前置き
※長州弁込みです(笑)
はあ→もう
せん→しない
九一さんはバリバリ長州弁使うと思う。←ぇ
では、どうぞ。
さっきまで轟音を発していた雨はいつの間にか止み、ぽつ、ぽつと水が滴る音が聞こえてきた。
雨が止んで、屋根から雫が落ちているのだろうか。
耳が痛くなるほど静かなその部屋で、水が滴るその音だけが、嫌に大きく響いていた。
「…梅之助さま。」
老女の声が聞こえたからふと振り向けば、襖の向こうには望東尼が配膳を持って座っていた。
にこりと弱々しく笑い、入ってくることを促す。
今、桂はいない。先程用事があるとかで席を外した。
それで良い…、彼には別れの言葉など要らないような気がした。
「…のぅ、望東尼。」
「はい、梅之助さま。」
ふぅとため息のように灰煙を吐き、呟くように言ってみた。
「…“面白き事もなき世を面白く”…」
そう言ってからふと眠くなってきた。あぁ…お別れだ。頭の中で誰かが言う。
望東尼は少し黙った後、これまた呟くように言った。
「“すみなすものは、心なりけり”」
…その下の句はすぅ、と頭の中に染み付いていくようだった。いかにも歌人、野村望東尼が詠みそうな歌だ。
「面白いのぅ…。」
ふわりと意識が飛んでいくような気がした。終わりだ。心残りもあるが、何だか心中落ち着き払っていた。
遠のく意識の中で思い出すのは、いつかに死んだ初恋の君。
『はあ、独りにせん。』
嘘つき。結局私は独りだった。
でも、もうすぐいくよ。
「…梅之助さま?」
私の物語に最後はいらない。
幸せでも不幸せでも…最後はいらない。
だからこの魂は、私は、死んでも生き続ける。
九一、この世とお別れしたから今度はそっちに行くよ。
そしたらまた、
面白き 事もなき世を 面白く
すみなすものは 心なりけり
愛してくれますか?
マニアックな始まりでごめんなさい…(泣)
ずっと入江九一だ九一だ言ってますが、彼は村塾四天王の一人です。
て言うか村塾四天王と言うのは松下村塾のトップ四人組です。入江九一、吉田稔麿、久坂玄瑞、高杉晋作の4人です。
この四人で話を進めていくので、よろしくお願いいたしますm(__)m