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HERO登場?

ーーー人との出会いというものは偶然なのだろうか、それとも必然なのだろうか。ーーー

普段話している友達、身近な大人達、そして家族、今まで知り合った人達全員との出会いは偶然の産物に過ぎないのだろうか。

私はそうは思いたくない。だってあの時の出会いは私にとって一生の宝物なんだから……



私の名前は若葉 春。現在高校二年生。一年の入学当初からこの煌陽高校生徒会副会長をしている。この日私は誰かも分からない人に放課後、学校の空き教室に呼び出されていた。生徒会の仕事を終え、教室に鞄を取りに戻ると机の上に私を呼び出す一枚の紙が置いてあった。誰からのものかは書いてなかったが、大体見当はついていた。たぶん私をよく思ってない不良じみた生徒だろう。副会長の仕事で生徒達に校則を守らせようとしている時に少し強く言いすぎることがたまにあるため、恨まれることは少なくない。絡まれることも多々あったが、昔やっていた空手のおかけで喧嘩にはなかなか自信があった。だが、この日は少しわけが違った。


紙に書いてあった教室についた。そして、勢いよく扉をあけた。


ーーーガラガラガラーーー

「一体こんなとこ呼び出して何の…」


教室の中の景色を見た瞬間春は言葉を失った。入った教室の中には予想通り不良達がいた。だけど、一人や二人ではない。それも他校の生徒もいるのだろう。煌陽の制服じゃない生徒が何人かいる。こんな人数相手にした事なんてない。すごく怖い。


「やっときたな〜、副会長さん。びっくりさせちゃった? ごめんね。こいつら他校から連れてきた"おともだち"」

「と、ともだち?」

「やばい方のな」


そういうと不良達は少し笑った。


(怖い怖い…逃げなきゃ…。でも、逃げたくても怖くて足が動かない。もし捕まったりしたら何されるか分からない。どうしよう…誰か…助けて‼)


「捕まえてボコボコにしてやろうぜ」

「バーカ! こんな可愛いんだ。せっかく なら楽しんでからだろ」

「ハハッ、いーねー」


( 最低。こんなやつらに捕まりたくなんかない。逃げなきゃ、逃げなきゃ。) タッ!


気付いたら足は動き、無我夢中で走っている。それも普段よりずっと速く。だけどやっぱりあの人数の男子達に逃げ切ることなんてできるわけがない。頭が混乱していて見つかる可能性が高いのに私はとっさに近くにある理科室に隠れてしまった。


(やっちゃった、どうしよう。入ってこられたら逃げ場なんかない。とにかく息を殺して…。)


春が息を殺して少し落ち着くとどこからかスースーという寝息が聞こえてくる。ふと顔を上げると椅子の上で気持ち良さそうに寝てる煌陽の制服を着た生徒がいる。だけど、見たことない生徒だ。

その生徒は制服の下にパーカを着ていてフードを深くかぶっている。


(誰? なんでこんなとこで寝てるの?)


春はその生徒を少しの間みつめていた。すると、その生徒は突然目をひらいた。

その目は綺麗な色をしていて透き通っていた。そして、なによりもその目には春を飲み込んでしまいそうな闇が見えた。その不思議な目は数秒間春を見つめた後、口を開いた。


「何してんの?」

「あ… その…」

「まぁ、いいや。とりあえずここから出てってくれ。俺の居場所… 荒らされたくない」


(そうだ、私追いかけられてたんだ。とりあえずこいつに助けてもらおう。)


「ねぇ、お願い! 助けて!!」

「…… あんたさぁ、人の話聞いてる?」

「助けてくれたらすぐ出てくから」


綺麗で不思議な目が一転、淀んだキッとした目に変わった。


「却下」

「え…? まだ何も話してない…」

「面倒ごとは嫌い。分かったら出てって」

「ちょっ、話くらい聞いてよ!!」


私が怒りをぶつけようと声を上げた途端、ドアが開いた。


「副会長みっけー」

「やばっ、お願い。助けて。ってあれ?」


さっきまでここにいたのにいない。春はあたりを見回した。


(どこいったの?)


次にその姿を見つけたときにはその生徒はドアのすぐそばにいた。そして、そのまま出ていこうとしていた。


「じゃ」

「ちょっ、待ってってば。助けてよ!!」

「人に物を頼むときはまず見返りを用意してからにしろよ」

「…… じゃあ、後で頼みごと何でも聞いてあげるから!!」

「……」


五十嵐は少し考えた素振りをみせてからニヤッと小さく笑った。


「………2個」

「え?」

「頼みごと二個させてもらうよ。それで手をうつよ」

「分かったから早く!!」

「何? お前がやんの? 雑魚に用はねーんだよ」


不良達は一斉に五十嵐になぐりかかった。

それからは一瞬だった。五十嵐はとんでくる攻撃をすべてよけ、不良を次々となぎ倒していった。その様子は少し怖かったが、この時はたのもしくもあった。そう、その姿はまるでHEROだった。性格最悪の最低HERO。



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