第4話~
―昭和17年11月6日、0430―
山口中将の指揮する空母《翔鶴》《瑞鶴》は、重巡《利根》《筑摩》と駆逐艦八隻を加えて、ポートモレスビーの南東約250海里の地点に来ていた。
ここで二隻の空母の搭載機について触れておこう。
《翔鶴》
[零戦30、艦爆21、艦攻21]計72機
《瑞鶴》
[零戦30、艦爆21、艦攻21]計72機である。
山口中将は決して警戒を怠る事をせず断続的に偵察機を飛ばしていた。
この時両空母の艦上では第一次攻撃隊が準備を終えて待機していた。
〔第一次攻撃隊〕
零戦24機 艦爆21機 艦攻18機の編成である。
そして0445計63機の帝国海軍第一次攻撃隊は発艦し進撃していった。
それを見送った山口中将は首席参謀の伊藤大佐に第二次攻撃隊の準備を急がせた…しかし山口中将はここで敵空母が来ていないと言って艦攻の半数を何も装着せずに残した。
そして第一次攻撃隊が発艦ししばらく時間がたった、艦橋などのでは皆が成果報告をまちじっと待っていた…
すると、第一次攻撃隊から連絡が入った!
「我攻撃二成功セリ!戦果報告!敵戦闘機ヲ16機撃墜シセリ!ナオ敵滑走路四本ノ内三本を大破使用不可二シセリ!」
作戦はほぼ成功であった!しかし、入れ替わりに山口機動部隊の上空には8機敵爆撃機が襲来していた。被害は無かったものの、こちらの位置は知られてしまった事になる。
山口中将は伊藤大佐に第二次攻撃隊の発艦を命じた。両空母では、出撃命令をまっている塔乗員がまだかまだかと待ち構えていた。
しかし、その時である!全く誰もが予想すらしていなかった報告があがってきたのである!
「敵機多数!現在味方機動部隊二向ケ進撃中!数約60機!艦上機ト思ワレル!」
最悪の事態であった!敵空母はいないとの判断だったので、両空母の艦上では地上攻撃の爆弾を装着させたままであった…
艦上機なら敵空母が近くにいる可能性が高い!しかも60機だとすれば二隻は出てきているかもしれない!爆装を魚雷に変えるべきだが山口中将にとっては状況がわるすぎたのだ!
第一次攻撃隊を収容しなければならず、第二次攻撃隊を上げ下げしている時間もない!
しかし敵空母の位置にしても全く解っていない…山口中将は困っていた…すると伊藤大佐が進言してきた。
「司令官!第一次攻撃隊を収容しませんと燃料切れになります!艦上にある第二次攻撃隊はポートモレスビーに向かわせるべきです!」
しかし山口中将は命令をださなかった…
「伊藤大佐!第二次攻撃隊には敵空母を攻撃してもらう!全機爆装そのままで発艦させろ!」
「しかし!敵空母がどこにいるかもわからないのに正気ですか!?」
「わからなければ探す他ないだろ!敵機来襲を報告してきた偵察機の位置に向かわせ索敵攻撃をさせるのだ!」
「確かにそれならいけますな!ポートモレスビーは第一次攻撃隊がほぼ無力化していますからな!幸い我が機動部隊の塔乗員はベテランですからやってくれます!発艦させます!」
そうして両空母からは、第二次攻撃隊が敵空母に索敵攻撃をするため飛び立っていった。
しかし、山口中将は出撃に対して護衛の零戦を削減したため攻撃隊は苦戦するかもしれないが現に我機動部隊には60機の敵攻撃機がせまってきていたので味方空母を守る事を優先しなければならない…
山口中将は手元に24機の零戦を残したのである。それでも迎撃に不安はあるが山口中将は、第一次攻撃隊の零戦も数に入れていたので最優先に零戦の着艦をいそがせた。そして全機補給を終えて23機の零戦が先に行っている24機の零戦を追う形で出撃していった。
米軍機にはワイルドキャットが零戦の先発と同じく24機がきていた。そして戦闘になったが同数を相手にしているので零戦ともいえど雷撃機の侵入を完全に阻止は難しかった…
それでも零戦は奮闘して機動部隊上空につくまでに、7機のアベンジャー雷撃機とドーントレス急降下爆撃機6機を撃墜した。
そして、0855遅れて発艦した23機の零戦が高度をとるその時だった!ドーントレスとアベンジャー22機が突っ込んできたのである!
零戦が間に合うかどうかわからず山口中将はただ見つめる事しかできなかった。
すると何とか零戦が何とか食付き低空の雷撃機を4機撃墜したが残った1機が魚雷を投下してしまったのである!
最後の1機も撃墜はしたが投下した魚雷は疾走していった…零戦隊はまだ10機を超える急降下爆撃機を相手にしなくてはならないが、すでに《翔鶴》の上に群がり攻撃体制をとっていた。
零戦隊も食付こうとするが間に合わなかった…《翔鶴》艦長有馬大佐が回避行動をとり3発は避けたが…ついに4発目が後部飛行甲板に直撃した!
ズッガーン!!!!
物凄い衝撃がつたわった!ようやく零戦隊が間に合い襲いかかったが米国のパイロットもなかなか優秀で、2機の敵機が果敢にも零戦の攻撃に関係なく爆弾を投じた…その二発は見事に《翔鶴》の飛行甲板を貫いた!!
有馬艦長はとっさに「減速12ノット」叫び減速し始めた。
敵の空襲がおわり山口中将は伊藤大佐に被害状況を聞くと直ちに答えた…
「《瑞鶴》は無事ですが、魚雷の回避行動中に駆逐艦《不知火》と接触したのですが《瑞鶴》は問題ありません。しかし《不知火》は18ノットしか出せないそうです。」
「わかった…《不知火》は後方にさげてくれ。」
そこへ有馬艦長が報告に上がってきた…
「消化作業全て管理!10分後には20ノットの航行ができます!…しかし、発着艦は絶望的です…」
山口中将は頷き考えていた…
「問題は、敵空母か…万が一近くまで来ているのであれば、再度攻撃をくらってしまう…しかしどうしたものか…敵機は第二次攻撃隊と同じ進路で帰ったんだ、なのになぜ敵空母を発見出来ていないのだ…」
山口中将は考えていた。現在は0935第二次攻撃隊が発艦して、二時間がたっていた。
すると、そこへ第二次攻撃隊隊長高橋少佐から報告がきた。
「ニューギニア方面南東まで達したが敵艦発見できず。敵飛行場を発見したので攻撃許可を!」
この報告を聞いて山口中将は何かを悟って急ぎ参謀に命じた!
「伊藤大佐!間違いない敵機はこの飛行場からきたのだ!すぐに攻撃許可をだしてくれ!」
そして米軍ラビ飛行場は第二次攻撃隊によって無力化された。
そして山口中将は攻撃隊を《瑞鶴》に集めポートモレスビーにとことん爆撃を加えて昼間に加わったラバウル航空隊も加わり激しさをました!
そして、翌日護衛空母一隻と駆逐艦八隻に護衛されポートモレスビーに上陸船が進出した。
そして、攻撃隊と零戦隊により米軍の戦車や砲台などを爆撃し破壊した。そして11月9日上陸部隊は敵陣地の攻略に成功して、ついに橋頭保を確保したのである。
作者「橋頭保の保の漢字なのですが検索でなかったのあでこれを使いました(汗)あしからずε=┏(; ̄▽ ̄)┛
次回をお楽しみに(^o^)