ギルドには必ずゴールドクラスに準ずる力を持った職員が必ず一人は配置される決まりが有るらしく、このクムリ村のギルドではそれがセリーとの事だとか。

 正直セリーの事を少し、いや、かなり見直した。


 ちなみに先に偵察に来ている警備隊の4名は、あくまでも偵察名目なので戦いには加わらない。


 ギルドランクがプラチナクラスのマリリとマリスが居るだけで、今回のアンデッドの数ならば戦力としては充分と考えて問題は無い。

 それと同時に今回は状況的に、並の冒険者では逆に足手まといに成る懸念も有った。


 単純にアンデッドのみを相手にするのであればまだ良いのだが、その後ろに居ると思われる者・・・仮に魔族だとしたら前回の戦いを考慮すると、確実にマイナス要因となってしまう可能性が非常に高いと思われる。


 マリリ、マリスでさえ赤子の手を捻る様なものだった。

 唯一対抗しうる事が出来る可能性が有るのが、闇属性魔法への耐性を持つ俺だけなのが辛いところでは有るが・・・


 とは言え策という策も思い付かなかったので、いざと言う時は俺の耐性とこの漆黒のグレイブに掛けてみる事にしたのだ。




 もう少し動向を探ろうかと話し合っている時だった、漆黒のグレイブから僅かに何かを感じたと同時に見張り役の警備隊が声を上げる。


 「アンデッドが進行を開始しました!」


 俺達4人は咄嗟に武器を構え、身は隠したままに岩影から僅かに顔を覗かせる。

 するとさっきまでバラバラの方向を向いたままじっと止まっていたアンデッド達が、まるで何かに統率されているかのように列を組んで此方に向かい進行を開始していた。


 骸骨剣士5体が横一列に並び、その前に獣型が10体隊列を組んでいる。

 速度は人が歩く速度とほぼ同じ、非情にゆっくりとしている。


 アンデッド達が果たして俺達に気付きこちらに向かっているのか、それとも俺達の後方に位置するクムリ村に向かっているのかは分からない。

 もしこのまま前進を続けられれば、間違いなくクムリ村に到達するだろう。


 今回のこのアンデッド発生については、余りにも突然過ぎて謎だらけだ。

 出来る事なら無闇やたらと戦いに興じるのではなく、じっくりと相手の動向を探り作戦を練り、その上で必要が有れば戦うという判断を行いたかった。

 だがもうその余裕も無いと思われる。


 「打って出る。

  このままではいづれ、ヤツらはクムリ村に到達し戦闘に発展するだろう。

  ならばここで食い止め、村へ被害を及ばせないに越したことはない。」


 「私も大地さんの判断に賛成です。」


 「僕も右に同じく。」


 「了解いたしました、賛同致します。」


 4人で頷き合う。


 「では、村への状況報告お願い致します。」


 セリーの指示を受け監視役の警備隊員が1名、さっそく早馬で村へ報告に向かった。



 とその時だった。


 岩場の影になっている事でアンデッド達からは死角になっていると思っていたが、獣型のアンデッドが何かに気が付いた様に、不気味な唸り声を上げながらこちらに走り始めた。

  

 「ヤバイ気づかれたか!?

  行くぞ!」


 「「「はい!!」」」


 俺達は一気に岩陰から飛び出した。


 速い・・!?


 予想はしていた。

 元々がケルバウルフが原型というのは分かっていたので、それなりに素早いのは予測がついていたが想像を超える速さだった。

 もう既に先行する5体が俺達に飛びかかろうと直ぐ目の前まで迫っている。


 「フレア・アロー!」


 1体が俺に飛びかかろうとし時だった、俺のすぐ後方から炎で形作られた矢が獣型アンデッドの頭部を捉え撃ちぬいた。

 それと同時に後ろに回転するように吹き飛ばされたその個体は、その勢いのまま地面に叩き付けられるとやがて灰の様に変化し崩れ消えた。


 「ありがとう、マリリ」


 「次、来ますよ!大地さん。」


 炎の矢を放ったのはマリリだった。

 アンデッドに対し水属性の魔法は効果が無いに等しいらしい。

 逆に火属性の魔法は有効的だ。


 「よし、漆黒のグレイブ・・・お前の力を貸してくれ。」


 真正面から飛びかかってくる2体目の獣型アンデッドに向けて、俺は漆黒のグレイブを下から上へ振り上げる様に攻撃を繰り出した。



いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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