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最初の街

まず俺はそのまま真っ直ぐ走り二体目のスライムと10メートルの位置まで近づいた。


俺は頭の上のレイモンドに尋ねる。


「どうやったらスキルが使えるんだ?」


『イメージを頭の中で固めスキル名を言ってください』


俺は、出来るだけ大きく酸っぱいオレンジをイメージするとスキル名を叫んだ。


「《ミカン生成》‼︎」


そう言うと手の中にソフトボール大のオレンジが現れる。


俺はそのオレンジの皮をむき、軽く握り潰す。


ぐちゃっという音とともにオレンジの果汁が滴り始めた。


少しその果汁を舐めると甘さよりも先に物凄い酸味が口の中に広がった。


「これなら…………いけるか⁉︎」


俺はスキルが成功したのを確かめると目の前のスライムに向かって走り出した。



そして






スライムのなかに〈オレンジ〉を突っ込んだ。






その後すぐに離れ様子を見る。

すると、スライムの様子がおかしくなり始めた。


溶け出したのだ。



「よし………成功だ!」


スライムはなんとかして自分の体を元の形に保とうとしていたが次第にドロドロに溶けていき最後には液体となって地面に染み込んでいった。


『一体なにをしたのですか』


頭の上のレイモンドが俺に話しかける。


こいつが自分から俺と話そうとしたことに内心驚きながらも出来るだけハードボイルドっぽく答える。


「俺のいた世界ではスライムは、ホウ砂と洗濯のりというものから作るんだが、スライムが固まっている仕組みというのは洗濯のりのくさりのような分子にホウ砂をまぜるとホウ酸イオンというのができる。


それが洗濯のりの分子をつないで網目のようになるのさ。


そこに水分をとじこめるからプルプルに固まる。


そしてスライムの出来上がりというわけさ。


つまりホウ酸イオンのくさりを解いてしまえば水を取り込むことができなくなりただの液体となってしまうわけさ。」


『成る程』



レイモンドはそれだけ言うと黙りこくってしまった。



まあいい、スライムは倒せることが分かったんだ。



さっさと拠点になりそうなところを探そう。



「なあレイモンド、安全な拠点になりそうなところってダンジョンに設置されてないのか?」



どうせスキルが足らないだのどうこう言って教えてくれないんだろうと高を括っていると意外にもレイモンドは俺の質問に答えてくれた。



『第二階層にNPCが管理する街があります』


「成る程」



少しはこの帽子は俺のことを認めてくれたのだろうか。


俺はそんなことを考えながら前に進んでいった。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






その後スライムを何匹か倒しながら進むとMPが切れる前になんとか街につくことができた。


「なあレイモンド、この街を管理しているのはNPCだと言っていたがそいつらとはある程度の会話は出来るのか?」


『NPCは定型文でしかコミニュケーションを取ることができません』


成る程、この部分はRPGのゲームと似たようなものか。


「取り敢えずは街に入ろうか。」


『どうぞ』


街には門番が居り門を守っていた。


「すいませーん!」


俺が門番に向かって声をかけると門番が答えた。


〈ようこそ、第一の街へ!〉


ネーミングセンスのない街だなと思っているとギギギという音とともに大きな門が開く。


すると目の前に大通が広がり、様々な人種の人が絶え間なく所狭しと行き来していた。


「すごい………。」


まさかこんな光景がひろがっているとは思わずゴクッと息を呑む。


先ずは拠点の確保だ。


そう思い目の前を通った四十代くらいのおばちゃんに尋ねた。


「すいません、宿屋は何処ですか?」


〈宿屋の看板はベットのマークだよ〉


それだけ言うとおばちゃんはすぐに人混みのなかに戻っていった。


ベットのマークの看板をさがすが、それだけでは宿屋の位置がわからず、他の人にも聞いては見たが、全員一字一句同じことしか言わなかった。





30分ほど街の中を彷徨っているとベットのマークの看板を見つけた。


ふらふらになりながら宿屋の中に入って行くとカウンターに恰幅のいいおっさんが立っていた。


泊まりたい旨を伝えるとここは始まりの街だからお代はいらないといい、俺に004と書かれた札を渡した。


俺は真っ直ぐ004号室に向かうと頭からレイモンドを外し枕元に置くと泥のように眠りに落ちていった。



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