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召喚された者達の狂想曲  作者: 山トマト
冒険者を始めよう
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1話 ある日、森の中、豚さんにであった?

 その森の奥には昔から不可侵の結界が張られていた。

 いつからかは知られていない、その奥に何があるかも分からない。

 何人もの力自慢の戦士や、魔力の高い魔法使いが結界を破壊しようとしたが誰にも破壊することは出来なかった。

 そうしていつの間にか挑戦者はいなくなって、魔王との戦争が始まり結界のことは忘れられていった……

 と、言う事は無くしっかりと王国に管理されていたりする。

 年に一度調査隊が来るので宿が出来て、森の魔獣を退治するため冒険者の支部が出来て、その後村人が集まった。

 普通の村とはちょっと違う出来方をしていたが、すんでいる人たちにすれば別にどうでもいいことだった。




「特にいつもと変わりなしっと、ついでに晩飯のオカズでもっと」


 森の中を音も立てずに歩いているのは、冒険者協会『ギルド』でハンターをしている人物だった。

 40代くらいの男性で、その手に弓を持ち、皮の軽装とマントで身を固めている。


「と?風の流れが変わった?

 珍しいな、風向きが変わる季節はまだ先のはず…

 ちょいと奥まで様子見に行きましょうかねっと」


 不意に森の中を流れる風の向きが変わる。

 風下はどちらになったかと考えながら男はさらに森の奥に向かう。

 そして結界のある場所までついた。


「おいおいおいおいおい」


 結界から外側は調査のため2mほど草刈がしてありはっきりと分かるようにしてあった。

 そこを鳥が中に向かって飛んでいく、結界にぶつかることなく更に森の中へと飛んでいった。


「結界が無いじゃねぇか……どうするかね…奥を見に行ってみたいし、報告も大切だし…」


 男はしばらく悩む。


「きーめた、見に行こうかねっと」


 男は更に森の奥に向かって歩いていった。

 特にこれといって変化は無いが、長い間封印されていたせいだろうか、植生が微妙に変化している。


「そろそろ中心か?」


 中心までの距離は長年の研究でとっくに分かっている。

 その場所は少し開けていて、石で出来た石室のようなものがあった。


「遺跡にしては小さいな…中にはっと祭壇に…人骨か…儀式場ってわけでもなさそうっと」


 中には祭壇がありその上には人の骨があった。

 男が調べるとミイラが白骨化したわけではないのか皮膚や髪の毛が残っていない。

 まるで最初から白骨であったかのように、全くくすみ黄ばみも無かった。


「じゃこの骨なんなんだ?生贄ではない…血のあとが祭壇には無い…」


 一度戻るかと男が石室から出ようとしたとき、カタリと音がする。

 振り返ると、人骨か起き上がろうとしていた。

 男が弓を向けると、顔をこちらに向ける。その何も無い眼窩には青い光が灯っていた。


「……おはようございます?」


「いや、もう夕方近いんだよねっと」




「いやー助かりました」


「いや、おっさん何もしてないんだけどね」


 ハンターの男性と骨が並んで歩いている。


「いやいや、目が覚めてあんなとこで一人だったとか考えるだけで…

 あ、それにマントまでお借りしちゃって、すっぱで村に行くとかならなくてよかったです」


「いや、すっぱって言うか骨じゃん…」


 骨はやたらテンションが高いのかカラカラ笑いながら男に話しかけている。

 マントを借りて纏っているが顔がむき出しのため、はっきり言って怪しかった、まるで怪人である。


「あぁ、そうでした。他の人との会話なんて久しぶりすぎて、ところでこれから行く村ってどこなんです?」


「…テンション高いねっと、あーなんだっけ通称『封印の森』、正式名称なんてほぼ使われないよ」


 はて、と首をかしげながら考え込む骨。


「そうですかー、封印ねー、フレイティアルがしたのかな?」


「だれだ?それ?」


「あ、いえ。それよりあとどれくらいです?」




「あっと、このくらいのペースで歩いてざっと30分ってとこかね」


「ですかねーその前に、やること出来そうですけど……」


「あん?っとやべぇな森狼の群れか」


 森の奥からいくつかの気配が駆け寄ってくるのが分かる。

 その移動速度や数からどうやら森狼のようだった。


「どうしましょ?逃げ切れそうです?」


「ちと、やべぇ……が、こいつらも何かから逃げてるな」


「グルアアアアア」


「オークもかよ、マジやべぇな」


 遠くからオークの鳴き声も聞こえてきた。

 周囲を確認し逃げるルートを確認する男。

 弓を使うハンターにとって追われる戦い方は非常にやりにくい。

 それも一般人を連れてとなると無事逃げ切れるかどうか。


「ちぃ…一般人を巻き込…一般人…一般?」


「や、そこは迷わんでくださいや」


「とりあえず逃げるぞ、逃げて村に知らせに…」


「いやー無理っぽいですよ」


「なんでだ……っておい、それ」


 ガジガジガジガジ……


 骨に噛り付いているのは追われているはずの森狼。

 その深緑の尻尾をブンブン振っている。


「狼って骨食べようとするんですねー、投げてないのによってくるなんて。

 こいつら逃げてたんですよね、食欲ってすごいですねー。

 ……私、犬のおやつじゃないのに」


「なんで、もう噛まれてるんだよ」


「知らんがなーっていうかオークきたーほらーワンちゃん危ないよー離れてねー」


 狼を引き剥がし、森に返しながらのんびりとしている。

 緊張感の全く無い様子に男の気も抜けてきた。


「って、おい後ろ!」


 いつの間にか近くまで来ていたオークが手に持っていた棍棒を振りかざす。


「グルアアアアアアア」


 ズガン!シュッ


 オークが手に持っていた棍棒が胸骨に当たりそのまま後ろの木に当たる。


「……グァ?」


「お?なんでおれ無事なの?普通こう、ベキィとかガシャとかいって砕けない?

 フルスイングの棍棒で木に打ちつけられたら……ねぇ?」


「ほんともう、何だよお前……」


 とてつもない脱力に苛まれながら、強く引き絞った弓でオークの頭を射抜く。

 その衝撃で首に赤い筋が入りコロリと落ちる。

 その切り口はよく分からない物体に覆われていて血は出てこなかった。


「っておい、何で切れてんだよ、なんかしたのかよお前」


「いえ、こう、なんだろ?体が勝手にこう…しゅって?」


 手を手刀の形にして振り回しながら首を傾げる。


「つーかお前、本当にモンスターじゃないよな。

 一応目の魔力は青だったが、なんかぶれてるんだよな」


 弓をこちらに向けながら男が聞いてくる。


「記憶無いっていうか記憶がぐちゃぐちゃですから。

 精神の方向も変な方向向きっぱなしですから、数日で落ち着くかと」


「ったく、とりあえず様子見かなっと。

 とりあえずこれ処分するぞ」


 腰につけていたポーチからロープを取り出しオークの足を縛る。

 太目の木の枝を捜し反対側を投げつるし上げる。


「え、なぜに血抜きの準備?

 まさかこれ食えるんですかい?」


 首にくっついていた物体をはがすと血が勢いよく噴出す。

 暫らくそのままにしておくと血が出てこなくなる。


「もちろんだしょうが焼きにするとうまい」


 腹に刃物を当て内臓に傷を付けないよう一気に開く

 零れ落ちる内臓はキツイ臭いを放つが、その辺に放り出しておけば先ほどの森狼が処理するだろう。

 心臓部の魔石のみ取り出す。


「え?一応人型ですよ?」


 とりあえずここまで処理すれば後は村で処理したほうが楽である。

 皮剥ぎや切り分けは今すると土で汚れてしまうから。


「ん?こんなのどこにでも……って」


 二股に分かれた枝を捜し切り落とし簡易のソリにする。


「お前……その体で食えるのか?」


 ソリに肉塊のせ引っ張る。


「え?そっち?試してみないことにはなんとも……って人型については?」


「そんなもん、ここじゃ普通だっての。

 あ、討伐記録つくからその頭持てこいよ」


「あ、はい」


いえーいわざと名前出しませんでした(笑)

まぁどこまで名前出さずに行けるかのお試しです


ハンターは一般的に中級の冒険者です。

オッサンキャラいいよね

主人公は骨、これもいいよね


9/6新話投稿にあわせて

冒険者協会 から 冒険者協会『ギルド』 へ変更

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