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灯りと暗がり  作者: 塙 薫
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少年の秘密

【なぜ赤ん坊は産声を上げることができるのだろうか。へその緒が切られて呼吸を自発的にするため?お尻を叩かれて痛いから?生まれてすぐに生きていると証明する為?何かを伝えたいが言葉を知らないから?生まれてくる前に何者かに『泣きなさい』と言われたから?否、どれも不正解である。

赤ん坊がなぜ生まれてきて泣くのか・・・・それはまた人間に生まれてきてしまったことを悲しんでいるからだ。さてこの長い長い僕たちの話を僕がするにはどこから話そうか・・・・・まぁちょいちょい話すよ】


平成xx年西暦xxxx年X月X日土曜日天気雨、午後16時00分に一人の赤ん坊が生まれた。

しかし、一人の医師と三人の助産師は驚いている、生まれてきたばかりの赤ん坊が舌足らずではあるが小さな声で『ぁ・・ぃ・・ぁと・・う』と、つまりありがとうと言ったのである。

医師達は聞き間違いではないかと思い耳を澄ませた、『・・・ぁ・・ぃ・・ぁと・・う』今度は間違いない医師たちは聴いた、間違いなくこの赤ん坊はありがとうと言っていると。しかしそれより先に呼吸を!医師は赤ん坊の尻を何度も叩いた、すると赤ん坊はオギャーオギャーと泣き始めた、三人の助産師は赤ん坊が喋った!と思いつつもおめでとうございます、元気な男の子ですよと赤ん坊の母親と付き添いの父親に告げた。

後になり医師と三人の助産師であの赤ん坊は喋った事、ありがとうと言った事を確認した。

『あなたも聴いた?』『ええ聴きました』『あの赤ちゃん間違いなく喋りましたよね?』『ああ間違いなく喋った』しかしやはり聴き間違いだろう、気のせいだったなと話は収まった。



                      

『太郎さん、ずいぶん様になったわね』と静香が笑顔で語りかけた。おつむを交換しながら太郎が言う『ああ!そうだろう?いやーでも慣れるの大変だったなー、な!巧ー』『ぁうぁう』そこには幸せな家庭があった。

築25年家賃5万8千円のアパートに太郎と静香、そして巧が住んでいた、太郎が生まれ育った森家は父親厳格であったためか青年時代それに反抗するように暴走族に入っていた太郎、しかし更生し今は理容師をしながら静香と巧を養っている。兄弟は妹の彩が一人いる。

そんな太郎に一目惚れしたのが静香である、静香が育った白土家もまた父親が厳格でとても厳しく育てられていた、四人姉弟の三女で下に一人弟がいる。そんな厳しい親をもつ二人だが結婚したキッカケが巧だった。もちろんデキてしまったなら仕方がないということでお互いの両親から許しをもらい一年半前に結婚したのだった。そして巧、巧という名前は太郎の父である正志が付けたものである。

『じゃあ巧と一緒に散歩してくるよ』と巧を抱き家を出る太郎、『行ってらっしゃい、気を付けてね~』といつも通り太郎と巧を送り出す静香。

朝方の公園、こんな時間に人はいないが自分の周りに人っ子一人いないかどうか360度見回し確認する太郎、そして周りに誰もいないことを確認し終え巧に話しかける『大地、今日はなにを教えてほしいんだ?』巧は小さな口を開き言った『知識はもういいよ、そろそろみんなに教えるよ』そして太郎が問う『なにを?』巧は続ける『僕が喋れること、やらなければいけないことがあること、本当の名前は大地であるということ、そして最終的にどうなってしまうのかをだよ』とても生まれて半年の子が喋っているようには聞こえないし見えないが、慣れたかのように太郎は言った、よしみんなに話そう、と。

その年の年末、太郎の実家には静香の両親、そして姉弟家族が集まっていた。太郎がとても大事な話があると言い皆の休みの多い年末に集まるようセッティングしたのだった、大地に頼まれて二週間ほど経った頃だ。

『どうしたんだ?太郎、いいかげん話せ皆さんに集まって頂いてまでなにを話したいんだ』と少しイラついた口調で正志が太郎に問いかけた。

太郎は唾を飲み込み大地を抱えながら答えた『じ・・・実は・・巧・・喋れるんだよ!!喋るんだ!俺も最初はすごく驚いたんだけど巧が喋ったんだよ!それで・・・・』太郎を遮り正志が言う『ふざけたことを言うな!!巧はまだ生まれてから半年しか経っていないんだぞ!そんなことがあるか馬鹿言うな!』部屋は静まり返った『本当のことだよお父さんは嘘ついてないよ』部屋に居た全員が太郎が抱えている巧のほうへと視線を移した、そして『しゃ・・喋ったー!!!!』太郎と巧と正志以外が口を揃えて叫んだ、正志はまるで顎が外れてしまったかの様に口を大きく開いたまま動かなくなっていた。そして『驚くのはわかるよ、落ち着くためにみんな黙ろう五分間、僕も話をするのは五分経ってからにするよ』・・・・なぜか皆だまってしまい、時間が過ぎるのを待っている、本来ならなぜ喋れるのか、どうして太郎に最初話しかけたのか、と疑問を太郎に投げかけてもおかしくないのに皆時間がたつのを静かに待っているのだ。

そして五分が過ぎたと同時に巧が喋り始めた『まず最初にお母さん僕を生んでくれてありがとう、本当に本当に感謝しています、本当はお母さんにも教えたかったんだけど僕がこれからやることに支障をきたしかねないから今まで黙っていました、ごめんなさい。そしておじいちゃん僕に巧という名前を付けてくれてありがとう、だけど僕は巧としてではなく大地、森大地として生きていかなければいけないんだ、せっかく素敵な名前を付けてくれたのに本当にごめんなさい、そしてありがとうおじいちゃん。皆さん僕が今から話すことをよく聞いていてください、今から僕が話すことはとても重要でどのくらいかと言うとこの世界、人類の存亡に関わるほどのことなんだ。まずは僕がいったい何者かについてから話すね、僕はこの世界を・・・・・・・・』



                    数年後

『おーい下鳥ーこれもよろしくー』『わかったよ』何かを書き続けている大地の隣に座っている少女が大地に言う『ねぇ辞書貸して』いいよーと答える大地『おい、大地これどういう読みだよ』と先ほど大地に紙を渡された少年が問いかける『しぃーたぁーとぉーりぃーそれくらい自分で調べろよ、まぁいいやどこ?』ここと紙に書いてある漢字を指さす少年『あーこれは×××って読むんだよ、意味はぁー・・・』いいよそこは自分で調べる。と紙を持ち自分の席へと戻る下鳥。すると後ろの席のほうから『大地ー今日は家こないのー』と先ほど辞書を大地から借りた少女より髪は長いが顔がそっくりな少女が大地の席までやってきた『おーサイキョウ娘、今日は行けないんだーあっ!僕のこと好きかぁー?』サイキョウ娘は答える 【あっ一応言っておくとサイキョウ娘は本名じゃないんだよね】『うん!好きだよ』その答えに満足したのか大地は満面の笑みをうかべた、すると隣に座っていた少女がもういい使わないと辞書を大地に返した、『なんだよ美幸ーなんで怒ってるんだよ』下鳥が言う『大地、お前が好きなの美幸じゃなかったのかよ』それに被せる様に大地が言う『そうだよー!僕が好きなのは美幸だよー好きか聞いたのは友達としてだよー』下鳥が言う『サイキョウ娘はそうじゃないと思うぞ』大地は驚き訊く『えーお前サイキョウ娘のこと好きなのー?』『ああ友達としてだけどね』『そっか、あー思い出した、下鳥は僕の知り合いから彼女を探さないんだったな』『ああ、そうだよ』と下鳥が言い終わると同時に教室に一人の背が低い男性が入ってきた。そして教室に居た生徒たちがおはよーおはよーと言い始めた。【そう、ここは小学校だ】大地も言う『山田先生おはよー』ソレらに答える山田『ああ、おはようみんな』『山田先生ー、昨日頼んでおいたもの調べておいてくれたー?』『ああ、大地これだよ』『ありがとー!いつもごめんなさい赤ちゃん生まれたばっかりなのに』と申し訳なさそうにする大地『いいんだよ』と微笑みかける山田。

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