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Slave
まだ見ぬ孫へ、
おじいちゃんはたぶん、孫が出来ない。
だからおじいちゃんになった気分で、お前に手紙を書こう。
おじいちゃんは、奴隷だ。
毎日歯車をギュリギュリ回している。
何のためにやっているかはわからない。
同僚は6人いる。みんな奴隷だ。
おじいちゃんは奴隷になろうと思って奴隷になったわけじゃない。
だけど気付いたら、こういうことになっていた。
目の前のそのまた向こう、遠い未来に目を向けず、足元ばかりみて、
その日その日を生きることに必死になっていたら、気付いたらここにいた。
ここにいる奴隷はみんなそうだ。
回し続ける歯車の力がどこに向かっているのかはよくわからない。
ただ、これを回し続けることが自分の存在意義になっているから、やめられない。
ある日、同僚の奴隷が「もうやめた」と言って、作業場から出て行った。
彼は止められもしなかったし、誰も彼を追いかけに行かなかった。
孫よ、意思があれば抜け出せるのだ。
でも、おじいちゃんはここに居続けようと思う。
今まで回した歯車が無駄にならないように。




