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2 異世界では婚約者がいる7歳貴族令嬢です

 森野羽奈は43歳専業主婦。体調不良から長年勤務した会社を退職し、リハビリしながらのやっと人生初のほのぼの生活を満喫していたある日…


 起きたら異世界転生し、7歳の貴族令嬢になっていた。


 知らない豪華な部屋…でも、そこにはやっと夫婦として絆が深まりつつあった夫、宏樹がいない。


 死にかけて生還した私が消えたらひろくんはどうなるの?

こっちの異世界の人と入れ替わってて、私もどきの人と毎日キスなんてしてたら

そんなの絶対にいや!


 どうしたらいいかと号泣していると、侍女の声が。

「婚約者のアーサー様がお見舞いにいらしてます。」


「アーサー様って…え!?ひろくん!?」

「アン様って、羽奈さん!?」


 夫婦で異世界に来てしまった!?当初の心配は無くなったとはいえ

これからどうやって二人で乗り越えて行こうか?

しかも目が覚めたら現世で…。ますます訳がわかりません!


 森野羽奈。現世では43歳。

病気療養中の専業主婦すらもまだ満足に出来ない専業主婦。

長年勤務した会社を退職し、ほのぼのリハビリがてらの毎日を送っていた。


 ちょっと夜ふかしをして、退院後から読むようになったラノベやコミカライズな漫画を楽しむ日々。


 健やかに寝てただけ。同じ寝室で夫森野宏樹はグースカ爆睡している。


 なのに、起きたらそこは、そこは…

豪奢な部屋で…。金髪でエメラルドグリーンな瞳で、しかも美少女…。


どう見てもお貴族様。どう見ても貴族令嬢。


 待て待て待て待て…いやあ…コレ漫画やラノベの異世界転生?

嫌なんだけど!家族と離れ離れになるなんて!二度と会えないとか嫌なんだけど!?


 夫、森野宏樹は37歳。親会社である大手企業に勤務。

仲良し年の差夫婦だけれど、私に対してというか、結婚に関して興味が薄いというか熱量が違って冷めてるというか


 私に執着が薄いように感じつつ過ごしてきた10年間。


 ある日、私は急病で倒れて死にかけて、何とか救命で命拾いし生還。


 そこから退院するまで病院に寝泊まりしてくれて、退院した今では、すっかり執着溺愛夫に変貌した。


余程、怖かったらしい。


私のいない世界が。


 そんなせっかくやっとラブラブ夫婦になれたのに…そんな怖い思いをもう一度させることになるのも、知らないうちにこっちの異世界の人と入れ替わって、

私もどきに、ひろくんが知らずに気づかずに、毎日キスするなんて絶対にいやだ!


 何故こうなったんだろう?本来転生するなら、急病で倒れたときだ。

倒れて、死にかけた時に転生するならわかる。


 いや、最近では、死にかけた時限定でもなく、巻き込まれ系もある。


巻き込まれてもいない。寝てただけだ…。


 こっちの誰かに勇者だ、聖女だのの召喚の儀でもされたか?


いや、こっちの世界でもベッドで寝て起きただけだ…。


 わからないことは考えないようにしよう。脳が疲れる。



 せめて、なんの作品に転生したか?


わからん!むっちゃ沢山の作品を読みすぎて、似たような設定が多すぎて、どの作品なのか、皆目検討もつかん!


 参った…。、これはやばいぞ。


 泣きつつも途方に暮れた私のところへ、ノックがした。

入室を許可した相手は、愛想の少ない侍女だった。


 不思議なもので、こちらでの基本的な記憶もあるらしい。

ただ、当然のことながら現状については不明。

この侍女にまず聞くしかない。


「何かご用?」


「アンお嬢様に婚約者のアーサー様がお見舞いに来られました」


「私、熱でもあったの?」

「熱はないのですが、ここ最近、とにかくしんどい、ダルいとのことで、お部屋やベッドでお過ごしになっておられました。

それで、先週アーサー様とのお茶会もキャンセルされましたが…。覚えておられませんか?」


「ごめんなさい。全く覚えてないわけじゃ無いけど、なんだかモヤがかかったみたいに、明確には思い出せなくて。ここしばらくこんな感じが続くと思うから、また教えてくれる?それと、アーサー様お通しして。お茶とお菓子もお願い。」


「かしこまりました。」


 しばらくすると再びノックがして、入ってもらった。


 そこにいたのは、同じ7歳くらいの金髪でサファイアブルーの瞳をした、

利発そうな美少年のアーサー様だった。


 うおぉ〜流石異世界。こんな美少年初めて見るぞ…。大人になるのが楽しみだ…。


「アン様、お身体の具合は如何ですか?…って…羽奈さん!?」


「ん!?羽奈って…なんで知ってるの!?」


「俺だよ!宏樹だよ!ひろくんだよ!」


「うぉお〜!!!ひろくんだー!良かったよぉ…。

しかも婚約者って立場なのも良かったよぉ…。

何もわからないけど、お互いの家門が敵対して婚約解消とかにならないようにしなきゃだよぉ…」


「流石、羽奈さん…ラノベ脳なだけあって、そゆことすぐに思いつくんだな。

んで、コレってゲームなの?漫画なの?ラノベ?なんていう作品?」


「わからんのよ。似たようなの沢山あるし、どれかもわからんし。

ってか、何よりさ、見ていた漫画やアニメやドラマとか見れないのも、あっちのご飯食べれないのも辛すぎる…。」


「俺も、ゲーム途中やし、会社も気になるし。本来そういうとこツッコまないのが異世界転生なんだろうけど、うちら普通に気になるわ。」


「ひろくんはなんで転生したん?」


「わからん。寝て起きたらこの姿やった。瞬間、羽奈さんが心配で。

俺がいなくなったら羽奈さん働いてないし、身体もまだ元気やないし、生活に困るやろうし。何より、俺もどきと羽奈さんがキスするなんて絶対に嫌だし許せん!」


「そこは同じこと考えてたんだw んで、なんで私ってわかったん?」


「なんかわからんけど、立膝立てて、枕抱えて、遠くを見てる様が佇まいっていうのかな?面影があって、思わず呼んだら本当に羽奈さんで。

びっくりしたけど、嬉しかった!」


「そっかぁ…。それは夫婦の絆のおかげかもしれないね。」


「じゃあ、羽奈さん、早速情報共有していきますか。ってか、こっちの身体もひょっとしてしんどいの?」


「うーん…現世の病気の影響なのか、転生による今だけの疲労なのかは、わからないけど、先週からずっとダルいって部屋にこもってたらしいわ。」


「そうかぁ。俺は至って元気なんだけどな。」


 そういうアーサー…ひろくんは出されたクッキーやチョコをバリボリと音をさせながら、バクバク食べていた。


 貴族令息とは思えない程の食いしん坊っぷり。


 間違いなく夫、宏樹だと思った。









 羽奈と宏樹は食いしん坊ですが、宏樹はいつも、あっという間に食べてしまうので、羽奈は、もっと味わって食べて!しんどい身体で作ってるのに!とプンスカしていました。

 宏樹は、羽奈が料理が少しずつ作れるように回復してきたこと。そんな羽奈の手料理が嬉しくて、美味しくて、ついついバクバクと食べてしまうのです。

 羽奈は宏樹のその食べ方が印象深いのです。

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