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召喚された者達の狂想曲  作者: 山トマト
冒険者を始めよう
3/36

プロローグ3(改)

11/30 会話と文章の修正と追加


場所の移動がないと会話が多くなりがちです。

もっとほかの人の作品読んで勉強しないと…

 広めに作られた会議室に4人の王とその従者達が集まっていた。

 対面する形で並べられた4つのテーブル、壁には絵画や綺麗な熱帯魚の泳ぐ水槽、綺麗に活けられた花。

 窓の一部はステンドグラスになっており非常に高級な感じの部屋になっている。

 そして椅子に座っているのは4人。


 王国をまとめる国王

 唯一身分制度が残る国で、貴族をまとめている国の代表である。

 貴族自体も500年前の魔王戦の際ほとんどが死に絶えている。


 獣人をまとめる獣王

 力がすべてのこの国では身分制度が無く力が強いかどうかが重要である

 最近では強さの中に知力も含まれるが、やはり武力が占める割合も大きい。


 エルフをまとめる森王

 エルフの住む大森林を治める議員の代表である

 あくまで年功序列により代表となっている。


 ドワーフをまとめる鋼国女王

 この国だけ女王なのは、男が全員酒と鍛冶しか頭に無いからである。

 放っておくと、餓死しかねず、稼いだ金をすべて酒に変えてしまう。

 結果、女性が家や国を守るようになっていた。


 今回の議題は魔王の放送をどう処理するかであった。




「で、どうするんだ国王」


 ライオンの頭部と鍛えられた逞しい肉体の獣人、獣王が問いかける。

 椅子の後ろには穴が開いており尻尾をそこに通した状態で座っている。


「そのための会議じゃろうが獣王」


 少し白髪の混じった黒髪に王冠を乗せた国王は少しやせている体を椅子の背もたれに預けて返事を返す。


「森王様はこうおっしゃられてます『今回の魔王にそれほどの魔力はないようだ。前回は国にいてもその存在がわかるほどの魔力を放っていた』と」


 長い耳と皺だらけの顔、枯れ木のように細い体でモゴモゴと横にいる青年に何事かを告げている森王。

 横にいるのは次期森王の名を受け継ぐ予定の青年だった。


「鋼国としては助けてもいいと思うよ、あの映像が嘘ではないならね。

 食料をほぼ輸入してる国としては、あの先が見えない不安な表情は信じられるね」


 少しあきれたように告げるのはドワーフの女性。

 縦に短く横に広く、一言で言うなら『おかん』だった。


「曲者はあのスライムの方だ、ありゃ国王が見てるの気づいてるんじゃねぇか?

 そのうえエルフの国の真新しい本の内容まで知ってやがる」


「獣王様の仰るとおり、あの台詞の出てくる本は数ヶ月前に販売されております。

 魔王城から出ることが出来ないという環境で、なぜ知ることが出来たのか……」


「あーそれについてはたぶんじゃが我が国の研究機関から、それらしい報告書があがっとったわ。

 畑のスライム撃退に塩が効くかどうかの研究での、実験に使われてない研究所内で飼っているスライムが塩を見える位置に置くと、それから逃げようとするとか。

 そのスライムは研究所内で繁殖したやつじゃから、外での撃退実験のことは知らんはずじゃ。

 で、色々実験したところスライムは種族的に根っこで繋がっているのではないかと」


 ただし実験後1週間もすると塩の存在を忘れて接触、塩に体内の水分を取られしぼんでいく。


「へーそれじゃなにかい?新しい人類種の誕生かい?」


「それは無いじゃろ、スライムにあるのは本能のみ、実験結果でも自分に害のあるものを避けるだけのようじゃしな。

 ちなみに味覚があり少量の砂糖ならよってくるとか、しかし砂糖と塩の見分けがつかないので、近寄るかどうか非常に迷ったような動きをすると」


「つまり、あのスライムはほかのスライムから情報を集めたと。

 厄介なやつだな、確実に上位種、いや最上位種じゃねえか」


「ラミア種と同じで一部のみ人類種となるかもしれませんね。

 たしかラミア種コブラ系は気性が荒く、毒性の強さなどから外れたとか」


「話がずれたの、今は魔王についてじゃ。

 救援に賛成のものは挙手を……なんじゃ鋼国のみか」


 手を上げたのは鋼国女王のみであった。


「最初に言ったとおり、私は助けるべきだと思うね」


「では反対のものは……これも一人と」


 こちらは森王本人が手を上げていた。


「『魔王を名乗るのならば敵である』と仰られています」


 その時、突然部屋の中央に闇が現れ、その中から服を着て人の形をした薄い青色のスライムが現れる。


『失礼します、王の方々。わたくしバトラースライムの……名前は爺とでもお呼びください』


「なっ?お前は!なぜここで会議が行われていると……」


 王の後ろに控えていた兵士達が急に現れたスライムに武器を向けるが獣王がそれを制す。


『国王様の仰ってた通りです、私達スライムには情報共有能力がございます』


 爺は水槽を指差し。


『そこの水槽に水スライムが居りますれば、情報くらいは簡単に。

 そして前回の放送で申しましたとおり部屋単位での放送も可能でございます』


 顔の無い頭でニヤリと笑ったような雰囲気をだす爺。


「それで何のようだ、魔王の使い。魔王は来ないのか」


『もちろん我々の救援依頼と、その報酬の相談でございます。

 魔王様は今お昼寝の時間でして……

 私の独断でございます』


「やはりか、腹黒いなお前、気に入ったぞ」


 同じようにニヤリと笑いながら獣王が答えた。


『お褒めいただき光栄です、獣王様。

 さて、まず前提として魔王様は…いえ魔王様達は召喚されし者でございます。

 倒された魔王は新しく召喚され、魔法陣によって記憶の植え込みと魔力の譲渡をされる……これで魔王は復活される』


「そ、そんな……それでは、まるで……」


『そう、まるで勇者の召喚のよう…

 そして、勇者召喚を授けたのは神と伝えられている…

 ですが今そんなことはどうでもよく、魔王召喚の陣は壊れております…前回の勇者のせいで』


「それで?」


『先代までの記憶も無く、魔力の引継ぎもなし、今代の魔王様はまったくの無害といってもいいでしょう。

 なので、森王様の仰る敵ではございません』


「ふむ、それで?」


「いや獣王よ、さすがにそれで流すのは……」


『さすがは獣王様、解ってらっしゃる。

 そして、魔王として召喚されると寿命の制限が外れます。

 前魔王は種族的に寿命は50年ほど……討伐されるまでも歳をとったようには見えませんでしたので』


「つまり、今代の魔王を生かしておけば次が召喚されないと、そう仰りたいのですか」


『そのとうりでございます、次期森王。

 ただ魔獣による被害ははどうし様もございません。

 あれらは引き継がれる魔力によって操られております、こちらでは操作できないのです。

 さらに、このまま放置も出来ればご遠慮いただきたいかと。

 城に有る食料も無限ではございません、今現在も庭園にて採取される果実とパンのみです。

 小麦も庭園の一部を畑とし栽培しておりますが、それも何時まで持つものやら。

 最終的に魔王が倒れられますと次の魔王が呼ばれますゆえ。

 それが友好的かはまた別の話……』


「やっぱりただの腹ペコかいあのお嬢ちゃんは」


 鋼国女王は苦笑しながら、うなずいた。


「それで?お前は何を望むのだ?」


『もちろん魔王様を含め我々の救出を、出来れば湖スライムの処分か城までの道もしくは橋を架けてるか、最悪魔王城と近隣の町までの交通手段の確保でも』


 橋をかけて欲しいと爺は言っているがコレは不可能であると本人も考えていた。

 スライムに溶かされない物は多々あるがそれぞれ価値が高い、魔力コーティングした物や一部の金属などがそうである。

 橋をかけるには距離が分からないためどれだけの資材を用意したらいいか分からず、報酬によっては釣り合わないことも考えられる。

 ちなみに魔王城を取り巻く水スライムは岩を溶かすことは出来ないが崩すくらいなら可能で、崩れた当初でこぼこだった湖底も今では平らな砂地になっていた。


「報酬は何が用意できるんじゃ?」


『魔王城の調査権などいかがでしょう、今使っているこの魔法装置も解析できればかなりの利益を生むかと』


「もう一度採決を取るかの、救出に賛成のものは挙手を」


 国王の言葉に獣王、鋼国女王そして国王自身も手を上げる。


「『魔王は悪である、これ以上話すことなど無い』とのこと、我々はこれで失礼します」


 森王とその側近達は最後まで反対だと部屋を出て行った。

 残された王達はうんざりとした表情でまたかと思った。

 毎回会議のたびに気に入らないことがあると途中退室する森王にうんざりとした表情の国王達。


「またか森王は……いいかげん、あのプライドの高さを何とかしてほしいものだ…」


「ほっとけ、そのうち利益だけ寄越せとか言ってくるじゃろ、まぁ無視するがの」


「まぁエルフの協力は無しとして考えましょう、お腹すかしてかわいそうじゃないの」


『申し訳ございません。魔王様が目を覚まされたようですので、私も今回はこの辺で失礼します』


「魔王によろしくの」


 爺は一礼して黒い霧とともに消えていった。


「さて、ワシ等も帰るとするかの、色々忙しくなりそうじゃわい。

 とりあえず勇者の召喚が出来たら王都の冒険者学校に放り込むのでな。その次に獣国か鋼国の順でいつも通りに」


「まったくだ、出来ればあの爺を引き抜きたいが無理だろうな」


「下手すりゃ戦争になるのかねぇ、面倒くさいったらありゃしない」


 王達は配下をつれて話しながら会議室を出て行った。

 誰もいなくなった部屋で水槽の中のスライムがコロリと転がっていた。


王達はそれぞれ名前で呼ぶほど親しくないわけではなく

議会の習慣として役職名を呼んでいます


国王   好々爺

獣王   結構優秀

森王   プライド高い

鋼国女王 おかん


爺    すこし腹黒


なイメージで


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