2話 「状態」がおかしいが大丈夫か?やっぱり大問題
二日に1回くらいの投稿となりそうです
森から出るとすぐ近くに、いくつかの建物が見える。
柵と堀で囲まれ門のある村で、戸数は20ほど。
「で、ここが村ね。あと話しつくまで黙ってろよ」
「ほー普通の村って感じですね」
「あぁ普通だよ王都と比べたら大抵普通ってね。
あ、門番さんオークとってきたぞ」
ハンターが門の脇に立つ人物に話しかける。
「あ、ジョーさんギルド長探してましたよ」
「おー、今日の門番はサヤカちゃんかい
ギルドの新人仕事の当番かい?」
ジョーと呼ばれたハンターはその門番が新人ハンターだと分かると、新人に割り振られる簡易依頼についていると理解したのか気楽に話しかける。
「えぇ、そちらは?骨ですか?
後オークですか久しぶりですね。後で食堂いこーっと」
サヤカと呼ばれた門番は骨をちらりと見たが、それよりもオークの肉を使った料理のほうに思いをはせる。
「(オーク肉にまけた?!)」
「たぶん呼び出しの原因、通るよー」
「はい、どうぞ」
とぼとぼと歩く骨をつれて、簡易ソリにオークを載せたまま村の中に入っていくジョー
「いくぞー、まず肉屋な?」
「あいよー」
「……しゃべってる」
骨がしゃべるのを目の当たりにしてサヤカは驚いていた。
ジョーがスキルで骨を動かしていると思っていたのだろう。
暫らく歩くと村の通りに肉屋があった。
店先には乾し肉や塩漬け等の加工肉といくつかの生肉を取り扱っている。
「おやっさんこれ買取ー、安くてもいいけど食堂には多めに卸しといてー
血抜きと内臓は抜いといた」
「おぅ……家は人骨は買取やってねえぞ」
店の奥から出てきた主人は、歩いてついてきた骨を見てさすがに食用には使えないと判断し買取を拒否した。
「あぁこいつギルドに提出する分だから」
「(なんか扱いがひどいな、この村)」
オークを店主に引渡し、それを確認しているのを見ながら、本当にこれ食べれるのか疑問に思う骨
そんな視線に気がついたのか。
「おう、そっちの骨、解体が気になるんかい?ちらちらこっち見やがって」
「え?あー……はい、興味あります」
目がはっきりしろと怒りを感じた。
「先に報告行っとくから、おとなしく待っとけよ」
「あ、はい」
「じゃこっちこい骨」
「あ、はい(ほんとあつかいが酷い)」
店の裏にある解体場にオークを引きずっていく。
「で、骨、お前魔法つかえるか?」
「いえ、分かりません」
「ちっ、手伝わそうかと思ったが…使えんな」
本当に扱いがひどい、この村でこれからやっていけるのかと骨は考えた。
もし口にしたら店主に殴られそうだったから考えただけだが。
「大まかな汚れを落とし、台に載せる。
次に魔法で『洗浄』『消毒』かける、それから皮を剥ぐ。
肉を売るなら狩場で剥ぐなよ肉が汚れるからな。
部位ごとに切り分けるがオークなら肩、胸、腹、腿辺りだな。
骨は出汁に使えるから肉と一緒に飯屋、皮は防具屋に牙や爪、場合によっては骨も武器屋持ってけ。
どうせお前もギルドに入るんだろ、覚えとけ。」
簡単な説明をしながら、手は流れるように解体を進めていく。
別の台の上に各部位ごとに切り分けられた肉が並べられているく。
「まぁ普通はギルドにそのまま納品だな」
「え(何で教えてたし)」
「後はお前がどんなタイプの冒険者になるかだがな、骨のお前に何が出来る?」
冒険者はソードマン、アーチャー、ヒーラー、マジシャンの基本職と生産職、そこから派生する上級職、各職業のスキルの組み合わせで出来る派生職。
そういった職業に付けば出来ることは更に増える、しかし記憶と精神が不安定になっている骨には、どういった素質があるかすら分からなかった。
「(そんな事言われても、自分が知りたいし)」
「とりあえず解体は終わりだとっとと帰れ」
切り分けた肉を保冷庫にしまいながら、早く帰れと手を振る。
「え、ここで待ってろって言われてるんですが」
「しらん」
ぽつーん。
店先に座り込んでジョーが来るのを待つ骨。
「おやっさーん、この骨いくらー」
「売り物じゃないです(しくしく)」
来店した客に売るもの扱いされて涙する骨であった。
「待たせたな……って、おい、なに落ち込んでんだ?」
「来る人来る人、全員に売り物扱いされればこうもなります……」
落ち込んでいるのか暗い影を纏いながら店先の片隅にしゃがみこんでいる。
「そんなことよりギルドいくぞ」
「そんなこと扱い……やってけるかな俺」
「おう坊主が結界に封印されてた骨か」
ギルドに到着後、挨拶も紹介も無く会議室に通される。
「このギルド支部長のガトーだ。簡単に言うと、お前ギルド本部からの指示で保護観察対象になった。
理由聞きたいか?」
「副長のマリーナだ。一般的に考えな。
数百年、封印された場所の、中心にいたなぞの骨。
封印管理のための監視費や調査費。
どれだけの予算が使われてたか分かる?」
実際王国は少なくない予算を使い村の維持と調査を繰り返してきていた。
「封印の解けた森の調査もそうだがおまえ自身も調査対象なんだよ。
あそこ結構古くから封印されてるから他に何があるか分からんし。
何より、何で動いてるんだ?お前」
「とりあえず強制だがギルド登録しな。
大体の位置はそれで分かるようになる、ステータスの表示は出来るかい?」
なぜ動いているか動作原理すら分からない骨。調べない理由が無い。
逃げられてもギルドカードさえ作っておけば、カードの魔力の波動を使って居場所を探知できる。
「『ステータス』?おわ何か出た」
名前:スカル
称号:召喚されし勇者、眠り人
職業:なし
種族:人
状態:精神不安定(凶)
攻撃力:%5#
防御力:2*-
魔法力:$10
スキル:不壊、骨、属性「火」
「表示バグってるんですけど。状態もおかしい?精神不安定(凶)て何?」
「ん?どんな表示してるんだ?普通は聞かないんだがお前は例外だ、ちょっと書け」
表示のおかしいとこだけでいいからと、状態、攻撃力、防御力、魔法力を紙に書き出し渡す。
さすがに表示がおかしかったことは今まで無いので数日様子を見ることになり後日登録することとなった。
「とりあえず今日はギルドに泊まれ、2階が宿泊施設になってる」
ギルドの1階は受付、2階は宿泊施設、3階はギルド長の部屋、地下は食事処、1階の裏手には採取や納品のための専用窓口となっていた。
「すまんね、おっさんと一緒の部屋になるけど。
お前の…いやスカルだっけ、見張りってやつなのよ」
「たぶん数日で状態は治るかも……お世話になります」
さすがにジョーが借りてた一人部屋では狭いので二人部屋に移ることになった。
キャラの名前等はもしかしたら後でまとめて変更するかもしれません
あと、誤字脱字はお気軽にご報告ください