カマとの遭遇
俺がフリフリの服を着た筋肉モリモリのおっさんを見て呆然と立っているとおっさんが俺に気づいたらしくアイコンタクトで俺に助けを求めてくる。
流石に困っている人を見捨てるのはハードボイルドではないので助ける事にする。
俺は酸味の強いミカンをありったけのMPを込めて大量に生み出すと果汁が出来るだけ沢山出る様に少し手で潰すと巨大なスライムに向かって投げた。
いくつかのミカンは外れてしまったが、
ほとんどのミカンはスライムにヒットした。
30秒程待つと液状になったスライムの中から満身創痍といった感じのおっさんが現れた。
大分息をしていなかった様ですぐに喋ることは出来なさそうだ。
俺が5分程待つと落ち着いたのかおっさんが俺に話しかけてくる。
「ふぅ…………やっと落ち着いたわ。
助けてくれてありがとね、ボ・ウ・ヤ♪」
そう言いながらおっさんは俺に向かって
(^_−)−☆といった感じでウインクしてくる。
俺は早くもおっさんを助けたことに後悔していた。
「えっと………大丈夫ですか?」
俺はおっさんの格好と言動にドン引きしながらたずねる。
「ええ、お陰さまでね♪」
おっさんはまたウインクをしながら答える。
このおっさんウインクするのがデフォなのかよ!!!
俺はドン引きした気持ちを顔に出しながらも質問を続ける。
「一人なんですか?他にもスライムに捕まった人は?」
「本当はね、後2人ほどここに一緒に飛ばされてきたのよ。始めの頃は三人でなんとか化け物を避けながら来たんだけどね、
やっと出口が見えた!と思ったらさっきの大きな化け物が現れてね、どうしようってなった時、他の2人が私を囮にして出口とは逆の方へ逃げちゃったのよ!それでなんとか化け物から逃げようとしたんだけど捕まっちゃってもうダメかも…………と思った時にボウヤが助けてくれたって・ワ・ケ!」
成る程、このおっさんからしたらナイスタイミングで俺が現れたって訳か。
俺は《説明》のスキルのおかげでこの階層では死なないのを知っているがそれを知らない人からすればこのダンジョンのスライムはかなりの強敵だ。
自分のジョブと固有スキルの事を知らなければほとんどの人がスライムを倒すばかりか逃げる事も出来ないだろう。
俺は出口と逆方向に逃げた二人も助けに行こうと思ったMPはさっきの巨大なスライムを倒すのに使ってしまった。
ここは他のスライムが現れる前に最初の街に帰ろう。
俺はそう考えておっさんに話しかける。
「ここから少し歩くと街があります、そこまで行きましょう」
「逃げた二人はどうするの?」
「申し訳ないんですが、もうスライムを倒す方法が無いんです。
理由は後で話しますがこのダンジョンでは死ぬ事は無いので大丈夫です」
「そうなの…………。分かったわ。
街まで案内して頂戴。」
そんな会話をした後に俺はいままで得たこの世界の情報を話しながら最初の街へと向かった。
街に着くと俺が泊まっている宿屋に向かった。
街にもぼちぼちと転移者が増えてきていたからだ。
流石の俺も公衆の面前でフリフリの服を着たおっさんと二人で歩くのはきついってもんじゃ無い。
宿屋に着くと004号室に向かった。
「そう言えば………えっと………」
「マリーベル、私の名前はマリーベルよ、ボ・ウ・ヤ♪」
「マリーベルさん………ですか………?
俺の名前は井上 滉太です、よろしく。」
「よろしく、ボウヤ♪」
「ところでマリーベルさん、ナビ、どうしたんですか?」
「ナビ?ああ、あのウネウネしたやつね、
あれならこれになってるわよ♪」
おっさん改めマリーベルさんはフリフリの服をひっぱる。
「この服、すごく便利なのよ、幾ら引っ掛けても破れ無い、簡単な質問には答えてくれる、ねっ、武蔵丸ちゃん♪」
『御意』
マリーベルさんがそう言うとフリフリの服から声が聞こえる。
にしてもなんだよ武蔵丸って………………
しゃべり方もそことなく武士っぽいし…………
もしかして名前によってナビの性格にも違いが有るのか?
「ところでマリーベルさん、ステータスみせてくれませんか?」
「ええ、いいわよ♪」
そう言うとマリーベルさんはステータスを見せてくれる。
マリーベルさんには絶対に役に立つからとステータス拡張のスキルを取ってもらった。
これは人によってスキルに対しての必要ポイントが違うのか確かめるためでもある。
なのでマリーベルさんのステータスにはHP以外は俺と同じだけの情報が出るはずだ。
マリーベルさんのステータスはこんな風になっていた。
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名前 斉藤 源五郎
レベル 1
魔力 10/10
力 20
守備 10
体力 7
知力 5
素早さ 15
幸運 5
スキルポイント 0
ジョブ ゴリラ
基本スキル
ステータス拡張
固有スキル
《ゴリラ化》
力を一定時間5倍にする代わりに知性を5分の一にする
姿はゴリラになる
1秒につきMP5消費
《バナナブースト》
バナナを食べると三十秒間全パラメータ二倍
その後一分間全パラメータ二分の一
クーリングタイムは10分
ジョブ特性
《森の王者》
森林では動物系の敵に対して二倍ダメージ
砂漠ではパラメータ二分の一
《ゴリラの加護》
ゴリラと名のつくモンスターを倒すと一定確率で従える事が可能
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…………………………ツッコミどころが多すぎる………………………………
「えっと………………斉藤 源五郎さん?」
「マリーベルよ」
「だってステータスに…………」
「マリーベルよ」
「さいと「マリーベルだって言ってんだろオォン!!!!!?」
「マリーベルさん」
「よろしい」
切れたら怖いなこの人。
「あと、ジョブにゴリラってあるんですけど何か心当たりは?」
「ああ、私、ここに来る前はゴリラ園で飼育員をしてたのよ、多分それでだわ」
やはり元の世界での経験でこの世界のジョブが決まるのか……………?
まあいい、そんなことはどうだっていいんだ、重要なことじゃ無い。
見た所このゴリラというジョブは近接特化のジョブみたいだ。
しかも短時間で勝負を決めなくてはいけないタイプのジョブだ。
随分とピーキーなジョブだ。
ふとマリーベルさんのほうを見てみると随分と何かを考え込んでいるようだ。
俺としてはこういう前衛のジョブと組みたいんだが……………、難しいだろう。
俺のジョブはミカン農家、地味だし一人では大したこともできない、魔法も使えないし前衛も後衛も出来そうにない。
(どうしたものか………………………)
そんなことを考えているとマリーベルから話しかけられた。
「ねえ、ボウヤ、私と組まない?」