暴力は手段でしかないらしい
「とりあえず、新入生から自己紹介していってもらおうかな。名前、クラス、能力を言ってってくれ。Aクラスから順にな」
能力言うのかよ、俺マジで嫌なんだけど。こんな厨二病ネーミングの能力あんまないからな。ルビ振ってるのはさらに珍しいし。
すると、隣にいた女子生徒が立ち上がった。クラス順にと言っていたので、Aクラスの人なんだろう。すごく美人だ。クール系。好みだなぁ。
「Aクラス、柏木フレン。能力は【加速】」
おお、話し方もクールっぽい。
「あ、そうだ、言い忘れてたが詳しい発動条件とかの詳細な説明も頼む。一応やばい奴が暴れたりしたらチームを組んで鎮圧に望むからな」
俺を連れてきた軍人っぽい先生が補足してきた。てか、あの人もしかして担任じゃなくてこの委員の担当の先生じゃね?俺あんまり筋肉ゴリマッチョメン好きじゃないんだよなぁ。
「……言わなくてもわかると思うけど、【加速】は物体に速度を与えることができる能力よ。発動条件は触れること」
やっぱりクール系だなぁ。この柏木って人。どうにかお近づきにならないかなぁ。【加速】てのもいいよなぁ。能力としても即戦力になる有望な能力だ。
「じゃあ次は僕だね。Bクラス、遠藤久兵衛。能力は【念力】物を動かせる力だよ。条件は半径十メートル以内のものだけ能力が適応されるよ」
おお、こいつもまた有名で実用的な能力だわ。てか僕呼びなのに久兵衛ってオモロすぎだろ。可愛い顔しやがって、コイツ女子に人気そうだなぁ。
「Cクラス、早乙女茉莉奈。能力は【身体強化】で自分を強くできます。今のところ5倍ぐらいが限度です。よろしくお願いします」
いい感じにまともそうな子が出たな。ふわふわしたロングでちょっと巻いてんのかな?可愛らしい髪型で身長も小さいし美少女って感じだ。なんだ?ここって顔整ってなかったらだめなんか?
「Dクラス、真部慎太郎。能力は【雷操作】です。えーっと、雷を飛ばしたり体に纏わせたりできます。制限は半径五メートルぐらいだと思います」
お!フツメンだ!仲間はっけーん!でも、能力はすげーカッコ良さげだな。てか俺以外無難にかっこよくて強い能力じゃん。え、これから俺が言うの?【魂の干渉者】を?恥ずかしすぎんか?新たな拷問だな。
そんなこと考えながら座っていると、
「おい榊。お前の番だぞ。早くしろ」
先生が急かしてきた。だが、俺は見逃さなかった。あいつは笑ってやがった。堪えようとしてるけど、全然くちの端が緩んでるからな!くそ!やるっきゃないか……
「……Eクラス、榊圭吾。能力は……【魂の干渉者】です!自分と相手の感覚を操作したり消したらできます!あと追加することもできます!触れなきゃ発動しません!よろしくお願いします!」
あぁ、もうヤケクソじゃ!!
「……榊くん、だっけ?ふざけなくていいから、正直に答えてよ」
「えっと……」
先生助けて!ってこいつ何まだ笑い堪えてんねん。早く説明してくれ。俺だってふざけてると思うもん。厨二病ネームに加えてさ、ソウルオブマスターって直訳したら主人の魂ってなってどう考えてもおかしいもん。
「あなた、ふざけてるならここから出て行ったら?ここはふざけるような人間がいていいところじゃないの」
別にふざけてはないんだけど……てかやっぱり柏木さんはクール系だなぁ。
「ふざけてはないんですけど……」
やばいなぁ。みんな俺を怪しむようにみてくるじゃん。あのゴリマッチョはずっと笑い堪えてて使い物にならんし、もうあいつを先生だとは思わんわ。
「はぁ……先輩方、私は彼が異能対策委員会にふさわしくないと思います。なので、決闘申請したいのですが」
決闘申請?そんな西部劇のガンマンじゃないんだから、決闘なんてないだろ。
「へぇ、いいね。ねぇみんないいと思わない?」
「どっちでもいいよ」
「まぁ…いいんじゃない。一年の実力も見れるし」
いや、ちょっとまて。本当に決闘が成立するのか?まずいって。先輩は後輩を守ろうとしろよ。頼むって。
「じゃあすぐにでもするか?今日は第三訓練室だったら空いてるぞ」
おい、何してんだお前!なんで俺を助けないでそっちに助け舟出してんだよ。
「でしたら、すぐにでもお願いします。相田先生」
あ、この人相田って名前なんだ知らなかった。
「よし、じゃあ移動するか。みんな着いてこい。せっかくだから観戦しようじゃないか」
いやいやいや、まてって。何おっけーしてんねん。嫌に決まってんだろ。
すると相田先生が俺に近づいてきた。
「榊、断ってもいいけど、その代わり三ヶ月だぞ」
「やります」
三ヶ月はいやっす。喜んでさせてもらいます!