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6 初めてのお茶会

 たこ焼き三昧…結果的にタコパーのようになってから数日後、双方の両親から「そろそろお茶会に行ったほうがいい」と、やんわりいつも二人だけで遊んでるけど他の家門の子達とも会ってみなさいと言われた。


 この会ってみなさいというのは、他にも婚約者候補者を万一の時に作っておけと言う意味かと不審に思ったので突っ込んでみたら違うとのこと。


 私羽奈=アンは侯爵家、夫宏樹=アーサーは公爵家という高位貴族は、ゆくゆくは侯爵家や伯爵家以下の貴族たちと仕事…部下になる可能性が極めて高い。派閥にもよるが、交流をしていて損はない、つまり子供のお茶会から既に社交であるとのこと。


 社交…羽奈のもっとも苦手なこと。会社時代も宴会は苦手だった。とにかく立ち回るのが苦手で、のんびり食事を堪能していたら気づけばポツンで、他の人らは色んなグループつまり派閥に上手く顔を出し、お酌をしたり、女の子ならなんかグループが出来ていつの間にか一緒にランチグループになってて、今まで仲良く話していた人が特に仲悪くなった訳でもないのに、その宴会で乗り遅れた為にぼっちランチになってしまうことがまあまああった。


 これに羽奈は何だか悲しくなり、さらにはムカついた。

こんなことで会社での立ち位置が危うくなるの!?

納得いかなかった羽奈は断固としてランチグループに入らずに、これも節約と料理の練習と前向きに取らえ、手作り弁当と丁寧に入れたお茶の入った魔法瓶を持参し、なんならものすごく肌触りの良いブランケットやクッション、お気に入りの本や漫画をお供に一人ランチを楽しみ、ランチに並ぶ時間もカットできてお昼寝時間も確保。人に群れないのもひとり時間を大切にするのも案外大切だなと思った次第だ。


 まだその当時はひとり時間なんて言葉もなく、ぼっちランチは可哀想な仲間外れされてる子って見方もされていたが、

仕事はしっかりすること、ランチ以外では普通に他の人達と接していたことから、だんだんと「あの子は仲間外れではなく、あえてひとりでランチしてるんじゃないか?」と良い具合に印象が良くなり、さらにはそんな流れでのランチグループだけにだんだんと不協和音がして、一人抜け、二人抜けと抜けていき、その抜けた子達が羽奈を見習い、一人で、ひとり時間を満喫するようにランチを始め、


結果、「羽奈さんは最初から大人で返って信用できる」とだんだんと評価が高くなり、相談するなら羽奈さんと思われる立ち位置になっていった。


 羽奈自身は処世術や社交は苦手としているし、目立って大勢の人気があるタイプではないが、本当に信用出来る人は?と聞かれれば羽奈さんと言われてる程に、地味だが確実に人望を得ていることを羽奈は知らない。少しは気づいてはいるが、そこまでの人望はないだろうと思っている。おそらくその謙虚さがより信用度を上げているのだが、


その謙虚が自己肯定を低めているのも事実なので、自信がない、いくら異世界でも中身はアンも羽奈も同じ人間。

小さい頃のお茶会で躓いたらこの先ずっとこの不遇時代が続くのではないか…とかなり心配をしていた。


のだが…アーサーが「俺いるじゃん♪俺、筆頭公爵家の跡取りだよ。アンちゃんも侯爵家じゃん。そんな簡単に足蹴にする人いないし、いたとしたら俺がなんとかするし、それでも嫌ならもう社交せずに俺等のやりたいことだけやって成果出せばいいよ。成果出せなくてももうこの地位なら余程の下手打たなきゃ問題ないし、極論は…食べに来るだけ来て、こっち来なければいい!」

と言うので、何だかものすごく肩の力が抜けて、気も抜けて、ちょっと笑えても来て、そうだな、リアルで四十代まで頑張ってきてるのにこっちの8歳のお茶会くらいなんてことないわ!と開き直りでお茶会に挑んだ。


 お茶会は本来高位貴族が開催することが多いのだが、大人のお茶会と違い、子供のお茶会は持ち回りで、王族を除けば、公爵家、侯爵家、伯爵家、地域によっては辺境伯までがお茶会を模様す。尚、序列は王家、大公、公爵、侯爵と辺境伯は同列、伯爵、子爵、男爵。


 ここは王都なので、辺境伯はいない。大公は基本王様の兄弟がなる地位なので現在は不在のため、公爵家からになる。ただ、今回はたまたま王家定例会議に辺境伯が出席するに伴い、令嬢がついてきた為、珍しくお茶会に辺境伯令嬢も出席するという稀なお茶会となった。


そして、初めてのお茶会の舞台はラーク伯爵家で開催された。


そして、どこにもおバカがいるもので、予想通りというか鉄板というか、一悶着あったのだ…。


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