表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

15 エレクトーン三昧とアカデミー

 騒音の心配もない。リアルよりは子供でも元気。しかも演奏しても何かしら料理を作ってもおだてでなくみんな絶賛してくれる。

さらに言えば、リアルでは耳コピーにしろ何にしろ、こんな風に弾きたいと脳内再生は出来ても、実際は思い通りに弾けないのであるが、やはりチートというのだろうか、弾けるのである。なんなら脳内再生通りより、ちょっといい感じに補完されてるのである。


 そりゃたまらんし嬉しいし楽しい!!!

だから弾きまくってしまう。当たり前なのである。

 

 具体的に説明すると演奏技術面だけでなく、音色やリズムを作り上げる技量がない…つまり編曲家のような技量が必要になる。それがリアルではレッスン生らの中では素人にしてはまあまあな腕前ではあるものの、本人的には「なんか違う…」と思いながら弾いていたり、単純にエレクトーンの容量問題も絡みこれ以上は入らない…という点もあった。これはエレクトーンが悪いのではなく、曲を作る装置より演奏する楽器なのだから

当たり前なのだ。


 それが、見事に弾けるし、自動的に手が動くけれど、

そこに自分の意思が全くないわけでなく、こう弾きたいと思っている点があってこその演奏なので、羽奈が【自分で演奏してる感】がちゃんと味わえてるので、何というか

「私むちゃくちゃ上手くなってるやん!」という感覚なのである。うん、たのしい、めでたい。

 

 実は宏樹は自分達の披露宴の時にだけしか羽奈の演奏を聞いたことなかったので、実際の羽奈の本意気の実力を知らなかった。住宅事情もあるし、結婚生活や体力面などどんどん羽奈がエレクトーンを楽しむ余裕はなかったためである。


 なので、アンになった状態で、なんの遠慮も不要で突然爆音演奏を始めて、色んな意味で度肝を抜かれた。


「羽奈さん…こんなに上手かったの?」と宏樹


 それもそのはずである。結婚式…披露宴で演奏するということはドレスで演奏する上、ミスなく弾くことを念頭に置くと

ある一定レベル以上の腕前になると、足を使わずに両手のみの演奏とは、足の演奏分の負荷が両手にかかるので、より両手のみの演奏の難易度が上がるのだが、羽奈の場合は披露宴で弾くからこそ両手演奏の難易度をかなり下げた。

グレード級でいうなれば普段は3級〜4級レベルの曲目を演奏する羽奈の場合、5級の中でも下手すりゃ6級?と思われかねないくらいのレベルまで落として演奏をしたわけだ。


しかもその曲目も原曲に近づける為に羽奈が自分でアレンジして曲の時間をのばし、流石に6級と思われると原曲の良さが損なわれると考え直し多少難易度を上げたため、普通に聴いている参列者からはその工夫が伝わらず、あまりに普通に演奏してるのでそのレベルの高さが伝わらなかった。伝わらないということは成功したと言える。


 宏樹もその一人と化していたため、本意気の羽奈…アンの演奏を聞いてやっと「エレクトーンをガチで演奏するというのはこれだけ足も両手も動きまくるんだぜー」を目の当たりにして羽奈のレベルを理解したわけだ。


 そうなると宏樹も面白いので「あれ弾いてほしい、これ弾いてほしい」と注文をつける。元々一度聴いたらほぼ再現出来る能力があるので、それがより再現度が高くなるので、音楽好きの宏樹は普段羽奈がよく話す「この人は真似して歌ってるけど、息継ぎの場所も拾う音もなんかおかしい」というわけわからない解説の意味がやっとすこし解った気がした。


 そうなると、レッド家のスタッフ達は聞いたこともないノリノリの音楽を突然アンお嬢様が演奏しだした!こんな凄い音楽聞いたことない!ってな騒ぎになり、もう邸宅内BGM化するわ、なんならこちらの本来ある音楽や歌、メイドやコック、執事や執事見習い等、故郷の曲も弾いてほしいとリクエスト。


 当然本来の故郷の曲よりもちゃんと編曲されて、ギターやピアノ音、フルートやトランペット、ドラム等々の音色も駆使していい感じに仕上げて即興演奏するもんだから、いつのまにか

【アンお嬢様演奏リクエスト箱】なるものが設置され、その中から毎週5曲選び、特に誕生日や勤続何年や結婚記念日などのアニバーサリーなスタッフにはサプライズ演奏をするなどしていたら、どんどんアンの音楽の才能やスタッフを大切にする人柄が評判を呼ぶことになった。


 アンとしては、羽奈の世界リアルの楽曲は他の人の作曲だから自分が作曲したとはどーしても言いにくい。そこはどーしたもんだろう?と悩んでいたところ、アーサーが「なんでもご都合世界だから自分の楽曲ではなく、神様から降りてきた楽曲ってことにしとけば?」と言うと、「お嬢様だもん、ありえる」となんとなくそれでみんな納得したのでそういうことにしておいた。


 例え違う世界と言えど罪悪感が出ると、気持ちよく楽しく自分が趣味として楽しむものとして満喫出来なくなるので、異世界でもエレクトーンで弾いたリアルの楽曲で金儲けしようとは思わなかった。凄い曲があるんだよ!みんな知らないだろうけど凄いんだよ!この曲たちは!という純粋な気持ちでみんなが喜ぶなら、気分転換になるなら、自分の演奏で仕事も楽しくなるなら…そして故郷の曲も自分が演奏することで懐かしんでくれるなら…そんな気持ちでアンは体調に気をつけつつ演奏する日々が料理をする日々に追加されていった。


 そんな風にのんびり穏やかに過ごしていたアンとアーサーはいつのまにか15歳になり、アカデミーという貴族子女と特に才能がありそうな平民の子が通う学校の受験年齢になった。


 ただ、何故かアンとアーサーは入試も免除され、いきなり飛び級卒業と認定された。どうも一芸に秀でていたり、学力がずば抜けている場合に該当されるらしい。


 アンの場合は音楽性と子供頃のリナ・ジャック令嬢騒ぎを見事におさめた手腕も加味されたこと、アーサーに至っては、

数学や特にものを作り出す才能が評価されたためだ。


 元々宏樹は技術屋…理系の仕事をするエンジニアなのと、この世にないのなら作ってしまえ!と仕事道具も趣味がてら作ったり修理もある程度出来たりしたスキルが異世界でも影響したのだと思われた。


 だが、アーサーの場合は次期公爵の為、人脈づくり、側近や配下選定や家門統率等、将来に備える必要があるため、一応通学はするが、次期公爵として既に代理業務もあるため、必要に応じての通学となったが、問題はアンである。


 アンというより羽奈は人付き合いが苦手なため、運よく仲良くしてくれる人がいればいいのだが、上手く立ち回ることが苦手なので、アカデミーには行きたくはないのである。派閥とか面倒くさいのである。思った以上にビビリなのである。中身が大人でもイヤなもんはイヤなのである。


 なので、行かないという選択で話が纏まりかけた時に学長がうっかりアンの演奏を聞いてしまったのである。厄介だ…。


「アン様も通学したい時だけでいいし、体調を考慮して学生寮とは別に教職員用の研究室をアン様とアーサー様にご用意するので是非」と言われてしまった…。


 するとアーサーがとんでもない注文をつけた。

「アンと研究室が離れていては元も子もないので、アンと私の研究室は隣同士で部屋の中から行き来が出来るようにすること。

そして、我々は婚約者同士だが我が家では夫婦扱いされてるので夫婦として扱うこと。」

 

 アーサーなりにかなりの保険をかけてきたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ