ココロノヨリドコロ
君は今夜も足のかかとに向かって、話しかけている
ばんそうこうを外しながら、ときどき表情をゆがめては
僕の言葉を丁寧にひろっている
社会人1年生となり、慣れないヒールで足が痛いのだろう
最近は僕よりもばんそうこうの存在が大きくなっている
以前は、今度の休みはどこに行こうか迷うくらいにいろんな場所を
お互い話していたけれど
今は君の優先順位に、僕が合わせている
ココロノヨリドコロ
君の笑顔は、どんなときも僕をやさしくつつんでくれる
肩より少し長い髪も
たまに短く切ったときも
少し遠慮がちにテーブルに置くハンバーグも
僕にとっては新鮮なこと
ココロノヨリドコロ
君にはまだ伝えていないけれど
君の言葉にはとても感謝している
ときどき怒って帰ってくる僕に間を置いて話す言葉
僕が冗談で話す言葉のひとつひとつを因数分解で解いてみては
遠慮がちに話す言葉
何もしゃべらない日、そのあとの一言も
ココロノヨリドコロ
君は強い人間ではないと思う
迷うこともあるだろうし、泣きたくなる瞬間もあると思う
とまどって、寄り添って話を聞いてほしいときもあると言う
だけど、僕が大丈夫?と聞いても、大丈夫と言う
君はとても弱い人間ではないと思う
強さを知ったやさしさを持った女性であると
ココロノヨリドコロ
僕に対しては、ほとんど要望がないようだけど
たまには言ってほしいと思うときがある
それは頼りがないと感じたとき、君が無口で黙っているときに
仕事で会えない日が続いたとき
僕は君をココロノヨリドコロとしている
君が僕をココロノヨリドコロにしているように
君が伝える言葉のすべてをココロノヨリドコロにしたいと思う
君は僕が伝える言葉の4分の3をココロノヨリドコロにしたいと思う
僕が君を思う気持ちの4分の3をココロノヨリドコロにしている
君が僕を思う気持ちのすべてをココロノヨリドコロにしていたい
二人のココロノヨリドコロはお互いの気持ちや伝えたい言葉に
負けないくらい強いココロノヨリドコロとして
これからも持ち続けたいと思う