ふたつの艦隊決戦
―1942年9月ハワイ・オアフ島―
太平洋艦隊指令部では指令長官に就任したばかりのニミッツ大将が一人で悩んでいた…
「空母が足りないのでまったく話にならない…一体どうしたらいいのだ…」
米国太平洋艦隊はマーシャル沖海戦で正規空母《サラトガ》《エンタープライズ》《ヨークタウン》の四隻を喪失していたのだ。
ルーズベルトは自体を重くみて前任者のキンメル大将が殉職した事もあり航海局長のニミッツ少将を大将に昇進させて太平洋艦隊の司令官に抜擢したのである。
本来なら太平洋艦隊司令長官となれば海軍軍人ならば名誉な事だがこの時のニミッツ大将は喜べず一人で呟いていた…
「めでたい訳があるものか…私はとんだ貧乏クジをひいてしまった…」
ルーズベルトは大西洋に配備されている正規空母及び《ワプス》に直ちに太平洋に回航するように命じた!
それでもニミッツ大将の手元にはわずかに二隻の空母しかなかったのである…
このころ帝国海軍にはこの時点で《赤城》《天城》《葛城》《翔鶴》《瑞鶴》《飛龍》《蒼龍》《加賀》《《天龍》《赤鳳》
軽空母《龍譲》《瑞鳳》《太鳳》の十三隻もの空母を保有していた。
圧倒戦力差で両国は対陣する事になったのである。