エドガー 4
目を覚ますと、そこは静かな森の中だった。
聞こえてくるのは虫のさざめきと鳥の声だけ。
他には、何も聞こえてはこない。
随分と、奥深い所にいるようだ。
そんなことをぼんやり考えていると、ふとあることを思い出す。
(あれ、さっきまで博物館の中に居たはずが……)
どういうことだ……とそこまでいって、ようやく手の中の感覚に気がついた。
あの刀剣だ。
博物館から手に入れた、その剣が僕の手にすっぽりと収まっていた。
ただ、前の剣とは色合いが微妙に違うし、剣も鞘に入っていた。
鞘は以前のような鮮やかな色彩からグレーのようなものに。柄も灰色に霞んでいる。
理由はもちろん分からない。ただ今はそれよりも
「えっと、そういえば……」
剣のことから連鎖的に今までのことが脳裏を駆け巡る。
咄嗟にパニックになりそうなの抑えてまずは何が起きたのかを整理した。
ミレイさんに助けられながら、変な呪文のような物を唱えた後に気がつくとここに寝ていたのだ。
「傷も、消えてる」
太ももにあった深い切り傷も消え、今や見る影もない。
そうして色々と思い出した僕はゆっくりとその場で立ち上がる。
逃がされた……のか、あんな魔法を見た後だとそう考えるのが普通か。
あまりファンタジックなことに精通しているわけではないが、
ここはとりあえずそう思い込んでおくことにした。
そんなことよりも今はここが、どこなのかをハッキリさせたい。
またあの甲冑たちが襲い掛かってくるかもしれないし。
僕は思い出したかのように周囲に気を配るが、
しかしどこを見回してもミレイさんはおろか人の気配すら感じない。
本当に静なものだ。ここが日本かどうかも疑わしいほどに……
「うーーん」
事情は何であれ、今からどこへ行けばいいのだろうか。
何かしらの理由でここに居るのは確かかだが、その手掛かりさえない今は次の一歩を踏み出すことも出来ない。
だとしたら、まずはこの森を出て、誰か他の人に事情を話すべきだか。
手に持っていた剣を腰のベルトに通して、木々をかぎ分けこの森の中から出ようと試みる。
幸いにも、学ランを着ていたことが僕の身を木の枝や尖った草花から守ってくれる。
ただ、歩き慣れない林道は僕の脚には少しきつかったが……
そんな風に森の中を歩くこと一時間程。
中々出口の見えない森の中で、そろそろこの辺りで休憩でも取ろうかと思ったその時、
「きゃーーーーーー」
思いの外、近い場所から女の子の悲鳴のようなものが聞こえてきた。
その声に、僕は考えるよりも早く駆け出していた。
こんな森の中でいったい誰が……
不思議とこの時だけは、林道の歩きにくさも生い茂る草木も気にはならなかった。
そして、そのまま走り抜けるとすぐに森の開けた場所に出る。
そこには、腰を抜かす一人の少女の前にボロボロの剣を握りしめた猿みたいな生き物が佇んでいた。
少女の髪は濃い茶色に白い肌。
そして、随分と古めかしい民族衣装のような服。
とても、日本人とは思えない装いだった。
さらに、その前にいる猿は最早、この世のものとも思えない生き物だ。
狐に近い細長の相貌に、膝を大きく開いた立ち方。
そして器用にも振り回される、歯こぼれを起こした刀剣。
(化け物⁉)
と感想を述べたあたりで、猿と少女がこちらの気配に気がついた。
『ギャアァーーー』
威嚇するような猿の咆哮。完全にこちらを意識している。
(なら、それでもいい)
未だ恐怖に怯える少女から、標準を僕に変えた猿はそのまま剣を無造作に振りながら走り込む。
「ッ⁉」
僕は咄嗟に手の剣を構えて、相手の振りを弾き返す。
ガッ‼
猿の一振りを跳ね返すことでなんとか退けて、
体を仰け反らせる猿に今度はこっちが攻勢に移る。
相手の肩口から、出鱈目な斜切り。
しかし、
ゴツンッ‼
何か硬いものと硬いものとがぶつかるような音がして、そしてようやく気がついた。
(鞘が……)
剣で振るなんてもちろん初めての僕は鞘を抜くのを忘れるという初歩的なミスをしてしまった。
おかげで斬ることができず、ただ叩くだけに終わる。
それでもダメージがないわけでもない。
猿は心なしか苦悶の表情を浮かべ、間合いを一度取る。
そのまま互いに動く間も無く、見合いを続けた。
先に動き出したの猿の方だ。
蛇行しながら、左右に体を振るわせて素早くこちらに駆けてきた。
僕もそれに応じて応戦の構えを取ろうとした、その時……
「うわ⁉」
何かが足元に引っ掻かかる。
体が前に傾くその中で僕が目にしたのは、地面から生える雄々しい木の根だ。
目の前の猿に目を引かれ、足元がお留守になっていたようだ。
(まずい……)
この状況で転んでは、確実に猿の一撃を浴びてしまう。
僕は何とかして、体勢を整えて地面に転ばないように身を翻す。
そして、何とか正面を向くことは出来たが
「ウギャァァーーーー」
猿はもう1mくらい前まで来ていた。
その猿からの上段からの一撃。
大振りで不規則な一振りだが、今のこのバランスの悪い体勢では受けるのも難しい。
「んッ……ハッ‼」
守りの取れない僕が取った行動は逃げることだった。
猿の脇を抜けるように横へ転がり込み、なんとか猿の一撃を避ける。
ブンッ‼
背後で風を斬る鈍い音が鳴り、僕の背中からもゾッとするような汗が流れる。
しかしなんとか一撃は避けることは出来た。
ただ、次が来られると……
一瞬ですぎてゆく合間にそう考えながら、振り返ると猿の大振りの一撃は地面に深々と突き刺さり、その場で身動きが取れずにいた。
これは千載一遇のチャンスだ。
僕は鞘のままの刀身を頭上に持ち上げ、猿の剣に振り切る。
カキンッ
僕は、猿の剣に向けてそれを振り落とし刀身を叩き折ることに成功した。
もともとがかなりボロボロだっただけに、それほど力を要することはなかった。
ただ刃を無くした剣にポカンとする猿へ、
こちらが剣を向けて威嚇するとその場からすぐに逃げ出してしまった。
「はあ……はあ……」
やっと化け物を追い返すことに成功した。
日本では農村の方でも猿や猪が出るというが、まさか動物退治がこんなにも大変だとは……
「はあ……ふう……」
思い出したかのように息を切らせて膝に手を置いて息をつく。
たかだか一瞬の出来事のように感じたが、今は猛烈に息が苦しい。
それでも僕の中のなけなしの自尊心が、足を倒れている少女に向けさせた。
「はぁ……だ、大丈夫だったかい?」
そう言って手を差し伸べて、少女を気遣う。
しかし、そんな僕に対する少女の本能はなんとも予想外のものだった。
「いや……」
「え?」
「いやああああああああああああああああああ」
「ええッ⁉」
猿の時とは比べ物にならないほどの悲鳴を上げ、目に涙を光らせながら少女はその場から走り去ってしまった。
「……」
茫然とする僕はただそれを眺めていることしか出来ずにいた。
助けたにも関わらず、何故か襲った猿の時よりも、さらに大きな声を上げて逃げる少女。
こんな感じで僕の初めての害獣駆除は何とも言えない微妙な形で幕を閉じたのだった。
それから二時間程が経ち、日が暮れるちょうどそのころに僕は、ようやく森を抜けだすことが出来た。少女が走った方向にそのまま付いていけばいいものだと簡単に考えていたのだが、
どうも途中で道を間違えたらしい。思いの外、時間がかかってしまった。
そして、なんとか森を抜け出した僕は今、ようやく森外れの小さな村に着いたのだが……
「……」
着いた先の村に人が一人もいなかった。
20建程はあった民家の中を、一つ一つ虱潰しに探索はしたがどこも人どころか大きな家財すらも見当たらない。それも、夜逃げをして一年や二年という長い年月は経っていない。
ほんの数時間の間に慌てて、逃げ出したかのような感じだ。
「どういうことなんだ……」
なによりも大きな疑問は並んでいる家々がとても、現代風でない事だ。
木と木を組み合わせて、その上に茅葺を敷いただけの質素な平屋造り。
台風でも来たら、簡単に吹き飛んでしまうような物で、どう見ても今の建造物には見えない。
頭のどこかで少しは予想が出来てはいたが、ここは日本どころか……地球でもないのかもしれない。
「鍬とか干された毛皮なんて普通はないよなぁ……」
博物館の展示に、1000年前の農具などの展示があったが、
今目に映るのはどれもそれに酷似している。
他にも、小ぶりの斧や籠に入った野鳥、あと何か良く分からない木で出来た大型の道具なんかも置いてあった。
「僕は一体……」
ミレイさんに別の世界とだけはいわれたが、ここは。
どちらにしても、ここは日本とは別の世界。
それも何かしらの理由があってここに来たはずだ。
そういえば確か、博物館を去る時に
『道は開かれた、”時の巫女”の元に推し進め。全ては剣の意思のままに』
とあった。
『道』とか『剣の意思』とかは正直、理解できないが
『時の巫女』というのはおそらく大きなヒントのはずだ。
でも『巫女』っていえば、神社とかで巫女装束を着て神楽舞をするというアレのことだろうか。いや、ここが日本でない以上多分そうとは限らない。
とりあえずは、誰でもいいから話の一つでも聞きたいところだが……
「はあ……」
ダメだ、考えが堂々巡りになっている。
疲れすぎて思考が上手く回わらないのか、遂には眠気も襲ってくる。
「今はもう、休もう」
そう思い立った僕は空き家の中でも比較的、物が散らかっていなかった一件の母屋の中で
泥のように眠りにつくのだった。その日は、自分でもびっくりするほど深い眠りだった。
次の日の朝、僕は民家の中にあった干し肉を齧りながら自分の現状について今一度見直すことにした。まずは今の持ち物についてだ。
服装については博物館に居た時の制服姿。
僕は公立の普通の中学校のため、黒の学ランと黒のズボン。
そして靴は白のスニーカーだ。
ポケットの中には使いこまれたハンカチと黒のボールペンそれと金属製の定規、
あと博物館の中でもらった複数のパンフレットをまとめるためのクリップだけがある。
このあたりものが一体なんの役に立つのかは分からないが、使えるものがない以上今は持っておこう。
そして、最後にミレイさんが僕に託した刀剣。
今は鞘の色は真っ黒ではあるが、昨日の猿との闘いで分かるように武器としては使える。
そういえば、剣というのは細目に手入れをしなくてはいけないという話を聞いたことがあった。念のために、今朝もう一度鞘から剣を抜いてみようと柄を握るか。
「あれ?」
博物館では簡単に抜くことが出来た剣が、今は全く抜けない。
まるで、僕が抜くことを拒むかのようにみっちりと鞘にハマっていたのだ。
「おかしいな……」
その後あの手この手で剣を抜こうとするが結局、鞘から引き出すことは出来なかった。
なんにせよ、僕をここに送り届けたミレイさんが渡したものだ。
今持っている物の中で、最も大事にしなくてはいけないものに違いない。
『剣の意思』という言葉も気にかかるし。
とりあえずこの剣は肌身離さず、持っておくことにしよう。
と、とりあえず剣の事は一旦に置いておいてまず持ち物チェックはここまでだ。
次は今の状況。
気がつけば知らない所に連れられて、森で同い年くらいの少女を猿みたいな生き物から助けたと思えば、結局お礼の一つもなく走り去って行かれた。
今思えば、あの反応は微妙に傷つく。
別に見返りを欲していたわけではないが、あれはあれで目覚めが悪い。
なんだか、まるで猿よりも僕に怯えていたような気がしてならない。
そんなに、人相でも悪かっただろうが。
確かに髪の色とかはあの子と違うかもしれない。
黒の髪に黒色の瞳。明らかに日本とは思えないこの世界では珍しい出で立ちかもしれない。
「うーーん」
腕を組み、ぐるぐると家の中を歩き回りながら頭を巡らせる。
その時、不意に足に何かが足に当たった。
「ん?」
手にそれを取って見ると、何かの本なのだろうか。
一枚一枚がやけに分厚い紙の束がかなり雑な風にまとめられている。試しに中を開いて見て見ると
「んーっと、……なんだこれ?」
書物の中に並んでいる文字は全く、読み取ることが出来ない。
しかし、目を通してみると一瞬だけ文字が光ったように見えた。
「うわ⁉」
その時、見たことのない文字だが、何故かその本が伝えたいことを微妙に感じるとることが出来た。なんだか、頭の中に直接話しかけられるようなそんな感覚だ。
不思議な感覚だがそれでも、これはかなり便利だ。なんせ僕みたいに文字が読めなくても、その文字をたどれば自然とその内容が伝わってくるのだから。
まるで英語のリスニング教材を聞くように聴覚を集中させ
「なるほど……」
一通り読み流して、はっと息を吐いた。本の主な内容は以下の通りだ
・この世界は一つの大きな大陸で、その中に百を超える国が旗を掲げている。
・国の大きさや規模、その歴史は様々で長く繁栄している国ほど人口も領土も広く、そして
強力な兵を持つ。
・国同士は良好な関係を築く所もあれば、年中戦争をしているところもありその地域によって集まる人の数も変わる。
ここまで読む分には何となく理解は出来る。
確かに、一昔前の僕の世界も同じような環境だった気がする。
・その中でこの大陸の安然を守っているのが剣議会の率いる『龍紋騎士団』でありこの本の著者であるアルバート・フィリックスも同騎士団のひとりである
・男子たるもの、みな剣を持ち英気と剣腕を養うべき
それ以外にも、剣がこの世界では最大の戦力で槍や弓は邪道で魔術は悪魔の追う業であるとか、剣を持つ者は常に正しくあるべきだとかなんだか、剣にまつわる道徳の教科書のような内容だ。
「あぁそうか」
ようではなく、これは道徳の教科書そのものなのか……
学校の授業で習ったことがあるが、この時代の北欧や日本での平民の識字率はかなり低かったらしい。そのため当時は、札や伝令が出ても教会や寺の殉教者がその内容を平民に言い聞かせていたという。
だとしたら、あのナレーション付き本は文字が読めない平民たちに自分たちの権威を知らしめるための布教用の『聖書』のような物なのかも知れない。
ただ、正直な事を思えば、こんなピンポイントすぎる内容よりももっと、こう、この世界の常識とか地理とかについて学びたかった。
そうでないと、今の僕にはこの世界で生きるための手立てがない。
もし、僕にとっての当たり前がここで通用しなかったらどうしようというのか。
そんなことを考えながら、読み進めていると最後に気になる文言に行き着く。
『我々、騎士団はどの国、どの集団にも属さない存在であり、その意義は大陸すべての安念と世界に存在する『巫女』の保護のためにある。』
(巫女っ⁉)
その言葉に、再度目を光らせて『巫女』の一節を探すもそれ以上の内容は見つからない。
他のページにも目を向けるがそれ以上、該当する箇所はやはりなかった。
どうにも『巫女』とやらはよほど秘密が多いのだろうか、はたまた誰も知っている常識過ぎて載せるまでもないという意味なのだろうか。良く分からない。
「ふんっ……」
本を閉じて、少し気持ちを落ち着かせる。
結局『巫女』についての手掛かりはそれ以上掴めなかったが、この世界のあり方については良く分かった。
端的に言えば、中世のヨーロッパのような剣という力が支配する世界だが、僕の知識に『龍紋騎士団』とかナレーション付きの本が僕の世界にはないということから、おそらく地球ではないどこかだ。
なんだか、小学生との時にその手の話を呼んだことはあるが、いまいち現実味がない。
というより、こんな状況にあっても思いの他冷静でいる自分に一番驚かされる。初めて来た気がしないというか、なんというか。
「……はあ、バカらしい」
こんな所には来たことはない。それははっきりとした事実だ。
だというのに、僕は何を呑気にホッコリしているんだ。
思えば、朝から結構な量の情報を得た気がする。それらがきっと、僕から動揺を奪い取ったのだろう。
とりあえずは今は情報を整理して、一つの一つの行動に正否をつけよう。
迂闊な行動は危険だ。
そういうわけで僕は、自分の道具をポケットに詰めて立ち上がる。
また歩くようなら、それなりの準備が必要になるはずだ。
申し訳ないとも思うが、空き家になった家々から何か使えそうな物はないかと空き巣のように物色をし始めるのだった。
奥深い森の中の道とは違って、平坦で整備された街道はなんとも足に優しいものだ。
村を出た僕はまだ近くに人がいないかを探るために、歩き始めた。
ゆっくりのペースだが、確実に距離を稼いでいた僕はいつになく陽気な心地で快晴の空の下を悠々と歩いていた。この世界は空気がとても綺麗だ。
今の日本は、ある程度改善されたとはいえ車や工場からの排気ガスは今でも黙々と出ている。
長らく住んでいたものだから気づかないものだが、案外空気の汚れというのはあるようだ。
それはここの空気を吸っていればよく分かる。
「すうーーーはぁーーー」
大きく息を吸い込んで、また吐き出す。うん、やっぱりおいしい。
そんな些細な心地よさを感じながら歩みを進めていると、ようやく森から外れた次の村に
辿り着いた。
大体半日くらいの道程か。
とりあえず、次は人が居ることを祈って少し離れた場所からまずはその様子を窺う。
もしかしたら、僕みたいな部外者を村の人々は恐れてしまうかもしれない。
あの時の少女の一件もあるわけだから、ここは慎重を期すのも大事なはずだ。
そんな事を思いながら、街道から外れた草村の中で人気を探る。
しかし、
「おかしいな……」
待てど暮らせど、人が出入りする様子がない。おかしい……
今は太陽も傾き始めた昼下がり、近くに耕された田畑に仕事にでる村人が一人くらいは
居てもいいはずだ。
さらには、この村の規模も前の夜逃げしていた村よりも二回りほど大きい。
なおのこと、人の出入りはあっていいはずだが……
それでも、
「……」
口笛でも吹きたくなるほどの静寂を保った村に、その気は感じられない。
(仕方ない)
ここにきて幾度とない妥協に判断を委ねて、僕は音沙汰のない村への潜入に指針を変えるのだった。村への街道には、その途中に途中に村の方に向かう新しい足跡が刻まれている。
やはり、人の出入りが全くないというわけではないらしい。
考えれば考えるほどおかしな状況という訳だが、その答えはあの村に行けばわかるはずだ。
柄にもなく、今は少しドキドキしている。
その心意気はまるで、謎を解き明かす名探偵に似ている。自分の苗字でからかわれたことから、ミステリーが苦手だった僕にとってこれは大きな変化かも知れない。
もし、もとの世界に戻ったらミステリー小説の一冊に手を出すのも悪くない。
そんなあまりに稚拙はことしか連想できなったこの時の僕は、
数分後に自分の『間違い』をことごとく痛感することになる。