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三回裏(最終回)
突然の黒い雨がドームの金属を突き抜けて降り注ぐ。選手達は雨にも負けず試合を続行していく。
コールタールよりも粘り着いて、ドロドロにかさばっていく雨は、世界と化したグラウンドを、瞬きの間に暗黒に染め上げてしまい、希望は世界から葬り去るしかなかった。
人々の肺臓からベタベタと侵入して、次第に呼吸すら奪い、死の病魔は世界全体を崩壊させてしまったのだ。
雨はなおも降り続く……
機械生命すら寿命を全うするほどの刻は過ぎて、惑星もそろそろ臨終を迎えていた。
ドーム球場は惑星最期の砦。
それでも、全ては混濁してしまい、始まりと終わりは円環して世界は錯綜へと陥った。
黒く、重い雨の敲く音。
世界は結ばれて、宇宙は新たに生み出されていくのだろうか? 存在のなくなった世界の荒野に。
審判は訪れて……
勇ましい振る舞いで、すっと差し上げた腕は猛々しく天を掲げて伸びていき。
雨天中止!
雨は審判を、彫像の如く固めてしまった。
お付き合い頂きありがとうございました。
先生の次回作にご期待下さい!